あたりは黒い霧。改め火薬が街全体に広がった。

　黒猫は青い炎を浮かべそれをそんな火薬の中に打ち込む。ヒカリも水弾をそんな火種目掛けて打ち込むも圧倒的に火種が火薬に触れるまでの方が早い。

　もちろん火薬に着火すれば一瞬にして町ごと大きな爆発に包まれプレイヤーの努力は水の泡となるだろう。その頃猫は火種を飛ばしたと同時に霞んで消えていた。

　絶体絶命最悪の瞬間。その寸前にヒカリは自分だけ時間がゆっくりになったような錯覚に包まれる。だがしかしもはやどうにもできない状況にその火種を見続けることしか出来ない…。

　そんな絶望的なヒカリの視界にひとつの白い羽が映り込む。

「ッ！？」

　それが目の前を過ぎ去り火種に直撃した。

　そのおかげか火種の速度が落ちる。しかし飛んできた羽根は可燃性。完全に火種を打ち消すまでには至らない。

「ヒカリ！止めるコケ！！」

「ん！」

　が、しかしそのおかげで速度の落ちた火種が火薬の霧に触れるまでの時間がほんの少し伸びヒカリが火種に間に合う。

　火種にパンチを繰り広げる。さらにそのまわりにはパンチに合わせた水弾をぶつけた。

　そして火種は綺麗に鎮火する。

「【風見鶏】危なっかしすぎるコケ！全部吹き飛べコッコ！！」

　さらに黒い霧となっていた火薬がニワトリの生み出した強風によって吹き飛ぶ。あっという間に消え去った火薬にヒカリは安堵しつつ。すぐにカメラ越しに猫を探し始めた。

「無駄コケ。もう逃げたコッコ」

「ん…。居ない…。逃げる。卑怯者」

「し、死んだかと思ったァ…」

　火種だけ放って全力で逃げた猫はもう既に3人が探して追いつける位置には居ない。浮島は広く、そして〔ステルス〕中の猫を探すのはそれこそ砂漠から虫眼鏡で砂金を探すようなものだ。ひとまず辺りにいないことを確認したヒカリが居ないと言うならほんとにいないのだろう。

　どうやら前線も戦闘が終わったらしく猫型モンスター達は敗走したらしい。

　ヒカリは猫を卑怯者と罵り。アキアカネは先程までの緊張感から槍を杖代わりに腰が抜けたように地べたに座り込んだ。

　こうして街は2人と1羽に守られたのだった。

*

　この数日後、プレイヤー達の努力と一部鳥たちのおかげもあって浮島に街が完成する。街はリン達アインズが中心となって作り上げていたため、街づくりに参加したプレイヤー達から反対意見もなく街のリーダーはリンとなった。

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クエスト:モニュメントを作ろう

クリア条件:街の象徴となるモニュメントを作る

クリア状況:クリア

参加者:プレイヤー

報酬:街の完成

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イベントクエスト:空中都市の構築

クリア条件:空中都市を作り上げる

クリア状況:全クエストクリア

参加者:任意

代表プレイヤー:リン

各種MVP

資源提供:レア・アセスト

資材提供:ミストラル

建築提供:ジーク

武器提供:ハルト

薬提供:ヒヒリー

クエストクリア個数:リン

探査率:シリウス

モンスター討伐数:ヴォーガン

猫進捗度:アリア

鳥進捗度:ヒカリ

？？？進捗度:キリア

？？？進捗度:ミカ

宿り木攻略:ユキ

機構浮島攻略:ユキ

ジャングル攻略:二二

…

報酬:空中都市の出現と永続的な都市獲得

出現位置:月上空

分岐:鳥ルート　猫撃退、街存続、浮島正式継承　鳥の撤退

攻略完了タイム　268時間54分32秒109

総参加プレイヤー:1 114 132

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《イベント:スカイスクランブル　が終了しました。参加くださいましたプレイヤー皆様に感謝致します。只今より、イベント結果をReality　barrage　Gamersに反映するために1時間のメンテナンスとなります。残り五分で強制ログアウトとなります》

　この後、イベント映像を運営がCMとして加工。全世界に流されることとなる。その結果、街作りに貢献したアインズのメンバーが大きく取り上げられたPV。そしてヒカリとアキアカネ。そしてニワタリの戦闘シーンのPVが2人の知名度をあげた。

　しばらくしてこんなメッセージが届いたという。

《半公式プレイヤーを実装致します。よってヒカリ様、アキアカネ様。RBG初となる半公式プレイヤーにふさわしいと判断されました。ご興味のある場合。GMまでご連絡ください》