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R161.2  【幻惑の枷】

公開日時: 2022年9月15日(木) 01:46
文字数:1,952




「【打点撃ポイントIパンチ】」


「【反射槍カウンターIアタック】」



 飛び出した2人は再びその鳥を挟むように移動する。弾幕を放ち、放たれながら入り乱れる攻撃。まず、ヒカリが隙を見て鳥に接近。拳を光らせながら振りかぶり、その結晶化した羽を目掛けて振り下ろす。



 そのタイミングで、アキアカネも、鳥目掛けて、再び弾幕を飛ばす。その弾幕は洞窟の壁や結晶に当たると消えずに反射し、複雑に鳥を撃ち狙う。



「む…」



パリリリリッ!!



 アキアカネとヒカリ。言葉を交わさずにとられる連携に、流石の鳥も攻撃をうける。


 アキアカネの弾幕が、当たるもそこまでのダメージは無い。だが、わざわざ当たるのを避けないという選択肢は無い。少量でもダメージはダメージであり、蓄積すれば馬鹿にならないからだ。

 だがしかし、そうして回避した鳥をヒカリの拳が捉える。ヒカリの技は見事に命中し、ガラスを何枚も連続で割ったような音と共に鳥の羽を吹き飛ばした。



「ん。もう1発。落ちろ」


「そうはいかないこっこ」


 羽を削られ、バランスを失った鳥。そんな絶好のチャンスを逃すまいと、ヒカリは反対の拳で、もう一撃入れようと動くが、さすがに相手も甘くない。スラリと躱されてしまった。


「なかなかいい連携こっこ。次の攻撃。いくこっこよ!」



 そのまま一旦距離をとった鳥は、今度はおもむろに地面に着地し、2人を見据える。


「【幻惑の枷スファレライト】」


 途端に各方面に細い光が伸びる。そして鳥は。



「アキッ!躱して!」


「ッ!?」


 その細い光は、次の瞬間には太く。高威力の光線に早変わりし、2人を襲う。さらに光線は至る所にあるクリスタルに反射し、一瞬にして眩いジャングルを作り上げる。


 何とか2人とも回避を試みるが、あまりにも一瞬のことで2人とも被弾してしまった。


「ダメージがエグい…。それになにこれ…」


「結晶…。ゲット?」


「強制的に付着してるし…。取れない。動かすとダメージ喰らう!?」



 2人とも腕、足にそれぞれ被弾したため、その部位に結晶が付着し、取れない。さらにその部位を動かせばほんの少しであるがダメージを負う仕様である。


「状態異常。結晶?」


「ここに来て初めての状態異常!?解除は!?」


「まだ、戦闘中こっこ」



ドコッ!!




 2人目掛けて飛ばされる羽。2人とも油断はしておらず、しっかりと回避し、現状、そこまでの影響は無いと判断して攻撃を再開する。



「判断は間違えてないこっこね?でもまだ続くこっこよ!」



 再び細い線が現れ、アキアカネたちも先程の光線に備えて回避しようと動き出す。案の定、その軌道はすぐに太い光線が現れた。今度は2人とも回避に成功する。


 その隙に、2人は鳥目掛けて弾幕を放つ。鳥は光線中は動けないのか。2人の弾幕を避けることなくその身に受けた。


「ヒカリ!」


「了解」


 光線が終わり、鳥の羽が2人を襲うが、2人とも慣れてきたのか、余裕を持って回避できている。


「もう見切ったこっこ?優秀こっこ…。なら」



 三度現れる光の予測線。2人とも示し合わせたように、現在地、光線予測をして安全圏にその身を滑らせる。


 放たれる光線。チャンスとばかりに2人は大量の弾幕を鳥めがけて飛ばし、攻撃を開始する。鳥はそんな二人を見ながら。その光線を横へ動かし始めた。



「「なっ!!」」



 光線が横へ滑るように動き出し、鳥を中心に回るようになる。ゆっくりではあるものの、光線が動き、反射して来る光線の角度もとんでもないほど荒ぶり、2人を襲う。


 アキアカネは運良く躱せたものの、ヒカリは被弾。両手が結晶に包まれ、ろくに攻撃出来なくなってしまった。


「うぅ…」



 2人のHPはもうほとんど無い。アキアカネは自力で時間さえあれば回復薬での回復が可能ではあるが、ヒカリに限っていえば、両手を開くことすら出来ないため、飲むこともできない。


 ポーションでもあればまだ回復の余地はあるが、残念ながら回復薬しか無かった。


 両手を重そうにぶら下げながら、ヒカリはそれでも構える。


「大丈夫?」


「重い…」


「でしょうね?」


 そんな会話をしながらも、一応弾幕は飛ばし、鳥を牽制している2人。MPも心許なく。そろそろ限界が近づいてきていた。


 そのまま鳥はさらに光線を飛ばす。今度は光線を動かしながら、さらに辺りの1面のクリスタルまでもひとりでに浮いたり動いたり。2人を狙い撃つように光線を反射させる。


「な、なんですか!?今度は結晶達が勝手に動いてますよ!?」


「変。そういうスキル?」




 この時の2人は〔魔力〕以外の力など知る由もない。唯一、2人の前に1人だけがそれを手にして驚いていた。そんな段階だ。この不思議な現象が〔妖力〕によるものだと、2人は気づくことさえ出来ない。


 このままでは確実にジリ貧であり、いずれ2人はHPが底につくことは分かりきっていた。



「アキ。一か八か。決める、道だけ作って」


「了解」



 絶体絶命の2人は最後の賭けに今挑む。

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