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R×2 67  【空翔君乎護】

公開日時: 2022年10月4日(火) 15:53
文字数:2,540



 ヒカリとアキアカネはカルマの指示通り、多数の弾幕を貼る。現在、ナユカの歌が発動してない以上、自動で継続的にMP回復のバフはかかって居ない。

 だがしかし、2人はそんなことお構い無しに様々な属性の弾幕を鳥を取り囲むように放ち、その軌道寸分違わず、後続の弾幕が追いかける。

 様々な弾幕は多岐に渡り、その軌道は虹色へ流れてゆく。


 出来上がったのは、鳥籠を横に倒したような形の弾幕。


「ここかな」


 それを見ながら、カルマは右手に魔法陣を浮かせるようにして覗き見る。そしてその手の上の魔法陣には普通とは違う。ストップウォッチのような表示がなされ、その針が少しだけ進む。



 一方、ユキ達も何かしら動きを察知したのか。2人の弾幕とカルマの動きから、自分の動きを模索する。



『ナユカ!何か動きがありそ〜。自分の判断で大技使っていいよ〜』


『了解!』



 ナユカに〔念話〕を飛ばしながらユキは再び海に落ちる。水中を進みながら大きな魔法陣を描き出す。


「ユキさん」


「ビュア〜。たぶんヒカリ達とカルマが何かしだしたから聞いてきてよ〜。できるだけ早く。私はそれまでに魔法陣を作る。出来れば鳥をここに留めておいて」


「なるほど、足の速さならおまかせください」


 ユキの動きに合わせて、あとを追いかけるようにビュアが接近。会話を挟んで、即座にヒカリ達の方へ爆速で進み出す。

 海の中なのにかなりのスピードが出ているため、ユキはそれに驚きつつ魔法陣を描く。自信が大きく1周して作る巨大な魔法陣。


(海は水がいっぱいあるからね〜。ほんとはアリアとの相性を見て作ってたんだけど〜。初披露かな)



「お〜い。聞こえるか〜い?」


「あ?なぁんだよ?」


 ユキは魔法陣を描きながらランプを見つけ彼に大声で(そうでも無い)呼びかける。


「これからあんたんとこの相棒が大技使うみたいだから、あの鳥ここで留めといてくれな〜い?ついでに私に岩は落とさないようにね〜」


「あー?」


『おい、カルマ。お前なんかすんのかー?』


『ん?あぁ、伝え忘れていたよ。大技切る、ほんとはナユカにぶつけたかったけど、ここで使うべきだと判断したんでね』


『ちっ、まァーしゃーないか…。下で白雪姫がなんかするみたいだぞ?鳥を動かさないようにしろ、とか言われたがァ』


『そうか。好都合だね。今彼女と一緒にいるんだろう?こっちも今ビュアちゃんだっけ?が教えてくれたからね。伝えておいてくれよ。デカイのは僕より先に撃つようにって』


『ちっ、わァーたよ!』



「おい」


「なに〜、今忙し〜んだけど?」


「相方がお前に伝言だとよ。あいつより先にデカイのは使え。伝えたからなァ!俺はこのムシャクシャを鳥にぶつける!お前らとはひとまず休戦だァ」


「いや〜、パーティー組んだ時点で強制的に休戦でしょうに」



 ユキの言葉を聞かずに水面に飛び出して行ったランプ。ユキはそんな彼を横目に見ながらも、魔法陣を作り上げていく。


 そして、鳥はヒカリとアキアカネ、そしてランプに相手を絞ったのか。3人に集中的に弾幕を貼る。





 秒針は進む。





「ふむ。なかなか考えてるコッコね。なら我からも仕掛けていくコッコ【朱雀火依りスザクびより】」



 鳥は大きく旋回しながら羽を広げ、今度はアキアカネ目掛け、鳥のように動く弾幕を放つ。その鳥たちはまるで意志を持つかのように縦横無尽に動き回り。鳥そのもの、唐突に加速して嘴をアキアカネに向け突撃してきたり、群れを成してヒカリを襲い、何匹かに別れ陣形を組んで波状攻撃をランプに仕掛ける。


 鳥のような弾幕は、文字通り弾幕。触れたらダメージを貰う。


 3人は回避主体で動き回りながら、少しづつ弾幕を相殺していく。


 だが、その弾幕を放った鳥はさらなる追い打ちを仕掛け空をかける




「【八咫烏は前を往く】」



 唐突に直角に起動を変え、その燃え盛る自身の体を武器とし、ヒカリに弾丸がごとく突っ込む。


「グッ…」


「ヒカリ!?」


 掠めるようにして突撃をその体に受けたヒカリ。なんとかHPは残っているものの。ヒカリは急激に落下していく。


「気絶!?」


「まずひとりコッコ」



 直前の鳥の群れを回避のために上昇していたヒカリは海まで距離がある。

 その落下するヒカリに狙いを定め、鳥は再度直角に軌道を変え、ヒカリへと向かう姿勢を見せた。


「させるかぁぁぁあ!!【空翔君乎護Horus class】!」



 パーーーン!!



 ヒカリと鳥がぶつかる直前で、ギリギリ現れた何かがヒカリを護る。それはヒカリを乗せ、アキアカネのそばまで運んできた。それは少し歪な、一昔前の飛行機のような。ヒカリを乗せて彼女を護る。ついでにそのタイミングでランプは鳥に攻撃を繰り出すが、ちゃっかり防がれる。



「コッコッコ!なるほどコッコ。〔シールド〕…、いや、〔隔離〕か!それに〔搭乗〕〔自動〕〔防衛〕〔輸送〕なんかも使っておるコッコ!」


「奥の手なのにペラペラと、これみんな見てるんですよ!」


 なんか違うところにお怒りのアキアカネ。そんな会話をビュアは聞きながら。


(普段あなた達2人が実況席で同じことしてますよ!?)


 心の中で突っ込むが、もちろんアキアカネには届かない。




「それは悪かったコッコ。しかしソナタもしぶといコッコね?前も相方を守っておったが、今回は見捨てて攻撃すれば倒せたかもしれぬコッコよ?こやつのように」


 ランプに翼を向けながらアキアカネにそう言うニワトリ。

 ランプは防がれて機嫌が悪そうに今も鳥目掛けて弾幕(岩)を飛ばす。


「私はヒカリを護るそれだけです!」


「チャンスを無駄にしてまで護っても、その後負けたのでは意味なかろうて。それなのにソナタは護ると言うコッコ?」


 心底不思議そうに鳥はアキアカネに問いかけ、ついでにランプの攻撃を片翼であしらう。

 それにアキアカネは何もせずにただニワトリに言い放った。


「2人で生きてないと楽しくない。私はヒカリがいるから楽しいんだ!ヒカリを護って何が悪い!」


 ニワトリは笑う。


「そうか。ソナタは今。楽しいか?」


「当たり前だ!」


 なおも真正面から言い放つアキアカネ。彼女はひとりニワトリの前に立つ。



「ならクリアしてみせよ。全員欠けることなく我が鍛錬を越えたなら、ソナタらに我から特別をやろう」



 さあ、ゲームは更に進む。






《緊急クエスト内容変更を確認。これより「鳥の鍛錬」は「酉の導きて」に変更されます》



 それは何もかもの手順を置き去りにして。


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