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Z354  エルフ族との出会い

公開日時: 2024年10月24日(木) 03:39
文字数:1,892

*>>ギビン視点


 僕たちはノアを襲ていた敵と思われる戦闘機を全て撃破した。〔合技〕か、なんて罪なスキルなのだろう。カッコよすぎる!僕もまた今度サーチで探してみよう。…でも合技してくれる仲間はいないんだよなぁ…


 僕は結局これといった決まったパーティーでこのゲームを遊んでいない。別に1人プレイが好きという訳でもなく…僕は初めてこのゲームをプレイした日。木星圏で初めてノアの来訪者にコンタクトを取り、信頼を得たプレイヤー。という肩書きがついた。

 それ以来何かと来訪者と共に…特にアルカイド艦長とともに何かをしているなんてことが増え、そして気づいた頃には周りのプレイヤー達はパーティーを、ギルドを作って楽しそうだった。



 で。未だに実感は湧かない。僕の今のパーティーはもしかしたらなにかの夢なのかも?自分が勇者かもしれない?護衛にユキちゃんやナユカちゃん?かなり都合のいい夢か?

 目を覚ましたらいつも通り。画面の向こう側の彼女達を眺め憧れる生活が続くだけ…



「よ〜し。とりあえず〜呼びかけてみる〜?」


「もしも〜し!」



 ああ、不思議だ。すごく楽しい。すごく嬉しい。簡単な言葉で表すには惜しいほどの。僕は勇者よりこのひと時が何より続くことを願うほど。



「間違いないですね。エルフを載せていたノアNo.3です。こちら、ノアNo.2 秘書官のヒイロです。応答願えますか?」


「これが宇宙船か。デカイな」



『こちらミザール・ハイ・プリオル。久方ぶりに相まみえた。ヒイロよ。アリオトは無事か?』



 ノアの艦長らしき人の声。美しい澄んだ声の持ち主は女性らしい。


「はい。現在通信可能なノアNo.1 2 7は全員生存を確認してます。そちらは?」


『こちらは現在…数名が息絶えたのだが…何故かどこからか蘇った…。厳密な検査をしてみてもどこにも以上はなかったので、現在隔離中だがそれなりに自由にしてもらっている…。でそちらの見慣れぬ格好の方々は?』


 蘇る?これはゲームシステムでリスポーンしたということだろうか?そして見慣れぬ格好とは僕たちのことだろう。そういえば彼らからしたらこの服装はおかしな集団に見えるだろう。


僕はゴリゴリに装備つけてるし。ユキちゃんは雪でも降りそうなドレス。ナユカちゃんに限っては黒の浴衣だ。ウルドさんは初期装備。もはや仮装大会に近い集団。誰一人として統一感のない。


「この星の先住民…が近い表現になるのでしょうか?プレイヤーと自他ともに呼んでいます。我々に協力してくれている味方であり、仲間です」



 仲間か。これはリリースが今まで築き上げてきた信頼の賜物だろう。この場にヒイロさんが居なかったら、僕はどうやって彼らに接触したのだろうか…?

 思えば僕がアルカイド艦長にコンタクトできたのだって…。ユキちゃんやナユカちゃん、リリースの助力があってできたこと。それが無ければ僕らは連携もできず、ノアは破壊されていただろう。



『承知した。とりあえずいつ敵が来るか分からない。中へ』


 ノアの入口が音を立てながら開く。見たところ敵はいないが確かに危険だ。上を見あげても煌めく星たち以外は暗黒が広がる空間のみ…いつどこからまた敵が来るのかすら分からない。


「おい。ギビン。早く入れ」


「あ、あぁ、すまな…申し訳ない」



 ついボケっとしていたらウルドさんに声をかけられた。少し頭が回らないまま答えた僕だが、相手が王族だったことを思い出す。


「ウルドでいい。敬語も不要だ。こちらも気軽に呼ばせてもらうぞ?」


「は、はい!」



 咄嗟に言い直したが、本人はそういう身分をあまり気にしていないらしい。こういう所はナユカちゃんにも当てはまりそう。




 中はエルフらしくない機械の城。ノアの内装は基本的に変わらないらしい。


「どうぞこちらへ」



 第1来訪者はやはりと言うべきか、耳が尖っていて長い。一応武器なのか?槍のようなものを携帯していた。


 案内されるのは会議室らしい場所。そして中で待っていた人物は先程の声の主と思われるエルフの長。


 長いサラサラの金髪をそのままに、白い肌から覗く長い耳。僕よりも高身長、さらに何がとは言わないがその…でかい。モデルさんですか?と聞きたくなるほど整った顔立ち。柔らかい笑顔。

 これ僕以外の男どもは一目惚れするのでは?


 そう思ってウルドを見ても至って平常心…さすがな王子様。見てきた世界が違う…


 ちなみに僕はユキちゃんが一番可愛いと思ってます。異論は認めるがそのおかげでこの空間に耐えれている。


「初めまして。プレイヤーの皆様。私はエルフ族の長。そして当艦の艦長。ミザール・ハイ・プリオルです。どうぞお見知り置きを」



 こうして僕たちはノアNo.3。エルフ族と出会った。


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