【完結】慰霊の旅路~試練編~

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佐白山/笠間城跡(茨城・笠間市)

公開日時: 2022年1月22日(土) 18:55
文字数:9,032

明るい肝試しのライブ配信の動画を見て、侑斗は星弥に「何か最期のバイクのエンジン音でさ、結局何で聞こえたんだろう?って周りが同じリアクションを起こしたにも関わらず誰一人事故当時の状況がフラッシュバックしたことによるものって気づかないんだろう。不思議だなあ。」と話し始めると、星弥は「霊視を行う事と透視を行うことは紙一重で、彼らは強い霊能力を持っていることには間違いない。ただそれが現実に起きているのか、過去で起きた出来事がふと脳裏でよみがえったものなのか、彼らは見た限り”ただただ霊感が強い”だけに過ぎないのだろう。専門的な知識やライセンスはないために、こんな活動をずっとしていたらぶっちゃけた話、短命になること間違いないからね。この世を彷徨う御霊が全て良い御霊ではない、邪念を持っていたり中には恨みを晴らそうとしている御霊だっている。御祓いの術を持っていなければメンバーのうちの誰かが大変なことになるのは避けられない。肝試しを明るい時間帯にやったとしても意味がないことだ。」と指摘すると、侑斗が持っていたタブレットを見始めると「TikTokで次に行く心霊スポットを生配信されるみたいだよ!」と言い出すと、”明るい肝試し”の公式TikTokで配信される動画を閲覧することにした。


「皆さん!おはようございます!企画担当の斧落です!私達の朝9時からニコニコ動画とYouTubeで生配信をさせて頂きました多良崎城跡の明るい肝試しはいかがでしたか?なかなか怖い写真が撮れました、そして最後に皆で記念撮影した写真にも皆さんに是非とも見せたいものが写り込んでしまいました。合計で3枚デジタル一眼レフカメラで撮影したのですが、全ての写真に白い靄のようなものが写り込み、また左上のところにはカメラのフレアでもハレーションでもない、赤いオーブらしきものが我々に向かって飛んできている様子が3枚目には写っています。これだけ説明がし難いことが続くと、我々明るい肝試しチームとしての結論としては危険度ランクを最高の五つ星に認定したいと思います。いやここは本当に城で出会った白装束の女性の霊達もやっぱり見ていて何かこう訴えてきているようなそんな感じはしました。成仏されることを祈って生きている我々は女性の霊達の鎮魂の祈りを捧げるしかないでしょう。そして今我々が向かっているのは一般道で1時間ほどで辿り着く佐白山というところです。ここは笠間城跡があることも知られ、佐白山と笠間城跡、2か所セットで以前オカルト番組の心霊特集でも取り上げられました。オカルト好きなら知っている方は多いかと思います。そこで笠間城跡でのライブ配信を昼休憩を取ってからの13時から行いたいと思います。では13時からのライブ配信を楽しみに待っててね~!」


斧落がにこやかな笑顔でTikTokでの宣伝を終えると、星弥は「日本じゃ朝だろうけど俺達寝たい。こっちは夜中の3時なんだぞ。侑斗は見るのか。ってか13時からってまた朝の5時に起床しないといけない。」と文句を言い始めると、侑斗は「俺は頑張って起きてみたい。どうせ明日には日本に帰らなければいけないわけだしね。見れる時にこそどんな内容なのか検証のためにも見てみたい。」と話すと星弥はファーと欠伸をしながら「時差ボケ解消のためにはいいかもしれんな。まあいいや。俺もこの動画を見なければ、思えば東北は行ったのに、茨城とか栃木、群馬、埼玉、山梨の心霊スポットは行かなかったな。改めて検証を行う必要があるとは俺も思ったし(侑斗の顔を見ながら)一緒に見ようか。」と話すと、侑斗は「そうだね。とりあえず仮眠しますか。」と言い出すと二人は再び眠りにつくことにした。


だが、ライブ配信の日本時間13時に二人は起床することは出来なかった。

ぐーすかと鼾をかきながら寝る二人は、侑斗が寝言で「ありがとうございますだなんて、そんな伍長199名の仲間を連れて僕の耳元で囁かないでくださいよ~。」と意味部かな言葉を言いながら5時を過ぎたことにすら気づかずに時間だけが過ぎてゆく。


