※支笏湖 ”しこつこ”と呼びます 別名/死骨湖
2026年3月17日 火曜日
朝9時に起床した明るい肝試しのメンバーは朝11時から行う支笏湖でのライブ配信を行うために、誰が山線鉄橋での心霊リポートを行うのかのミーティングを朝食のパンをかじりながら議論をしあっていた。
油井が「昨日のカンカン橋での心霊リポートは村田が単独でやってくれたおかげで素晴らしい程の心霊映像が撮れた。饗庭さんの除霊もあってか、編集済みの動画には閲覧注意とつけておいて今後村田が撮影に成功した女性の幽霊が出たプラス饗庭さんの除霊の様子を間近でYouTubeやニコニコ動画のライブ配信を見た人もそうでない人もカンカン橋での緊迫した空気を味わうことが出来る、見ごたえのある動画に仕上がったと思う。村田が盛り上げるためにも今回体を張って頑張ってくれたのだから、今度の支笏湖での心霊リポートはリーダーである俺が責任をもって単独で行う。饗庭さんは今回どうして単独でやってって俺達に説明した意図がわからなかったところだったんけども、今までは言わなかったことだったのに何でだろう?」と星弥の言動と指示内容に違和感を覚え始めると、村田は「恐らくだが、単独のほうが幽霊は出やすく現れた幽霊の正体の本質を突き止めやすいってことなのかもしれない。騒ぎ過ぎてそっとしてほしいという一心で怒り露わに出てきたのか、それとも心の寂しさを紛らわしたい目的で賑やかなムードよりも寂しい雰囲気を醸し出している人をターゲットとして狙い近づくことにより、自己の存在を主張しているのか否か。饗庭さんはそれをしっかりと専門家として見極めたいんだと思う。それに俺達のYouTubeやニコニコ動画での動画に”いいね”って高い評価を見た動画に対してはポチポチとしてくれている痕跡もあるし、より心霊現象が現れやすい環境にしたほうが視聴回数も伸びるのではという饗庭さんなりの俺達に対するアドバイスの一つだと思う。だからこそ今回のカンカン橋での不審な金属音から俺の背後5m以内のところに現れた女の幽霊があらわれて俺が硬直したときに饗庭さんが電話の音声がスピーカーになっていることを察して御経を読み上げてくれた。そのおかげで今まで再生回数が伸び悩んでいたのにしっかりと幽霊が現れたことをきっかけにあっという間にアップロードをしたばかりの編集済みの動画だけで5万回を超える結果になった。これは、これだけ多くの俺達明るい肝試しのファンのみならず、多くの人が俺達がカンカン橋での心霊現象を記録として残したから興味津々になって見てくれているのだと思う。全ては饗庭さんの御蔭他言いようがない。俺はきっと饗庭さんは俺達の事を思って助言したに違いないと思っているんだ。」と話すと、油井は「確かに。アップロードしてすぐにこんな急上昇をするなんて正直久しぶり過ぎて言葉には言い尽くしがたい感情になったが、でも饗庭さんの指示があって今まで伸び悩んでいたのがこんなにもいろんな人に見てもらえる結果にも繋がったのだと思うと、感謝しか言いようがない。」と言って理解を示した後に杉沢村が村田の意見に同調するように「この撮影方針なら、間違いなくこれからずっと高い視聴回数を叩き出せるかもしれないし、幽霊をばっちりと写すことが出来る回数もより増えると思う。これからは単独でメンバーの誰かひとりが撮影を行うスタイルに方向転換をして撮影をしていこうか。これが更に再生回数が増えると、益々人気チャンネルになること間違いなしだ!これからもこのスタイルを続けていこう。」と意気揚々に語りだすと、油井はうーんと考え込んだ末に「監督。一応みんなの意見を聞きたい。もし単独で心霊スポットの調査なんて出来ないと考えるのなら、離脱をしてもいい。今迄参加してくれた後藤、秩父、畑、甲州、斧落はどう思う?」と不安げな表情で聞き出すと、それぞれがお互いの表情を見ながら同じ答えを口にした。
「今までずっとやってきたから仲のいいメンバーでこれからも続けていきたい。」
