「もういっちょいくぜ!【ドーン】!!」
ミカが重砲を構え、進行方向に向けてビームを放つ。ド派手な爆発、発光と破壊音を撒き散らしながら、一直線かつ迅速に通路を作り上げていくミカ。
それを見ながら、果たして、エネルギータンクに辿り着けたとしたら一体周りの建物は残っているのだろうか?そんな一抹の不安を抱えながら、ビュアは後方から追い上げてくるシルエットに一撃を喰らわす。
「EPは到着まで持つので?」
「ん?あぁ…。なんとかなるだろ?」
意外と計画性のないミカの発言だが、本人の様子を見る限り、【ドーン】!1発でそこまでの消費は無さそうではある。
あくまでもこのまま行けばであるが…。
そんなことを知ってか知らずか。
音や光につられてどんどんシルエットはミカとビュアを見つけ、ゾロゾロと集まってくる。
「別にうちは〔電力〕だけが戦闘の要じゃ無いぜ?」
そう呟いたミカは、今度は重砲を構えるも、いつものようにすぐにはビームを発射せず、その銃口に〔魔法陣〕を描きだす…。いや、魔法陣に似た何かだ。
「よっと!いくぜー?【ポンポンⅡ】」
「うーん…」
相変わらずのネーミングセンスと、何故か既にマークツーというハチャメチャ具合になんとも言えないビュアをよそに、その技は重砲から高速で〔魔法〕を飛ばしまくる。
ポンポンと言うよりはマシンガン系の、ドドドドドッ!のような気がする。
ちなみにその魔法は「ロックミサイル」という、岩を高速で飛ばす魔法なので、結局前方はハチャメチャである。
さらに。
「〘衝撃波〙!!」
ミカによる〔霊力〕で、そのミサイルはその瞬間。辺り一面に〔衝撃波〕を撒き散らす。堪らず吹き飛んで行くシルエット。
「いいぜーー!!あはははっ!」
その光景を笑いながら見送るミカ。ビュアはそれを見ながら、果たして自分はいるのだろうかと迷ったと言う。
しばらくそんな破壊劇が行われたあと、エネルギータンクが2人に見えてきた。
距離にして300メートルほどではあるが、ここでビュアは悲報を聞くことになる。
「【ドーン】!!」
…。
ミカが〔技名〕を唱えるも、全く反応がしなくなった重砲。
…。
「あはっ。わりー!壊れた!」
「嘘でしょっ!?ここでー!?っ!?【ラスワンスクープ】!!」
咄嗟の判断でビュアが技を唱える。ミカが技を放てない以上。集まって来たシルエットをどうにかせねばならず、それに伴った判断であったが、ナユカに付けた【インフィニティワンボール】で、7割近くGPを消費しているため、ほとんど空に近い。
【ラスワンスクープ】は〔最後〕のスキルを使った。ほんとにラストにしか使えない大技である。このスキルを使った技。魔法などはなにかのゲージをゼロにする代わりに、その効果を通常の2倍にする効果がある。
今回、ビュアは〔気力〕(SP)をゼロにすることで発動。
辺り一面に一瞬にして大きめの〔魔法陣〕を展開し、弾幕を撒き散らす。
「〘硬化〙!」
そして最後のGPを使用してシルエットの動きを封じる。間一髪で間に合った〔硬化〕だが、ビュアにはもう打開のすべがない!
「サンキュー!間に合ったぜ!【GO!!】」
「間に合ったって何があ?ァァァァァ…!?!?」
そんなビュアの返答も聞かず、ビュアの技の間に再び装備した翼で、ミカが爆速で飛んでいく。
ついでにビュアの襟首を掴んでw
「到着!!」
「うがッ!?!?」
やっとのことでエネルギータンクにたどり着いた2人。
しかし、ミカが到着と同時に急激な減速をしたため、ビュアは反対に首がしまって悲鳴?をあげた。
「何とかなったな!」
「私は死にかけましたけどね!?」
「ん?生きてるだろ」
「誰のせいだとお思いで!?」
ビュアの必死の訴えも軽く流されてしまう。
「ま、細かいことは気にすんなよ!ここまで来たら大丈夫だぜ」
「さっき重砲は壊れたって言ってませんでしたか?」
もう、何を言っても無駄だと悟ったビュア。諦めて現状を見直すが、つい先程壊れた重砲。エネルギータンクに来たところで、ビームが撃てなければ話にならない。
「戦ってて壊されたら終了だからな。予備はちゃんと準備してるんだぜ」
「なら何とかなりますか…」
「こっちはハルトと同盟のメンバーも関わって作ったやつだからな!さっきのよりもむしろ強い」
そう言って取り出した重砲…。訂正。巨砲は先程のと比べてはるかにでかい。
「も、持てるので?」
「無理だ」
「方向転換はどうやって?」
「お!聞いちゃう?これは実はな!下に車両がついててな!それで方向転換するぜ!」
聞かれたことが嬉しかったのか。ミカは楽しそうに語り出す。ビュアはそれはもう戦車か何かでは?と思うが口にはしない。きっとハルトも半分くらいふざけて作ったような気がしなくもないが、今はそんなことは置いておく。
「それでここのボタンを押すとな!車輪を収納して…」
「ミカさん!来ますよ!!」
「っと!じゃあ早速撃って行こうか!!【ドーン】!」
先程のビームと同じ掛け声。
しかし、出てきたのはビームではなくビーム×3であった。新手の目潰しである。
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