予定通りに”明るい肝試し”のライブ配信が12時55分頃からライブ配信されると、進行役の油井が「前回の多良崎城跡で落武者=サムライだと誤った解釈があり本来なら武士と言わなければいけない所をサムライと言っていた件でコメント欄で、武士とサムライは違うだろという突っ込みがあったので、すみません。これから先は武士として皆さんにお伝えしたいと思います。大変失礼しました。」と先ずは一言謝罪の言葉を告げると、今回の心霊スポットとして肝試しを行う場所の説明を行い始めた。


「今回は、前回の多良崎城跡で説明をさせて頂きましたが、笠間城跡です。僕達は某ホラー映画の題材にもなったとされる井戸の在処も含めて今回調査をさせて頂きたいと思います。そして今回の笠間城跡のみならず、複数個所あるとされる井戸についても今回検証を行いたいと思います。それでは皆さん、最後までお付き合いをして頂けたら嬉しいと思います。では早速”明るい肝試し”スタートです!あっ、ついでに言っておきますけど、勿論今回も編集のむっちゃんが撮影交渉して取材の許可は頂いていますので、無許可ではありませんよ~!安心して下さい~!もう一つ、佐白山と笠間城跡の調査に同行したいということで、今回新たに我々”明るい肝試し”のメンバーの一員として参加してくれるフリーの映像作家がいますのでご紹介します。どうぞカメラの前まで来てください。」


油井が新メンバーに対してカメラの前まで来るように話すと照れ臭そうに「どうも。明るい肝試しTVの企画のゴーストライターをやっておりました(二人の後ろで斧落が笑い始める)、怪談蒐集家兼フリーの映像作家&イラストレーターをしています村田岩熊といいます。今回は僕が怪談蒐集家として選りすぐりの怖い話を皆さんに聞かせたいと思い、メインリポーターの油井君と一緒に並ぶような形でサブリポーターを務めたいと思います。後ろで笑ったメイサちゃん、さっきのは冗談だよ。勿論メイサちゃんにもむっちゃんにもアシスタントとして何か感じたことがあれば率直にご報告をお願いします。畑君、秩父君、後藤君、杉沢村監督も色々と指摘しなければと思ったときは何なりと仰って下さい。僕一応こう見えて霊感は強くって過去の透視をすることが出来るんです。ここにいる皆さんと同様で御祓は出来ません。そこはメンバー8人の共通項かもしれません。ニコニコ動画をご覧の皆さん、そしてYouTubeをご覧の皆さん、お付き合い宜しくお願いします。」


村田がそう語り終えたところで、油井と村田が千人溜駐車場から徒歩で笠間城の大手門跡のほうへと歩き始めると、山頂の笠間城跡を目指し歩き進んでゆく。


油井と村田の後ろについていた斧落が佐白山で伝わる心霊現象について話し始めた。


「佐白山、笠間城跡とも取り上げられる茨城県内では非常に有名な心霊スポットの一つとして多良崎城跡と並ぶほどの知名度の高さを誇る。因みに笠間県立自然公園の一つであり、かつてここには古い井戸があり暴行された人が井戸に投げ込まれて置き去りにされてしまったという。噂では恐らく暴行された女性によるものだろうか井戸を覗き込むと女性の顔が映る、霊が井戸の前に立ち来た者に対して睨み付けてくるらしい。井戸については全部で4つあり全て見つけてしまうと呪われてしまったり、神隠しに遭うなどの怖い噂がある。」


斧落の話を聞いた村田が自分なりに知っている知識と歩く先にある笠間トンネル内で実施したいことについて語り始めた。


「井戸の噂については諸説あってね、3つ見つけただけでも呪われてしまう、覗き込んでしまうだけでも呪われる、神隠しに遭うとも言われているが、本当に怖いのはそれではない。井戸の近くに池があって近付いてしまうと女性の霊に引き摺り込まれるという噂もある。そのほかに笠間トンネル内では武士の霊や、手を繋ぐ親子の霊がでる、トンネル内でクラクションを3回鳴らすとエンジンがかからなくなるという話やフロントガラスに子供らしき小さな手跡がつくと言われている。今先程俺が伝えたことについては、現在車での通行が禁止されている以上、トンネル内で明るい肝試しのルール上厳禁ですが心霊検証のためにも小道具を使います。車のクラクションを鳴らすことが出来るスマートフォンのアプリを使って3回鳴らしてみたいと思う。そしてフロントガラスの代わりにむっちゃんが持ち歩く手鏡で検証したいと思います。シンプルなデザインの、スタンド式のミラーだね。」


