半年に一度の国庫輸送の日。
ある男が騎士団に捕縛されたというニュースが、王都中を駆け巡った。その男は詐欺師。稀代の詐欺師として、界隈では有名だった。
騙されていた人々は歓喜し、金を返せと騎士団に詰め寄った。しかし、騎士団が捜索したところ、驚くことに詐欺師の財産はほとんど無かったのだ。人々は怒り狂った。我らの金をどこにやったのかと。
時を同じくして、もう一つのニュースが報じられた。王都中の孤児院に多額の寄付があったというのだ。
その二つのニュースによって、とある噂が流れ始める。彼は義賊で、詐欺で儲けた全額を孤児院に寄付したのではないか、と。
しかし詐欺師は口をつぐみ、何も言わなかった。
美学を持つ詐欺師への賞賛が、王都を包んだ。
果たして、その真相は。
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第二章開始です。
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