九州の山奥で生きてきた少年「響ワタル」はいたって普通の少年である。
……と、自分では思っている。
ほんの少し薄幸なだけで決して変だというわけではない、と、思っている。
幼少のみぎりに父母を亡くし祖父に育てられている、ただそれだけ。
祖父の薫陶の賜物で妖怪変化を使役している、ただそれだけ。
そんなの全く普通だ、と、思っている。
そんな自称普通の少年響ワタルは、このたび「嫁探し」のために転校することと相成った。
しかも「女子学園」に、だ。
しかも「魔法少女しかいない学園」に、だ。
なんだそれは?!である。
ワタルは思っている、自分は変な学園に押し込まれたと。
魔法少女ってなによ?!と。
使役する妖怪変化を引き連れて。
魔法使いって変じゃね?!と、思っているのだ。
そんな、なにが変なのはよくわからない。
この世の片隅でのお話。