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R×2 30  ババアとクソガキ

公開日時: 2022年8月3日(水) 16:30
文字数:2,417



「キリが無いな?‪w」



「そうだね?でもあたしはそこら辺の奴とは違う」



ガキャン!!!


「ちっ!」


(さすがに気力がもたないかもな。周りもどんどん数を減らしていく)


 さらに場所は移り変わり、東側側。闘技場から川を挟んでさらにその少し先の東エリア。ここはJチームが所有するエリアだ。


 そこにいるのはハルトと、Jチームのメンバーが大半である。しかし、CSFの中でもかなりのメンバー数を保持するJチームは、今回、ほとんどのエリアに分散するように構えていたため、ほんの少しだけほかより東側の防衛が薄い。


 そこはハルトが補う予定だったが、寄りにもよって東側が敵プレイヤーが1番多く集まって来ていた。



「おやおや?技は使わないのかい?舐められたもんだね?」


「ふんッ。お前みたいなババアには剣1本で充分だよw」


「ガキが。黙ってたら良く吠える。ランクSだったっけ?最近有名になったからって調子に乗るんじゃないよ!!」


「ご老体。世代交代の時間だぜ?w」


ドコッ!!



 ハルトが相手にしている女性は、見たところ年齢30後半くらいの大人の魅力溢れる女性だ。


 彼女は先程まで持っていた剣を、攻撃モーションの途中で大きく重たそうな棍棒に変えて殴ってくる。


 剣で受け流そうとしていたハルトだが、棍棒に変わったのを見て、咄嗟に回避に切り替えることに成功した。あのまま受けていたら、剣が無事では済まない。



「〔チェンジ〕か。ま!問題無いな!」


「すばしっこいガキだね?そのまま潰れてくれたらあたしは楽でいいのに」


「でかい獲物はその分行動に時間が掛かるからな。それにタイミングが早くて、見て回避できるレベルだぜ?話になんねーなw」



 ハルトの視界の端でパーティーメンバーのHPゲージがひとつ減る。


(なに?)


 突然消えたHPはヒカリの物だが。ヒカリの名前すら消えたことに違和感を感じたハルト。




『ヒカリは無事だよ〜。ミカちゃんはなにかあったらたぶんメールで指示があるからそれに合わせて〜』



『了解したぜ!』


 が、その後すぐにユキがヒカリが大丈夫と言っていたので安心する。抜けた理由はいまいち想像出来ないが、なにか理由があるはずだ。


 そんなことよりも、目の前のババアに集中する。…。ババアとハルトは言っているが、普通に少しアラサーっぽいお姉さんだ。



ガギャ!ジャラジャラ!!




 今度は棍棒を上から振り下ろす途中でモーニングスターに武器〔チェンジ〕したババア。


 後ろに回避したハルトだが、遠心力はそのままに、射程の長いモーニングスターに変わったことで、射程と、威力、速度が途端に上がる。

 回避は間に合わないと見切り、ハルトは咄嗟に剣でそのモーニングスターの「核」を狙う。



キンッ!!



 そしてそれは綺麗にモーニングスターを下段から上段に真っ二つに切り裂いた!!



「なにッ!!?」


「ハッ!!」



 そのまま切り返し、上から剣を振り下ろすハルト。モーニングスターの振り下ろしに体重を乗せていたババアは回避行動も取れない。が。



ガキッ!



 咄嗟にモーニングスターを盾にし、ハルトの剣を自身から右に向かって受け流す。


 今度はハルトが体制を崩すが、それはババアも同じ。両者そのまま交差するように直進し、相手から距離を取りながら向き直った。



「ちっ!運がいいババアだなw?」


「ふんッ!クソガキのくせに、モーニングスターがお釈迦になったじゃねーか!」


「いっぱい持ってるんだ。いいだろう?思い入れもねーだろうがw。全部叩き切ってやるぜ?」


「うるさいガキが。おや?そっちの後続は足止めを食らっているようだぞ?」


「なに?」


『おい!ユキ達になにかあったのか?』


『いや、大丈夫だぜ?ただ敵に偽の情報を流してる。あわせてくれよな』


『そういう事か…』



「確認は取れたかい?」


「ちっ!俺がお前を倒せばいいんだろw?1人で充分だw」


「ほざけッ!!」



 今度はハルトよりも長い槍を構え突撃してくるババア。


(あのモーニングスターを見て考えたな…。「核」がいちせぇ…)


 ハルトの「剣鬼「一」」よりもはるかに長いリーチで、一直線の突きが放たれた。


 真正面から顔面目掛けて放たれた突きは、遠近感が掴めにくい。


 だが、そんな突きに臆することなくハルトは剣を同じく突き出した!



 槍の穂先をほんの少しだけ顔を逸らして回避しながら、真正面に向かってカウンター気味に放つ突きは、相手の突進とハルトの前身により、あっという間にそのリーチの距離を埋める。


「なっ!?」


 咄嗟に躱されたことを感知した瞬間。武器を変えようとするが、それは間に合わないことを悟るババア。


 何とか回避しようと足掻くが、下腹部右側をハルトの剣が貫いた。


「ッ!?」


「装備「黒龍「煉」」終わりだぜ?w」


 後ろに逃げようとしていたババアを逃がさず、ハルトはババアに刺さった剣「一」を手放し、そのまま新しく黒龍素材からできた剣「れん」をババア目掛け横薙ぎに払った。



 ババアのHPはもうほんの数ミリ。


 状態異常に、出血などもあるため時期にゼロになるだろう。ハルトはそこで、ババアを見下ろしていた。


 そして、倒れたババアもハルトを見るが…。



「フッ。踊らされたのはこっちかい…」


 ハルトの後ろから現れた、足止めを喰らっているはずの「リリース」が現れたのを見て全てを理解した。



 ハルトは、そんな事実を知って、いっそ清々しい顔なババアに問いかけた。



「なんで、わざわざこっちに条件を合わせたんだ?技すら発動させていないし、飛行もしなかっただろう?」


「あ?そんなの、年配としての意地よ…」



「ふっ。おもしれぇババアだぜ。おい、ババア。名前は?」


「あたしの名は、ホウリだ」


「俺の名は、ハルト。覚えとくぜ?ババア」


「ふん。待ってろよ?クソガキ」


 そして、ホウリのHPがゼロになった。そこには、キラキラと粒子になって行くホウリと、どこか嬉しそうなハルトの笑みがあった。










「浮気ですの?」


「は?う…、なんだって?」


「なんでもないですわ!!」




 そんなやり取りを眺めていたナユカの心の叫びをどうぞ。







 爆散ッッ!!





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