「あれ!!紫オーブだよ!!!絶対に触れないで!!!!!!」
私の警告。それと同時に放たれる紫オーブ。
「「っ!?」」
それに何とか反応したメンバーだが、盾兵でオーブを防ごうとした軍曹と、オーブに向かってポーションを投げたヒヒリーは思わぬところで被弾する。
本来ならオーブは取るもの。取りに行くものであるが、紫オーブは敵がデータを奪うために放った、言わば本来無いはずのものである。
そしてその紫オーブは取ると、辺りの空間ごとゲームを壊す!!
「すぐに逃げてっ!!」
「「!!」」
2人が被弾してすぐに、そこを中心に亀裂が入る。
即座にその場を離れ2人は無事だが、亀裂で辺りがめちゃくちゃになってしまった。
「このままここで戦うのはやっぱりやめた方がいいね~」
「進むしかないか…」
「オーブとったらダメなのはなんか悔しいであります!!」
「こんなことになるとは…」
2人のデータは取られてシルエットが出てくる可能性もあるのでそれもやばい。
ガルルルルルルル…
そして、フェンリルが私たち5人を見据え、姿勢を低くしながら唸り声をあげていた。
とりあえずほんとにあれを躱して先にすすまないとね。
「全員で総攻撃。当たるも当たらないもその先に抜ける感じで~」
「脳筋かな?」
「失礼な~。立派な作戦だよ~」
「突撃は栄誉でありますよ!!」
「ですです!二階級特進ですよ!!」
「それ死んでね?」
みんな意外と余裕か?
ユキはほんとに突撃するつもり満々みたいなんだけど。
「飛行系で早いの持ってる人はバンバン使ってね~。私たち置いてっていいから~」
「はーい」
「ん」
あら?ひかりさんもなにか〔フライ〕とか持ってる感じかな?私だけだと心細いから少し安心。
まだなにかありそうだもんね?
ガウ!!
勢いよく飛び出して来るフェンリル。今度の狙いは私ではなくユキ。
「テイ!」
軽い掛け声とともに飛び出した氷柱がフェンリルの進路を途中で塞ぐ。
「その突進は実はスキルでしょ~?てことは仕様は同じだよね~」
そのまま何をする訳もなく〔突撃〕。
ちなみに!〔突撃〕は発動後すぐに直進し次の攻撃力をあげるスキルだ。あと、移動速度も大幅に上がるよ!
しかしそんなスキルの弱点。移動中の進路変更不可防御力減少があるらしい。後で知りました!
そこを逃さないユキ、綺麗に氷柱をぶち当てることに成功した。
キャウンッ!!
「〘粉砕〙」
バキッン!!
さらに氷柱を粉砕し、粉々になった氷がフェンリルに付着。少し湿った感じになったフェンリル。
「ナユカ~。もうここでMPとか気にしてもしょうがないから〔装備〕しときな~【私と一緒に踊りましょう】」
「うん!【君と咲かせよう】」
もう、出し惜しみをしている暇はない。私とユキはフェンリルを攻撃しながら2人とも戦闘用の服に。ユキはドレスっぽい…。それやっぱり防御力あるの?
私も人のこと言えなかったわ…。
そのままフェンリルを無視…。は、出来ないのでできるだけマザーがいるであろう中央を目指し私が一足先に飛び出した。その後ろをユキが追いかける。
「おふたりは先に行くであります!!」
「ん。ここで。時間を稼ぐ」
「任せた~」
ヒカリさん、軍曹とヒヒリーがそのままフェンリルに向かい。立ち止まった。
フェンリルは3人に任せて私たちはその場を後にする。3人とも頑張って!出来れば勝って!!
*
「で勝ち目はあるのー?」
「無い」
ヒカリの無慈悲な返答。3人ともわかってる。勝てない…。と。しかし、このままナユカやユキも一緒にフェンリルを倒そうとしていては、周りから狼の大群が来るのは目に見えていた。
つまり、5人で行動するよりも誰かが倒しに行った方がこの戦いに終止符をってる可能性も上がる。
「それに、ナユカ。あの子が、切り札を持っていってるから」
「なるほどであります!では、ここでこのいぬっころを止めてればいいというわけでありますね!!」
「そそっ!!私ももうお薬全部使う気だからねー!!」
ガルルルルルルル…
「行くでありますよ!!【全兵!突撃!!】」
「ん。【万残拳】」
「高いんで、できるだけ粘って死んでねー!「蘇りポーション」!!【エフィクトシェア】!」
*
「ちっ!待ち合わねーなー…。よしこっち行くぞ!!」
「ちょっとミカさん!?どこに行くのです!?」
「間に合わねーから別角度から行くぞ!うちに任せときな!!」
「ちょっと待ってください。あ、ちょっと!!」
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