答えが同じだと分かり、油井は「ありがとう。これからもずっと一緒にやっていけることが嬉しい。」と感極まってお礼を言うと、甲州は笑いながら「油井君。泣くことじゃないよ。わたしだっていろんな人から心霊スポット巡りなんてやめろってうるさいほど言われたけど、でもわたしは油井君も杉沢村君も畑君も秩父君もみんな大好きだし、この明るい肝試しのサークルが大好きなんだ!」と言って答えると、甲州は斧落の顔をちらっと見ると斧落は「わたしも。家族から反対され続けてもこの活動は続けたい。皆といる時間が貴重だし、怖い思いをしても皆がいると分かっているから安心できる。だからやめたくない。まだまだ肝試しがしたい!」と笑顔で答えると、二人の答えを聞いた秩父、畑、後藤の三人は笑顔になってうんうんと頷きながら後藤が「俺も、秩父も、畑も皆意見は一緒だよ。このメンバーであることを辞めたくない、これからも明るい時間帯での肝試しを続けることで、肝試しのルールを守らない若者に対して俺達のような心霊系のYouTuberが注意をしなければいけない。幽霊が出るか否かは別として、俺はこの活動に対してやることに意義があって、噂の検証だってしっかりとした情報をこれから発信してくことで、デマに振り回されぬようにという事を伝えていく事が出来るじゃないか。俺達はその活動にやりがいがあると感じているから続けている。そうじゃなければ早々と辞めている!」と強く言い切ると、油井は「ありがとう。そういってくれてありがとう。ありがとう。より怖いと思う事が増えるかもしれないがその際は何としてでも俺達で助けられるようにしないと、いつまでも饗庭さんや電話繋がらなかったけど烏藤さんとかの救済を待っているようではだめだと思う。俺達でも対処できるように力をつけて行かないといけない。」と語り終えた後、一同はホテルをチェックアウトをして車を駐車するために支笏湖駐車場を目指して出発することにした。
車を駐車させるため、支笏湖駐車場に車を駐車させた後は見どころの一つである山線鉄橋へと向け移動することになった。
先頭を歩く油井がスマートフォンを片手に「今さっき支笏湖で起きた事故について調べてみたんだけど最近だと2021年8月26日の夕方に仲間と一緒に支笏湖で遊んでいた18歳の少年が溺れ病院に搬送されるも死亡が確認されたというのがあるな。」と語ると、村田は「湖底には藻や枯れ木などが多く蓄積されているため、水死体を引き上げるにも足が絡まってしまうために引き上げるのが非常に困難とも伝わっていることから別名が死骨湖ともされている。そして上がらなかった御遺体はいまも湖底で眠り幽霊として彷徨って出るらしい。またカルデラ湖のために水深が深く自殺者が多かったとも、恵庭岳の麓にあった廃ホテル(現在は跡地)では支笏湖で亡くなられた方の幽霊が出るとも噂されている場所だからね。支笏湖に向かう支笏湖通でも怪奇現象が起きると言われるほど、色々な噂が尽きない場所だ。少なくとも俺の中では樽前ガロー(苫小牧市)よりも支笏湖のほうが断然怖いと思っている。かつて某有名怪談家がこの地にDVDの収録の際に来ていた際に話していたことを思い出すよ。”本当は死骨湖というんだよ。身投げしても死体が上がらず、お化けが出るから洞爺湖(とうやこ)に比べてホテルが少ないんだよ。”と仰っていたのも、この地が曰くつきなのは間違いない。」と言い切ると、二人のやり取りを聞いて居た後藤は「いまさっき村田は死体が上がらないって言ったじゃん。でも実際に最近起こった事故なんて緊急搬送も虚しくお亡くなりになられたとも考えられた、引き上げられるってことじゃん。つまり水死体が上がらないってのはデマだってことがその時点で答えがわかったね。」と痛いところを突かれた村田は「まあ、まあそうだな。その前は2017年5月8日には支笏湖でゴムボートに乗り釣りをしていたが、風が強くボートが岸に戻れない状態に陥ったため消防に通報した後に行方不明になったが翌日の朝に二人が発見され死亡が確認された。どちらもライフジャケットを身に着けた状態だったが、今の段階では亡くなった二人が何かしらの理由でボートから落ちたと見られている。」