Reality barrage Gamers

初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
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"282"  ビックファル

公開日時: 2023年3月7日(火) 16:14
文字数:2,013



 大樹の中にあるアスレチックステージ。それをクリアしたアキアカネとヒカリは、途中、小鳥たちの猛攻を何とか防ぎ切りながらもそのエリアを通過することに成功した。


 まだ上に続く階段は天井に階段が吊り下がるように形成され、まだこの大樹の続きが伺える。

 2人はとりあえずその階段に座り、一旦の休憩を取ることとした。


「だいぶ登ってきたね」


「ん。でも、まだある」



 ひとまずアスレチックは終わりの様子だが、それまでにヒカリは何回も落下しかけ、1回は本当に落下している。奇跡的に足場がなければ…。



 そんなエリアさえ抜けてしまえばヒカリにとってもう何が来ても怖くはなかった。

 その階段から下を覗けば、飛行系スキルが使えない今、落ちたらどんな絶叫系アトラクションよりも恐怖しかない。所々に足場に激突しながら紐なしバンジージャンプ体験なぞもはや拷問の域だ。



「あとどれ位かな?」

 

「少なくとも。半分は超えた」


  大樹の中はとても広い。幹の中が殆どくり抜かれているのになぜこの木は枯れていないのかなぞだが、所々に空いた穴や隙間から外の景色が伺える。まあ、ただ、普通に届く場所には無いので行くことはできない。

 もうそろそろ日が暮れそう。その程度の情報以外はそこから小鳥が侵入してプレイヤーに襲って来ていたのか。くらいしか新たな発見はなかった。


 不思議だが、大樹の中は光源が無くともそこそこ明るい。全体的に新鮮なヒノキのカラーリングなのも一端だがそれだけでは説明つかない程度には明るい。

 ヒカリいわく、この大樹の中と言い、このイベントはあまりRBGぽいRealityが少ないとの事。

 どちらかと言うとファンタジーよりに全体的に見える。まあ、そもそも浮島の時点でかなりファンタジーだが。


 アキアカネはそういうテーマなイベントなのでは?と言うが、ヒカリは何故かしっくり来なかった。





「どうする?このまま上に登るか、一端リアルに戻って夜ご飯済ませる?」


 もうそろそろ夕暮れだが夜ご飯には少し早い。


「ん…、もう少し進んだら。ご飯。そっちに行っていい?」


「まあ、そうだろうと思って準備してるよ。なら進もっか」



 ヒカリとアキアカネの家はとても近い。と言うよりも同じ建物内であり、タワーマンション的な物に住んでいる。さらに2人はお隣さん同士であった。


 2人はリアルでもよく一緒に行動しているのだ。

 

 



 階段を登切り、大きめの広場に出た2人。そしてその中央で待つ大きなタカのようなモンスターが2人を出迎える。



「ん。いかにもボス」


「雰囲気的には中ボスじゃない?なんかそこまで強くなさそう」


 遭遇そうそう酷い言いようである。

 タカは2人にひと鳴きし、大きな翼をはためかせ広場から飛び上がった。


「私達、飛べない」


「なんか反則」



 2人の文句をガン無視してタカはヒカリ目掛けて滑空。体当たりを仕掛ける。大きな翼とその巨体の質量は相当なものでぶつかればかなりダメージを受けそうだった。


「ん」


 だがしかし、〔ステップ〕を踏みヒカリはするりと回避して見せ、そこにアキアカネが槍のリーチを活かしてひと突きする。


 突きは当たるも、タカの横からだったためそこまで綺麗に刺さることも無く。ダメージも少量だけしか削れず。


「意外と硬い!」


「弾幕。いく」


 その様子を見てヒカリは魔弾を飛ばしタカを撃ち落としにかかる。さりげなく〔水〕属性の水弾を使うヒカリ。

 タカは水弾を上空をクルクル回りながら回避する。


「む…」


 それを見てさらに水弾を飛ばすヒカリ。今度はその水弾を〔回る〕を使ってタカの円形軌道とは反対周りで複数個飛ばした。

 流石に全て回避できないタカ。水弾が当たり少し失速、そのままバランスを崩して落下していたところをアキアカネが〔溜め〕ながら槍を構えて迎える。


「うりゃ!!」


 今度は綺麗に攻撃が通り、衝撃を逃がすこともできないタカは落下ダメージも相まって大ダメージ。そのまま水弾を放物線軌道で叩きつけるヒカリとあとは滅多刺しに槍を放つアキアカネにタカは手も足も出せずついにHP全損となった。



「まあ、このくらいなら楽勝だろね」


「ん。技、使うまでもない」


 そこそこ2人は強い。


「あ、ヒカリ、なんか素材落としたみたい」


「ん。頑丈な羽根。ゲット」


「あ、こっちはビックファルの矢羽根だ!弓矢…、使わないから使えないけど売れる?」


「お金、にはなる」


「ならいっか、さてこのままどんどん進んで行こう!」


「ん」


 いつの間にか出現していた出口、出口は細い通路の先、茜色になった空が見える。


「あ、外だ!」


「アキ、落ちないように。ね?」


 今度は大樹の外にある幹の道が上に続く。


「…、それヒカリの方が該当しない?さっきのアスレほど足場良くないよ?」


「…。もうヤダ」



「あ、ちょっとログアウト!?」


 ヒカリの心を折るには充分だった。この後、早めの晩ごはんにしてリフレッシュした後、アキアカネがヒカリの手をしっかり握ることで先に進むように説得。スローペースながらも何とか足場の悪いエリアを乗り切った。


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