翌日、私は約束通りにゲームにログインしていた。
「おはよ〜ナユカ」
「おはよう、ユキ!今日は本選頑張ってね!応援してるから」
「あぁ、私〜ナユカに応援してもらったという事実だけでもう満足してしまった〜」
「いや、勝ってきてね?」
「は〜い」
ユキはいつも通りだね?緊張してるかと思ったけど。3回連続優勝狙いだから他のライバルの人たちからのプレッシャー凄そうだし。
問題はこっちだね…
「おーい。聞いてるんですの?ハールートー!! 」
「ん?あ、ああ…聞いてるよ」
「いつもの生意気な態度はどこに行ったのか…」
「…」
アリアさんがハルトさんに遠回しな小言を言うが一向に反応がない。ただの屍のよう…って違う違う!
ハルトさんは本選出場は初めてらしいからね。第1回と第2回は予選敗退だったらしい。その頃は今みたいに〔気力〕のスキルも持ってなかったからって言うのと。魔法が流行った時期だったために一方的に近距離はボコボコにされたんだと。
今もその風潮が強いが今回のハルトさんの試合を見ていた1部のプレイヤーは近距離の新たな可能性と言って喜んでいるらしい。
さらにその人物が過去に革命を起こした張本人となればそんな人たちから色んな視線で見られて当然だ。大半のプレイヤーは、期待。一部のプレイヤーは嫉妬の感情をハルトさんに向けている。その事がハルトさんのプレッシャーとなってのしかかっているのだ。
そのことを知ったアリアさんは、普段よく喧嘩腰でハルトさんと接しているが、今回はあまりにもハルトさんがいつもと違うため困惑しながらも彼を支えてあげようとしている。
「あー!もう!らしくないわね!!いい?ハルト!あなたね、今回なんのためにここにいるのか忘れたの!?」
「は?」
「近距離武器の可能性をみんなに見せるとかそんなこと言ってましたわね!?ならやる前からグダグダやってないでシャキッとしなさいよ!その…私だって応援してるんだから…」
おっと〜?
アリアさんが照れてるね〜?これはあれですか!?恋とか言うやつですか〜!!?
「べっ、別にグダグダなんかしてねーよ!わかった…見せてやるよ…、近距離武器の戦い方を!!それでいい所まで上がってくればいいんだろう?余裕だね!遠距離バカは黙ってここで見てなよw?」
あ、戻った。
「バカね!優勝してくるって言いなさいよ?」
「ユキさんに勝てるとでも!?」
「無理ですわ…」
「てめぇ、応援してるのかバカにしてるのかどっちかにしてくんねーかな!?」
まあ、ユキに勝たないと優勝は無理だからね。
「まあ、その…なんだ。ありがとよ。気持ちだけ受け取っとく…」
「ふん!」
私たちは一体何を見せられているのだろうね?ビュアさんとミケちゃんは2人のことちょっと睨んでるよ?これはあれか?爆散!!って叫んだ方がいいかな?
「まあ〜、私に勝てないまでも当たるまでは勝っておいでよ〜。ハルトの〔気力〕とそれらを使った技の使用を許可するよ〜」
「っ!いいのか?本選は予選と違ってそれぞれの試合に実況がつく。実況の奴らは特権でスキルの内容を知り、それを他の観戦プレイヤーに公開する権利があるぜ?つまり〔気力〕の存在がバレるぜ?みんなのパーティー部門でお披露目するのかと思っていたんだが?」
え待って初耳の情報がサラッと出てきたけど。これはどういうこと?
「心配しなくても大丈夫だよ〜。ハルトとナユカと私は先んじてある程度ばらしといてもいいかな〜って思ってるからね〜。じゃないと私もきついし〜」
「出来るだけばらさないようにすればいいんだな」
「そうそう〜、無理だなって思ったらもう遠慮なく使っていいよ〜」
「わかった。そうさせてもらうぜ」
「負けたら元も子もないからね〜」
「正確に言うと「技」としてスキルを使うと実況にバレるようですよ?」
ビュアさんが言うには実況の人達は「技」としてどのスキルが使われていたかを知ることができるんだって。逆に言えば技としてじゃなく。そのまま単体を組み合わせて作った即興の弾幕にスキルを使ってもバレないらしい。推測はされるらしいけどね?との事だ。
「ナユカは出来ればバレて欲しくないんだけどね〜。まだ全然知られてないってのもあるんだけど…、内容が内容なだけに〜」
「じゃあ出来るだけ個別で〔魅力〕を使うね!」
「よろしく〜」
「ってわけですわ。思いっきりやってきなさいよハルト!」
「ああ、言われるまでもない!」
「そろそろ行こっか〜。ハルト〜」
「みんなも応援頼むぜ?」
「「行ってらっしゃい!」」
そう言いながら2人は部屋を出ていった。ハルトさんの後ろ姿はさっきとは違いシャキッとしている。もう大丈夫そうだね。
そんなハルトさんを見ながらアリアさんはこっそり小さく微笑んでいた。
…
爆散!!
読み終わったら、ポイントを付けましょう!