と語った後に「色んな心霊系のサイトの書き込みなどを見ている限りでも、内地から遊びに来ていた高校生が水死した際にはヘリコプターも動員されたが行方不明のまま救出のために呼ばれたダイバーが支笏湖が水が冷たいためにダイバースーツを2枚重ねで向かったけども10分が限度と言われ、思うように救助活動が行かず、また言っているように水温が冷たいために腐敗が進まず、遺体が浮かんでこない環境が揃っていると言ってもいいかもしれない。だからデマというには決断が速すぎるような気がする。」と答えると、油井は「山線鉄橋からは俺一人で単独でライブ配信を行う。皆は湖畔園地でもせっかくこんな環境庁の調査で何度も日本一に選ばれるほどのものなんだから、ここにきたからこその絶景を味わいながら、俺はトホホ。俺が行くと言い切ったから有言実行で一人で山線鉄橋を渡ってくるよ。10時55分になったら山線鉄橋の付近からライブ配信を行う。何か報告することがあれば、トランシーバーの一台を監督に託すから随時監督に伝える。」と話し、杉沢村に預けると「わかった。何かあったら、本当にすぐ、どんな些細なことでもいいから報告をして。」と油井が一人で山線鉄橋のほうへと歩いていくのを見守ることにした。
そんな油井の姿を見た斧落は「本当に大丈夫なのかな。すごく心配になってきた。」と杉沢村に対して話しかけると、杉沢村は「多分大丈夫だろう。あれだけ強く言い切って有言実行をしないわけにはいかない。あいつのことだから、何事もなく帰ってくると思う。その際には前回の村田のような閲覧注意と付けなければいけないほどの解禁現象をしっかりとカメラに収めて帰ってきてくれることを願いたい。」と言って答えると、斧落の隣で話を聞いて居た甲州が「監督。そんなことを言ったら次の平和の滝の単独リポートは誰がするの?だって次から次へと心霊現象を撮影することが出来たらある程度覚悟を決めないといけないじゃん。だったらなおのことあみだくじで決めるとか、もう少しルールを具現化しないといけなくなってくると思う。」と提案すると、杉沢村は「大丈夫。もう答えは決まっている。次の平和の滝での単独リポートは俺、杉沢村が責任をもって行ってくる。今迄編集する立場だったからこそ現場を知らなければいけないと思っている。だから次は俺が単独で行ってくる。別に俺の言ったことで皆それぞれ単独でリポートするのって絶対明るい時間帯であれど怖いだろうしある程度の覚悟を決めないとやれないわけだからこればかりはもうお任せするよ。行きたかったらどうぞ、そんなスタンスで行こうか。」と語ると、一同は黙り込んだ後に秩父が「そんなことを監督自らが言ってしまえば、まあ油井もそうだけど、誰かしら一人が志願していくってことになると、今日はこの人がってのをやっぱり作らないといけないような気がしてくるんだよな。今迄いろんな心霊スポット行っているし怖いって今更そんなことは言えないけどもやっぱりある程度覚悟を決めてから臨まないといけないしね。」と語ると、それを聞いた後藤は「そんなに怖がるなら離脱しても良いよ。俺はどんな心霊スポットであれど単独で行ける覚悟がある。幽霊なんかよりも命ある俺達のほうが強いんだからね。これだけは絶対に忘れるな。」とスパッとした口調で言い切ると、秩父は後藤の強い姿勢を見て何も言えなくなってしまった。
そしてライブ配信用のカメラを片手に油井が山線鉄橋でのリポートを開始する。
「皆さんこんにちは。明るい肝試しのリーダー、油井です。本日2026年3月17日、午前中一発目に肝試しを行うのは千歳市内にある支笏湖です。水深360mとあるため、自殺志願者がこの地で最期を遂げるために訪れるとも言われ、また湖底の藻が多く含んでいるために水死体が浮かびにくく、そのために亡くなられた方が幽霊となって彷徨い続けていると言われています。そんな北海道でも有名な心霊スポットとして挙げられるこの支笏湖での心霊現象の真偽を確かめたいと思います。噂では車の助手席が濡れていた、霊からの電話がかかってくる、湖底に眠る成仏できぬ幽霊たちによって湖底へと引き摺り込まれそうになるなど、色々とあるが今の俺達にしか出来ない心霊実験を行いたい。