落下後出迎えてくれたのはおびただしい程の弾幕。あるものは燃え、あるものは岩が。あちらこちらに飛び交う。
「ユキさん。この中を突っ切るのですか?」
「うん。行けるっしょ〜?」
「…」
「…ん」
「おっと!この中を突き進むのには実況も少し難しいかもしれません!果たして私たちはこの中を突っ切るのでしょうか!」
アキアカネさん…。遠回しに無理って言ってない?私はまあ、たぶんなんとかなるかなぁ。と思ってたんだけど。ビュアさんは一応聞いてみたけどもう既に諦めモードなのか。吹き荒れる弾幕を眺める。あれ?おーい、焦点あってるー?
ヒカリさんは無表情だけど。ユキの方をずっと見ていた。そう、ずーーーと。目でお前正気か?と問うように。
とか考えてるもつかの間。私たちは現在進行形で落下中のため。いやでもそこに突っ込んで行く。
「気力ではじこ〜う!」
パラパラととんで来る弾幕!それらを5人は躱しつつ。それぞれの武器に〔気力〕を流し始めた。ハルトさん程スパッと剣で斬れる人はいないけど。それぞれの武器に気力を纏わせることで、軌道を反らせたり、跳ね返したりくらいならできる。
一応、時間はかかるけど、〔霊力〕なら的弾にも干渉して軌道を変えることも出来る。まあ、私は躱すけど。
「全員無事に抜けてね〜」
「私守る気無いよね?」
「だって躱すでしょ〜」
確かにそうだけど。私を守るルールじゃ無かったっけ?
「あ、皆さんそんなに離れないでくださいね?特にナユカさんからは」
うん!さすがビュアさん。お姉さんぽい安定感と落ち着きだ。本題は私の撃破だからね。私が単独になることは避けたい!そういうことだ!
「全員カメラ内に納めたいので」
ビュアさーん?さっきの私の心の声を返して頂けますー?折角のお姉さんイメージがその一言で一瞬にして砕け散ったよッ!?いやまあ、そっちの方がビュアさんらしいけどさ?こうもっと大切に…。
私が少しガックシしているのを感じ取ったのか。ビュアさんは声をかけてくれた。さすがビュアさん…。
「大丈夫ですナユカさん。いいアングルから取りますので!」
「大丈夫じゃないよッ!」
やっぱりストーカーはストーカーのままだった。
解せぬと言わんばかりのビュアさんは放っておいて、もうなんかどうでも良くなったので私は〔スーパーアクセル〕を使いさらに落下速度を早める。
こうなったらやけだ!もう全部躱して!全員倒してやる!
「【赤眼発動「ワールドビュー」】!」
「出ました!【赤眼発動「ワールドビュー」】!このスキルはナユカさんの個性であり、彼女の本気度を表します!この中を突き進めるのかッ!」
別にもう技を唱える必要も無いんだけどね?意識すればなんとなく「花の約束」は発動するし。でも技として唱えた方が効きがいい気がする。気の所為かもしれないけど…。あと、他のスキルも発動させるためにも。
そして私はその中に本格的に侵入しだした。
下に落下…。厳密には〔飛行〕で下に飛んでいるだけど。かなりの速度で弾幕が私に接近してくる。それを私は躱す。躱しながら進む。右に、左に、〔ジャンプ〕や〔スーパーアクセル〕、たまに飛んでくる岩なんかを足場にしたりして。ひたすらに進む。
「よくもまあ、止まらずに進めますね?」
「あれは私にも無理だよ〜?」
「進む!進む!ナユカさんはあの弾幕の中を的確に被弾せず、さらにそこにたまたま居合わせたプレイヤーの首を正確に扇子でひとなでしていきます!」
「ん。すごい」
適当に見つけたプレイヤー。私に気づく前に弾幕を回避、防御するのに必死なそのプレイヤーを、すぎ去り際に斬って行く。そして飛ぶ。進みながらプレイヤーを…。いた。
見つけたプレイヤーは私に気づいたのか。さらに弾幕をばらまいていく。何個か消えているから、もうここら辺は飽和限界らしいね。
消えた弾幕。できた隙間に体を滑り込ませながら、できた道筋に投げナイフを飛ばす。あ、防がれた。そのまま弾幕の中を抜け、ほんの一瞬で相手の後ろをとる。ここからなら当たるでしょ?目論見通り首に当たるナイフ。消えてくプレイヤーを見ることも無く、ナイフは自動回収に任せ、さらに進む。そろそろ地面?あ、見えた。
見えた地面に今度は、〔ジャンプ〕を使い平行になるように飛ぶ。さらに。
「【一閃流星「アクセルスター」】」
私から出る赤い軌跡。これで上にいるみんなに進行方向は伝わる。さらに私はスピードをあげる。見つけたプレイヤーを〔蹴り〕で吹き飛ばし、飛んできた〔爆発〕の弾幕を当てて盾にし、さらにその爆弾を飛ばしたプレイヤーの方に進行方向をかえ、見つけたら攻撃。爆弾を飛ばしそうなので飛ばした瞬間目掛けてナイフを飛ばす。命中。プレイヤーから離れる前に爆発した爆弾はもちろんプレイヤーを文字通り吹き飛ばす。
次。それぞれの弾幕の先を予測して、その挙動も全て込で、曲がったり、はねたり、別れたり。見ればわかる。その出発点付近にプレイヤーはいる。
こうして私が、進む後ろで、ユキ達は武器を使いながら弾幕を弾いたりして、ちゃんと着いてきていた。少し遠いけど。…と思ったらビュアさんは近くにいた。
「あ、お気にせず」
「いや、気になるわ!」
やっぱりストーカーは恐ろしい…。
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