土星の衛星はいくつかあるけど私たちがライブに行くのはその中のひとつ。氷の衛星レア。都市部「13ナミ」。
コメットが降り立った宇宙港から少し車で移動したその都市は全体的に銀で統一された中に青いネオンカラーが波打つすごく機械的な街だった。
「ユキが好きそうなカラーリングしてる」
「よくおわかりで〜」
ユキはその名の雪の通り、雪を自信のイメージとしてよくお洋服なんかもコーデする。ゲームの中でも雪ばっかりだもんね?
そうしていくうちに自然と好きな色や形なんかもそれに寄っていったっみたいだ。
そしてここは氷の衛星レア。基本的に人工的に調整された大気のおかげでそこまで極端では無いものの少し寒い気温が少し新鮮だった。
「寒いね?」
「ですね。でもレア自体の元々の温度はマイナス200℃とか聞いたことがありますよ。調整大気外は今も極寒の星ですね」
「ん。レアは。地表も氷。都市は。その上に、断熱層を挟んで。さらに上に、建てた。らしい」
「ほへぇー」
うん。なんかすごいね。語彙力皆無な感想だけど、地球と比べて星々によってかなり違うんだね。
あ、ちなみに火星は地球とそんなに変わらなかったよ?海もあったし空の色と月の数くらいしか違いはなかったね。
とそんな環境の違いはやはりゲームにも影響するらしく。
「外に出るとほぼ即死だと聞いたことありますね」
「まあ〜、ドライアイス程の温度だと考えたらね〜。だからレアのプレイヤーは防寒装備が多いらしいね〜」
「へ〜」
「ん。みんな、結構厚着。あと、素材。うらやま」
「です。状況してたらよく厚着で動けるなぁーって思います」
そうか。闘技場は場所関係なくマッチングするからレアの人たちもそりゃ見る機会あるよね。
今はリアルだけど私達は少し厚着してる。逆にレアの人達は結構普通だけど?
住んでたら慣れる。らしい。そうなのか…。
ちなみに夜側はもっと寒いらしい。もうたぶん寒いとかそういう次元じゃないんだと思うけどね。
ゲーム内は夜だと厚着プラス耐寒薬でやっと死なないらしい。苦労してるなぁ…。でもヒカリさんは夜しかないアイテムの方が羨ましいと言っていた。確かに、地球からレアまでは来れないもんね。
私達が持って帰ったらハルトさんも喜ぶだろうけど、あいにくレアで私たちが遊ぶ余裕はスケジュールを見るとなかった。残念。
レアでのライブの後は海王星、天王星へと向かうらしい。さすがに遠いから土星圏のテレポートビーコンから海王星のテレポートビーコンまで飛んで時短する。そのあとも外をぐるっと回って木星まではテレポート移動だって。
一応説明しておくと、各惑星圏にひとつはテレポートビーコンが配置されているらしい。テレポートにも種類があって。
・近距離簡易テレポート
座標軸が惑星重力圏内にあるテレポート。テレポートの座標が惑星と同期して移動しているため短時間、省エネルギーで施行可能である。ちなみに衛星軌道ポータルはこれ。
・近距離指定テレポート
固定された座標が存在せずその都度指定先に目掛けて調整されたテレポートをする。指定に数秒掛かるが比較的短時間で施行可能。エネルギー消費は簡易テレポートより5倍かかる。ユキが私のところに緊急テレポートしてきた時のがこれ。ちなみに携帯型だけどかなり高コスト。しかも使い切り。
・遠距離ビーコンテレポート
惑星との交通に使用する。まあまあ施行に時間がかかるし、ビーコン同士でしかテレポート出来ない。さらにまあまあエネルギーを消費する。なので木星から地球とか、火星から土星とか比較的近い場合は使わない方がコストが安い。
・恒星間ビーコンテレポート
中距離よりもさらに遠くへ飛ぶためのビーコンテレポート。現状かなり珍しく存在を知る人は実は少ない。さらに使用には莫大なエネルギーが必要であり、時間も数日単位でかかる。
・ポインタ・テレ・バレット
指定した方向の途中座標に指定した物質が一定量ある場合。その座標に指定した物質をテレポートさせる。安全面を考慮して射程が存在し、主に現代兵器として使われる。人のような複雑な物質は送れない。そこそこエネルギーを消費する。
といった具合らしい。昔パパに教えてもらった知識だよ。
なので土星圏からは遠距離ビーコンテレポートってことだね!
「ほら、早く会場に乗り込みますよ。なかなかハードスケジュールですからね」
「「はーい」」
私達はこうしてライブツアーを完遂していく。スカイスクランブルについては移動中の楽しみにしておこう。まずはライブを成功させなきゃね!!
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