因みに支笏湖の由来はアイヌ語のシ・コツ、大きな窪みという意味の言葉を無理矢理漢字で当てはめたのが支笏湖です。北海道、アイヌ語が関係するところが多いために読めない地名が多すぎます。今回はこのために、大きなサイズじゃなくてよかった。巷の心霊系のYouTuberがこぞって持ち歩くこのばけたんわらしの空君、青い色が特徴的で中にはパワーストーンのラピスラズリが入っているのと、もう一台はばけたんわらしの桜ちゃん。こちらにはローズクォーツのパワーストーンが入っている。パワーストーンの性質が違うために、今俺が持っているばけたんわらしの性能によっては違う結果が出るかもしれません。」と語ると、両手にばけたんのわらしを大事そうに持った状態で山線鉄橋を渡ってゆく。
ゆっくりと、ゆっくりと、今すぐにでも立ち止まることが出来るようなスピードで歩き進んでゆく油井。怖くないという事を主張したかったのか「今開発中のばけたんわらしのすみれちゃんも気になるなあ。中にアメシストが搭載されているとか、そんなんだったっけ。でもまあいいや。今の俺には桜ちゃんと空君が一緒にいるんだから俺は一人じゃない!」と自信満々に語る油井の姿を見た秩父が「果たしてこんな状態で大丈夫なのか。ははは。もう笑いをこらえるのに必死だ。ブフッ。」と言いながら油井のライブ配信を見続けていくと、油井が山線鉄橋の中腹の部分に差し掛かった際にあることに気が付くとそこでピタッと足が止まった。
”カーン、カーン”
乾いた金属音のような音が聞こえ始めた瞬間に油井が「待てよ。カンカン橋はここもかって、いやカンカン橋は自らの存在をアピールしたい自殺者の御霊達がラップ現象を起こしているというのはわかった。だけど、さっきからカメラで拾えているのかどうかわからないけども、誰か鉄橋の鉄骨を叩いているんだよね。観光客でも何でもない。音は明らかに鉄骨の外から聞こえてくるから、誰かがよじ登って叩いている様子なども見受けられず、風による金属の擦れる音だとしたらこんな俺の耳にもはっきりと明らかに叩いていると分かるような音にはそもそもならない。」と率直な意見を述べた後に、持っていたばけたんわらしの2台を橋の欄干のところに置いて反応を示すかどうか確認のために置いて待機することにした。
どちらも5分ほど経ってからボーンという音と共に幽霊の存在を示す赤いランプが自動的に点滅すると、空君は「後ろにお化けがいるから気を付けて。」と喋る一方、桜ちゃんは「キャアアア!」と悲鳴を上げるのを見た油井は「桜ちゃん、悲鳴を上げたら仕事にならないでしょ。」と呆れながらも、確認のために湖面の方向へと向けて霊視を行い始めた。
「水面から沢山の白い人影が浮かんでいる。これは全てこの地で最期を遂げた自殺者なのだろうか、或いは不慮の事故でこの世を去ってしまった方達なのだろうか。心霊レポートで投稿されている割合が少ないとはいえ、これは凄い。」
油井がそう語ると、たまらず星弥の携帯にLINE連絡をし始めた。
「饗庭さん!忙しいのに申し訳ない!油井なんだけど、支笏湖で大変な者を見てしまった!画像を送るからすぐにでもすぐにでも、ばけたんわらしも怯えてしまって大変なんだ!」と慌てた口調で語ると、星弥は「ばけたんのわらしね。そんな小道具を使って心霊リポートってなかなか寂しいものだね。」と苦笑いしながら話すと、油井は思わず「馬鹿にしているのか!俺だって仕事じゃなかったらこんなことしてねえ!」と反論すると、星弥は「何も画像など送らなくても答えは分かり切っている。実は油井さんたちが支笏湖に訪れると分かって前もって調べて置いた。警察官としてでなく霊能者としての答えを話そう。」と語ると、星弥は自分なりの意見を語った。
「赤い橋ってのは、現代と違って街灯などが普及していなかったときに、暗闇でも分かりやすい色を選ぶ傾向にあった時代に恐らく赤色が選ばれたのだろう。よく自殺の名所で赤い橋が多いのはその時代に造られたものが多いのだが、この山線鉄橋を見ているとここから投身自殺をしたというのはまずないと見て間違いない。」
