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初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
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Z361  うらうらとした村の陽気にあてられて

公開日時: 2024年12月11日(水) 03:56
文字数:2,125



 ミザール艦長とついでに戦闘を得意なエルフの方々含め、ヒイロさんがRBGの基本的な原型、魔法、飛行、装備などについての講習会が始まった。


 複数人の生徒がいるのはミザール艦長きっての申し出だ。1人だけだと寂しいもんね?

 ちなみにこの講習会はエルフの開拓地。その居住区となる場所の中心にある噴水広場で行われ、一般のエルフ達にも好きに聞くことができるようになっている。


 やはりと言うべきか、初めは「原型」について少し難儀しているようだった。それもそのはず、〔魔力〕〔気力〕〔霊力〕〔電力〕〔妖力〕〔魅力〕それぞれがそれぞれの異なる仕様を持ち合わせている。

 そしてそれらが同時、あるいは複数絡むものも存在するのだ。私でもその原型全てを使いこなせる訳では無い。特に〔電力〕と〔妖力〕はまともに自分の意思で使ったことはほぼないのだから。


 そしてその「原型」の先に各カテゴリーに別れたスキル達が存在する。



 そうそう、この講習にウルドもしっかり参加している。というのも私の隣に腰掛け、流し聞いただけである程度理解出来てしまっているようだ。

 予習してきたにしても私より理解出来ているのではないだろうか?


「魅力の専門家である君に聞きたいことがあるのだが…。君が集める共感性はゲーム外部からも影響を受けるのだろう?ではいったいどうやってゲームにログインすらしてない、ましてやプレイヤーですらない人の感情をゲームは感知しているのだ?」


 共感性とは私の魅力が受ける感情のこと。これらをバフとして昇華させているのが魅力の本質だ。


「あまり詳しいことは知らないんだけど。私達太陽系の家々にはそれぞれ家庭を統括するAIが居るの。その子たちがその住居の電子機器やその他制御をするために常に稼働してて、人間に異常が起こった場合すぐに対処できるようになってるの」


「常に…監視されているようなものか?」



「そう捉えてもいいし、見守られてるとも言えるね。一応、一時的にオフにしたり、管理機能に制限を掛けたりできるからプライベートがダダ漏れになったりはしないよ?…私以外」



 たぶん私の場合は確実に、何から何までナビィに筒抜けであろう。

 あれ?でもRBG初日はナビィも知らなかったような口振りだったような?


「なら、俺もプライベートは無いな。慣れているから気にはしないが」


「まあ、ほぼ同じ家に住んでるし。監視されてるだろうね」


 うちの人達はみんな過保護だからしないわけがない。そう考えたら少し親近感が湧いた。うんうん。私だけじゃない!


「で、RBGを外から見ている時って必ず電子機器。フォログラムや室内設備が稼働してるから、使用者の様子も収集されてて、RBGのシステムがRBGを見ている家庭管理AIにそのデータ。主に表情や体温、バイタル情報やその他もろもろの「感情」を収集。ゲームへ反映している…って感じだったと思う」


「プライベート漏れてないか?」



「んー。感情の収集は、誰がとかは関係ないと思うから緩いんじゃないかな?感情を収集することでAIがそれに合わせた娯楽や好きな食べ物とか嫌いな食べ物を判断してくれたりとか。割と一般技術だし」


 ゲームにその要素を落とし込んだのはRBGが初めてだろうけど。あとRBGはその規模がでかいのも特徴か。



「なるほど。理解した。ありがとう」


「エッヘン。この魅力の専門家におまかせを!」



 その他は聞かないでね?私が聞きたいくらいだから。

 ウルドは私に教えてもらったことを覚えスッキリしたのか。少し頬が緩みその顔が私には見えていないがおそらくステータス画面を見るために少し上を向く。


 こう見るとあれだな。横顔だけでもかなりイケメンだ。正しく王子様のよう。少し子供っぽいところもあるが根も真面目なのだろう。そして賢いときた。





「ん?どうかしたか?」


「あ、いや!?なんでもないよ?」



 そんなイケメンが私をまっすぐ見つめ少し心配そうに覗き込む。ぐっ!眩しい!


「力を使うと少し負担もあると聞いた。体調が優れないならログアウトするか?」


「ちょっ!?いや!大丈夫!」



 ちょっと!近いって!!?

 よくよく考えたら男の人がこんなに近いのはパパ以外だとほぼ初めてだぞ!?

 そういえば戦闘機の中でも私が浮きそうになった時にほぼ真後ろに…ニワタリちゃんが挟まっていたとはいえ、肩に置かれた手の感触が今になってフラッシュバックしてきた。



 今は、そんなこと。いやここはゲーム…。トラウマと向き合うにはちょうどいいのかもしれない。

 ハルトさんでも少し慣れることができた。今なら誰が相手でも平気だ。少し距離が近い程度で狼狽えてなるものか!



「ウルドってイケメンだよね」


 うん。なにか切り出そうとして出した答えが暴走した件。ちょッ!?今のなし!!何言ってんだ私ぃ!?


「そうか?ありがとう。君もとても美しい女性だと思うぞ?」



 カハッ。右ストレートを間違えて繰り出したら盛大なカウンターがッ!

 ウルド…さすが王子様。女性慣れしている!?

 平気な顔でそんなこと言わないで!しかも距離が近いってッ!!

 


「うぐっ」



 とりあえず顔を隠すのが精一杯の抵抗でした…。今はウルドを直視するのは危険。ユキィーー!ヘルプミーーーー!!



 ほんとに!ほんとに!!

 なんか目が赤くなってる気がするぅ!

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