あじさい色のアミィ~永久に枯れない花束を~

二重人格のドジッ娘メイドアンドロイドが贈る、純愛ラブコメです!
ゴサク
ゴサク

46話 お買い物です!

公開日時: 2020年11月24日(火) 12:25
文字数:1,830

「おはようございます! ご主人様!」


「おはよう、アミィ」


 今日は休日、特に予定も無い。こんな日はゆったり過ごすに限る。俺達は、二人でゆっくり朝食をとることにした。


「そうだなぁ、いつもアミィには朝食を作ってもらってるし、たまには俺が朝食を作ろうかな!」


 俺の言葉に、アミィが手をパタパタと振りながら慌てている。そんなアミィの姿で、俺の目はパッチリと覚醒した。


「そんな! とんでもありません! 朝食を作るのはメイドのお仕事です! ご主人様はゆっくりお待ちください!」


 アミィはそう言うけれど、アミィはもうメイドである前に俺のパートナーだ。これからはどんなときでも、何でも協力していきたいと思う。


「う~ん……それじゃあ、一緒に朝食を作ろうか! それならいいだろ? アミィ」


「そうですね……はい! そうしましょう!」


 俺達は二人で簡単な朝食を作り、テーブルについた。俺とアミィの共同作、これほど旨い朝食も無いだろう。


「いただきます」


「いただきます!」


 …………


 食事を始めてしばらくすると、アミィが少し不思議そうに俺に話しかけてきた。


「そういえば、ご主人様、ちょっと聞いていただけませんか?」


「何だい? アミィ」


「昨日、私の充電中に何だか変わった事があったんです」


「変わった事?」


 アミィは充電中に起きたということを俺に話した。その話は、俺からしたら突拍子もない話に聞こえた。


「それって、どういう事だろうな……」


「私もこんな事初めてで……何なんでしょう?」


 アミィは不思議そうに首を傾げる。

 話を聞く限りでは、アミィが見たのは人間で言う夢みたいなもののようだけど、アンドロイドが夢を見るといった話は聞いたことがない。

 もちろん、アミィが言う紅い髪の女性というのにも心当たりはない。しかし一つ言えるのは、時々アミィの性格が変わる事に大きく関係しているという事だ。


「その女性は『いつもお前達を見ている』って言ってたんだよな?」


「はい、とても優しそうな人でした」


「そうか……何なんだろうな、本当に」  


 ダメだ、俺達がいくら頭を捻ってもどうにもならない。この件については一度高月博士に聞いてみた方が良さそうだな。


 俺達は朝食を食べ終えた後、これから暮らしていく上での幾つかの取り決めをした。

 俺達が愛し合っている事は無闇に他人に話さない事。基本的には、今まで通り生活する事。そして、二人きりの時はお互い遠慮しない事。


「さしあたっては大体こんな感じかな、守れるよな? アミィ」


 アミィは俺が提案した取り決めに疑問があるみたいで、眉を潜めながら首をかしげる。


「お互いに遠慮をしないというのはよいのですが、なぜご主人様と愛し合っていることを他の人に話してはいけないのですか?」


 そのアミィの疑問に、俺は少しドキッとしたけど、アミィからしたら至極当然の疑問だ。

 アミィは昨日、愛という感情がどんなものかを知って、そのことをとても喜んでいるのだから尚更だ。


「いや! このことはもっと落ち着いてから皆に大々的に話したいんだ! それまではアミィにはつらい思いをさせるけど、我慢してくれないか?」


「はい、ちょっと寂しい気もしますが、解りました」


 俺のちょっとしどろもどろな態度に、アミィは何だか納得していないようだったけど、最終的には主人である俺の言うことを聞いてくれたみたいだ。


 アミィにはこう言ったけど、正直な所、人間とアンドロイドと恋仲になるといった話はそうあるものじゃない。普通に他人に話しても、俺は気が触れたか性癖異常者としか見られないだろう。


 このことをアミィが知ったら悲しむだろうから、この事実は今はアミィには黙っておこう。


「よし! それじゃあこの話は終わり! 今日は特に予定もないし、部屋でゆっくりしようか?」


 アミィが俺の言葉に反応して、おずおずと話を切り出す。


「ご主人様、ちょっと、お願いがあるのですが」


「おいおいアミィ、二人きりの時は遠慮しないって言ったばかりだろ?」


「そ、そうでした! それではご主人様、今日は二人でお買い物に行きませんか?」


「買い物?」


「はい、私、買いたいものがあるんです。どうでしょうか?」


 アミィが買いたいものか、これは今までに無かったことだ。これからはこんな風にアミィにもどんどんお願いして欲しいもんだ。


「もちろん良いさ、それじゃあ早速行こうか!」


「ありがとうございます! それじゃあ準備しますね!」


 俺達は朝食の後片付けを済ませ、街へと繰り出した。

 二人が愛を確かめあって初めてのデート、俺の気分は高まりっぱなしだった。

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