星弥が語ったときに、油井が「え!?山線鉄橋からの自殺者が少ないのにでも俺はこの目で見た!水面に白い人影がびっしりと浮かび上がる様子をね。ばけたんのわらしもそれを見て俺にお知らせしてくれた。恐らくここが自殺者にとっての最期の地と考えるのが妥当なんじゃないのか?」と突っ込み始めると、星弥は「それは違う。ここは自殺者の割合よりも最近の報道にもあったように、この湖の怖さを知らぬものがレジャー目的で訪れたときに事故に遇って亡くなっている。つまり自殺より水難事故の割合のほうが極めて高いんだ。報道されている以外にもこの地は水難事故で亡くなられた方のほうが大多数を占めていると思われる。それは1月に明るい肝試しで行ったことがあるだろう、おしらじの滝を思い出してほしい。あんな浅瀬で滝が常に流れているわけでもない、それにも関わらず溺れて亡くなられる方が多いために遊泳禁止になったことを思い出してほしい。条件は全く同じだ。水質の透明度が高いところほど急激に水温が低くなる。そのために一度この湖に飛び込んだりしてしまうと、急激に体温が低下してしまい、心臓の機能が麻痺してしまう。そのためにボートから転落したり遊泳しようと湖に向かって勢いよく飛び込んだりして、泳げることが出来ずに亡くなってしまうパターンだろう。現れた白い人影も俺は確認した、他に投稿されてある動画でも湖のほうから男の呻き声のような、”ううううう”という声も確認取れた。死んだ今もなお、助けを求め現れ心霊現象を起こしたと考えるのが正解だろう。橋の欄干で聞こえた鉄骨を叩く音というのも恐らくこの地で溺れ亡くなった方達が藁にすがるような思いで鉄骨を叩いてSOSのサインを出している。死んだという自覚がないのだろう。気の毒な浮遊霊とみて間違いない。」と語った後に星弥は油井に対し「この地で亡くなられた方の多くは”まさか”という思いでこの世を旅立たれた方達ばかりだ。ライブ配信を終えたら明るい肝試しのメンバー全員で支笏湖神社というのが近くにある。そこで改めて亡くなられた方々に対して追悼の意を捧げるべきだ。自分たちの死を悼み、悲しんでくれる人がいると分かっただけでも、油井さんたちに禍を齎す危険性は無いと思う。」と霊能者として指南すると、星弥の説明を聞いた油井は「わかった。今はまだ山線鉄橋の中腹の地点にいるが、しっかりと渡り切って復路を行った際に皆の元へ合流して、皆で支笏湖神社に行って亡くなられた方の御参りを済ませたい。忙しいのに本当にありがとう。助かった。ありがとう。」と何度もお礼を言うと、ばけたんのわらしの桜が星弥の言葉をスピーカー越しに聞くと自動的に反応しボーンという音と共に青い光を発し喋り始めた。
「目の前にいるのは座敷童君だね!」
ばけたんのわらしの思いがけぬ言葉を聞いた油井は失笑しながら「ロボットはロボットだな。あんな190cmもある座敷童なんていねぇよ!せめて弘法大師って言わないといけないよ。」と鋭い口調で突っ込むと勢いよく山線鉄橋を渡り切ると急ぎ足で山線鉄橋を再び渡り始めた。
そして再度確認のためにもう一度橋の中腹の部分で立ち止まり欄干越しに湖面のほうを覗き込むと、改めて星弥が伝えた事の意味を理解したのか油井はそっと両手を合わせ「南無阿弥陀仏。」と呟いた。
ライブ配信を終えた油井はメンバーと合流した後、星弥の指示通りに支笏湖神社へと足を運ぶと、そこで改めて参拝を済ませたところで、支笏湖でのライブ配信を短時間のうちに終了させたのだった。車まで戻ってきた油井は「展望台まで行かなきゃいけないと思いながら挑んだが、でも実際に心霊検証を行うと2時間ちょっとぐらいしかいなかったね。でもここに来てよかったね。噂はデマにしか過ぎなかった、それを色々な人に俺が見た事、星弥さんが教えてくれたこと、しっかりと伝えたい。」と自分なりの感想を油井が語り終えた後、一同は次の目的地である平和の滝へと向けて出発することにした。
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