村田が話す内容に油井が「それで本当にエンジンがかからないってなった時ってエンジンじゃなくてスマホが起動するか否かってところだよね。それにあのトンネルさ写真を見ただけでも果たして車が通れるようなといっても乗用車は無理だろ。乗用車で入っていけたとしても車高の低いセダンとか、軽自動車が1台通れるだけでやっとぐらいな感じだったから、そもそも多くの車が通れることを前提にしているような気がするんだけどな。でも色んな噂があるのは間違いないね。俺もちらっとスマートフォンで調べてみたけどここは徳蔵寺の僧兵と戦うために築城され、激しい戦が繰り広げられたことから多くの武士が命落した地でもあるため武士の霊を目撃したというのもある。そしてメイサちゃんが話したように、一人の女性が激しい暴行をされた末に古井戸に投げ込まれるという事件、これが恐らくホラー映画のネタ元になったのではとされているが色々と調べてみる限り、そんな情報はない。恐らく映画を見た人が、映画のシーンと似たような井戸があることに気付いて何かあると感じてそういう情報を流した可能性も捨てきれない。事実なら古い事件であっても記録として残っているはずだからね。殺害された女性が霊となり、井戸を覗くと女性の顔が水に浮かんだり、井戸に女性の霊が現れると何もすることなく睨み付けてくるというというのもね、皆映画の見過ぎだよって言いたくなるようなところだよ。」と笑いながら話すと、村田は「エンジンがかからないって実験は出来ないんでね、スマホが起動するかしないかを検証のほうが正解かもしれないね。それから鏡はむっちゃんのスタンド式の鏡と、メイサちゃんがいつも持ち歩く折りたたみ式のスタンドミラーの合わせ鏡で検証したいね。折角だからお互い鏡を手に持って合わせるような形で変化が起こらないか確認しようか。クラクションのアプリは俺の持っているスマートフォンのアプリでクラクションを鳴らすことが出来るというのがあれからそれで実践してみようか。」と言ったその瞬間だった。


周囲の木々が風もないのに急にパキパキと枝が折れるような音がした。


まるで”明るい肝試し”チームの心霊検証を拒むようにも感じ取れた。


そんな中で一番後ろを歩く後藤が「さっきから苦しそうな男の人の呻き声がするんだよ。ううううって、やっぱりここは何かあるような感じがしてならない。」と話すと一緒に並ぶような形で歩いていた秩父が「俺も。呻き声が本当に聞こえたというのもあるんだけどさっきから俺達”何か”に後をつけられているような気がするんだ。気になって振り返ってみても、やはり誰もいないんだよね。」と話すと、先を歩く畑が後藤と秩父に「後藤と秩父の背後に、噂通りの武士のような男が睨み付けていて、後藤が勘づいて秩父も気づいたから、その武士の男は木々に紛れて消えてしまった。」と二人に対して説明をすると、それを聞いた甲州が「やっぱり無念の魂が彷徨っている何よりの証拠ね。」と話すと、斧落は「沢山の武士が戦った末にお亡くなりになられた地ならば大切に供養がされているはずなのに、でもわたしたち心霊スポットの投稿サイトで投稿されてある笠間城跡に鎮座する佐志納神社も写真で見る限りでは中に飾られてある千羽鶴が色褪せていたり、建物に行くまでの階段の地盤が傾いているあたりから察しても果たして大切にケアされているのか、参拝される方がいるなら階段も修復されるはずなのに、戦没者の幽霊を供養するためだけの神社ならばもう少しケアがされてもいいと思うんだけどな。投稿されている動画を見ても誰も足を運んでいないのは明らかな感じだよ。」と話すと、それを聞いた村田は「調べてみたら戦があったのは鎌倉時代の話になるね。真言宗の正福寺と徳蔵寺の勢力争いが盛んになり両寺院の僧兵が争っていたとあるね。劣勢だった正福寺勢が下野守護宇都宮頼綱に対して援軍を求め、依頼を受けた頼綱は甥の笠間時朝(塩谷時朝)を派兵したとされるのが1205年(元久2年)とあるからね。そのころに徳蔵寺の僧兵と戦うための拠点として佐白山の山麓に麓城を築城し、徳蔵寺を討つことが出来た。しかしながら、麓城の規模が大きすぎるがゆえに、味方のはずの正福寺の僧兵までも頼綱に抵抗を示すようになると、時朝が正福寺と徳蔵寺を滅ぼした後に佐白山頂に1219年(承久元年)に築城を開始して、16年後の1235年(嘉禎元年)に笠間城は完成した。江戸時代は笠間藩の藩庁が置かれたところでもあったようだが、1871年(明治3年)の廃藩置県と1873年(明治6年)の廃城令により廃城処分となったことを機に建物が解体されたようだからね。色々な歴史のヒストリーがあるとしても、どうだろうね。ある霊能者は100年以上も前の霊は土人形のようにどろどろの状態で現れる、100年未満の場合は死んでからそんなに年月が経っていないのでフレッシュな状態で現れるという話もあるが、鎌倉時代。果たしてフレッシュって言ったら怒られそうだが、どうなんだろうなあ。」と油井に対して聞き始めると、「さあ。それはどうだろうね。頼綱が正福寺に時朝を派兵したのが820年も前の話なんだから、人としての原形をとどめていないと言い切ってしまうとそれはちょっとやはりお門違いなような気はするんだけどな。結局、正福寺だって徳蔵寺だってお互いの勢力を守りたいために争ったんだろうし、戦ってお亡くなりになられた僧兵の霊だってプライドがあるんだから。それがなければ命を落としてでも戦ったりしないと思うし、100年以上時は流れたとしても、人が思う事というのは決してそれは何年経ったとかそういうのは人が人である以上変わりはしない。思いは不滅だからね。」と話すと、八人が歩く先についに幽霊が出るとされる笠間トンネルの入り口が姿を現した。


トンネルを前に甲州と斧落がお互いの鏡を準備し始めると、村田が油井に「とうとう化けトンのところまで来たね。」と話すと、油井は村田の顔を見て「ここからが本番だ。親子の霊が出るのか、武士の霊が出るのか、スマホのアプリでクラクションを鳴らすと異常は起こるのか、合わせ鏡で変化は起こらないのか、検証開始だ。」と強い口調で言い切ったところで、トンネルの中へと入っていく。その際に左側を歩く甲州が斧落に合わせて鏡を向けると、右側を歩く斧落が甲州に合わせて鏡を向けながらトンネル内を歩き始める。


油井が後ろを歩く甲州と斧落に「合わせ鏡に変化は無いか?鏡に写らないものが写っているとかそういったのはないか?」と話すと、甲州は「いや。何も。トンネル内の落書きが至る所にあって酷いねとしか言いようがない。」と答えると、続けて斧落が「わたしも。ただ、さっきから気配はするんだよね。それが武士なのか手を繋ぐ親子の霊なのかどうなのか、まだはっきりとしていないけど、出てきそうな雰囲気はあるね。まだ現れていないからはっきりとしたことは言えない。」と答えたところで、村田がトンネルの中腹部分で立ち止まり、噂の内容を実証するためにスマートフォンのアプリでインストールされてあるクラクションを鳴らすことが出来るアプリを起動してクラクションを試しに5回鳴らしてみたが、これと言って変化もなく、アプリを閉じようとした際に異常が起こるのかも確認してみたがやはり通常通りにアプリは閉じられ、待ち受けの画面に戻ることが出来た。


そのことを視聴者の方々に見てわかりやすいようにカメラを前に実証した村田の様子を見た畑が「やっぱり噂は噂に過ぎないってことだね。先へ進もう。」と話し、油井も「そうだな。それにまだ井戸の一つも見つけられていない。」と切り出し先へと進み始める。トンネルの出口まで出たところで、道なりに進んでゆく。


そして油井が村田に対して「何だか噂通りの井戸っぽいものが見えてきたぞ。これじゃないか。」と話すと、村田が「恐らくそうだな。第1の井戸発見した!」と語ると二人で井戸の近くまで接近し、油井が井戸の蓋をスライドして開けようとしたがもう誰にも悪戯されぬようにがっちりと固定されておりビクともしなかった。


その様子を見た村田が「やっぱりここは何かあるね。しかしどうしてビニールテープでグルグルに巻く必要があるんだ?謎が謎を生むね。蓋を開けないようにするにしてもビニールテープじゃ誰かが破いたらおしまいじゃん。何のため?って思われてもしょうがないね。」と話すと、油井がメンバー全員に対して「次の井戸を探そう。何があったか否かはこれから検証するべき話だ。先を行こう。」と語ったところで、八人は一度来た道へと戻ると、山頂を目指し歩くことにした。


何キロか進んだところで、村田が油井に「右手に井戸のようなものがあるよ。」と話すと、油井が「おっ、そうだな。第2の井戸発見!調べようか。」と話すと、井戸へと近付いてみることにした。だがしかし、第1の井戸と同様、結果は同じで蓋は開けられないようになっていた。


畑が油井と村田に対して「これ以上井戸の蓋を開けて女性の顔が水面に浮かび上がるとか、呪われるとか、噂の真偽の情報の検証を確かめるのは無しにして、山頂にある笠間城跡へと向かって歩こう。」と提案したところで、杉沢村も畑の意見に同調するように「これ以上井戸を探し続けていたら日が暮れてしまう。なるべく明るいうちに終わらせて今日の肝試しを終わらせることしよう。」と、二人の意見を聞いた油井が「そうだね。あんまり長居していても、キリがないことだからね。」と賛同したところで、村田も「そのほうがよさそうだな。それに井戸の数の正確な数が分かっていない以上、俺達は不正確な情報を頼りに探し続けることになる。」と答え、井戸を探すことは諦め、山頂にある佐志納神社へと向け移動をすることにした。


歩き続けてやっと広い場所に辿り着いたときに、笠間城跡の案内板を発見した。


「どうやらここが笠間城跡のようだな。Googleマップにも記載されてある。」


油井がスマートフォンを片手に話すと、村田が「佐志納神社を探して歩こう。」と油井に語り掛けると「そうだね。山頂を目指そうか。」と答えるとその場を後にした。


歩き続けること1時間が経過してやっと八人の前に佐志納神社へと向かう階段のところまでやってくると、斧落が「階段歩けるようになっているね。でも石垣は直っていないね。黒色のシートで覆われているね。」と話すと、村田が「そこまで直そうと思ったらお金がかかるからじゃないのかな。未だに東日本大震災の爪痕が残っているだけでも貴重じゃないか。」と話すと階段を上ると、その先にあった佐志納神社の前まで辿り着くと八人全員が一列に並ぶような形で一礼二拍手をしたところで、さっと後をすることにした。しかし、甲州が油井に対して「何かある。何かあるような気がする。佐志納神社も写真撮影しよう。」と持ち掛けると、油井は「そうだな。心霊スポットではないが撮っておこうか。」と言って、ポラロイドカメラとチェキとデジタル一眼レフカメラを使用し写真撮影を行うことにした。


念のため、笠間城跡とされる城があった場所にまで戻ってきた際にも3台のカメラで写真撮影したところで、大手門跡にまで戻ってくると明るい肝試しの茨城県内での肝試しを終了することにした。八人は車まで戻ってきたと同時に撮影した写真を検証し始めた。写真を眺めながら油井は「二つ発見した井戸には何かしらおかしなところは見受けられないが不気味だったのは間違いない。笠間城跡も何ら不自然な点は見受けられない。しかし佐志納神社の、赤い発光体が写っているのは何だろう?」と切り出したところでそれを見た村田が「オーブだろう。カメラのフラッシュによる反射ならレンズが写るはずだがレンズらしきものが写っていない。ましてやフラッシュが飛ぶなんてことは考えられない。俺も試しにハイキングコースの山道の気配を感じたところを所々スマホのカメラで撮影したんだけどさ、見てみろよ。赤いオーブが写っているんだよ。一つや二つどころじゃない。その上後藤と秩父が聞いた男の呻き声だって説明のつかないことが井戸以外で起きている。怖いのは井戸じゃない、城跡の周辺だったんだな。」と結論がついたところで、油井がカメラを前に「明るい肝試しをご覧の皆さん、答えが見つかりましたよ。本当に怖いのは井戸ではなく激しい戦が繰り広げられた笠間城跡周辺だと答えが判明しました。よって、殺された女性の幽霊見たさに井戸探しはしないほうが良いと思います。噂だと判明した以上は、時間の無駄だと思います。」と言い切って、YouTubeとニコニコ動画のライブ配信は終了した。


ライブ配信を終え、村田が「明日撮影する栃木編が楽しみだな。」と油井に対して話すと油井は「明日は今日と同じ朝の9時から矢板市のおしらじの滝で明るい肝試しを行う。」と話すと、それを聞いた村田は「せっかくだから一般道を使って2時間ぐらいなんだからおしらじの滝に行かないのか?到着しても明るくないけどね。」と話すと、杉沢村が「俺達、笠間城跡で井戸探しにって多いに時間をかけたから今だってもう17時を過ぎちゃっているよ。それに明るい肝試しのスローガンは午前中から午後の暗くない時間帯で肝試しを行うことだ。暗くなってからの肝試しは行わない。予約していたビジネスホテルへと向かう。」と言って説明したところで、八人は栃木県へと向けて出発するのだった。


一方スペインへ里帰り中の星弥と侑斗は明るい肝試しのライブ配信が終わっていることにすら気づかず熟睡していた。

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