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"276"  白雪姫と変態執事

公開日時: 2023年3月2日(木) 20:40
文字数:2,135



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クエスト:資材を集めよう


クリア条件:資源の確保

参加者:全員

報酬:他プレイヤーとの合流、イベントクエスト進行、中央の島へのバリア解除

状況:クリア


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「お、終わったーー!…」


「ん…」


 現在時刻は11:50 イベント開始早々からログインしていた二人は約3時間もの長時間、ただ淡々と資材を集め、なかなか100%にならないクリア率との格闘を勝利した。

 そのため2人とも既に状態異常:疲労 に陥っている。


 そもそも、資材優先度が高いものほど%が上がりやすくなるのだが、ヒカリの賢さが仇となったのか、建築などが主体ならと石材を中心に集めていたせいで3時間もかかった。という真実。

 このあと休憩と昼食のためにログアウトして、いざその他プレイヤーと合流出来る中央の島へ踏み込んでやっと気付いた。


「あ、お前何集めて貯めた?」

「ん?あぁ〜、俺は島にあった鉄鉱石やら銅掘ってたぜ!鉱石系は%高いからすぐだったなw」

「石とかかなり集めてやっと1%だったぜw」

「あれはやばかったな、木材は一本木を倒すだけで1%溜まるのにそれは無いぜ」





「ヒカリ…」


「ん、ん…、建築に石材。欠かせない!後々、必要。絶対。ん…」



 2人はそんな見知らぬプレイヤーの言葉で撃沈した。







「ん〜。他プレイヤーと協力して街を作る…。のは別にほかの人たちで出来そうだよね〜。となると何かしら他にもイベントみたいなのがあると思うんだけどなぁ〜…」


 と言いながら浮島群の中央にある巨大なひとつの島。中央にさらに巨大な大樹を持つ明らかに重要な島。そしていかにもこの開けた土地に街を作ってね?と言わんばかりのスペースを一通りみて回ったユキ。今も続々と他の小さな島々からやってくるプレイヤーを見ながら、1人大樹を見上げて考え込んでいた。


 そしてそのユキを遠巻きに見守るプレイヤー達。既に闘技大会で2連覇を遂げているユキの知名度は計り知れない。故にどこに行こうにも目立ってしまう。


(流石にこんな大勢に注目されてるとなぁ〜。好きに動けないし〜)


 特に地球出身では無いプレイヤーにとってユキがすぐそばにいるという状況は、すぐ近くに普段なら絶対に相まみえることの無い有名人が降臨しているに等しい。

 今も聞こえるざわめきにうんざりし始めてきた頃、1人のプレイヤーがユキの前に歩みだした。



「おやおや、お姫様。こんなところにいらしていたのですか」


「はい?どなたで?」


 唐突に話しかけられてもロールは保ちつつ、そのいけ好かない口調の主へ視線を向けユキは怪しむように問いかける。



「これは失礼いたしました。わたしくめはセバスと申します。以後お見知り置きをお姫様」


「いえ、結構です」


(え?何この変なの…。普通に気持ち悪い)


 ユキの辛辣な態度もなんのその。自分のロールプレイに酔いしれるこの執事のような格好だけの変態は、周りの目線をガン無視してユキに詰め寄る。


「ではお姫様。わたしくめと共に参りましょう」


「いえ、結構です。遠慮しておきますわ…」


(いや、なんで初対面のよく分からない奴と行動しなきゃ行けないの〜。というか近い〜…)


 その後もしばらくユキに付きまとった執事ことセバスは、ユキの意思ものらりくらりと交してみせる。


 次第にユキもイライラしてきたのかついには一気に遥か上空へ飛び立ち、セバスを振り払おうと試みるも…。




「どちらに行かれるので?」


「…」



 スキルなのか、あっという間に追いつかれてしまいしつこく粘着される。


「もういいですわ。警告いたしますよ?これ以上付き纏うなら実力で排除致します。そうならないうちにどこかに…」


「おやおや、お姫様。反抗期ですか?ダメですよそんな…」

「愚かなあなたに雪の静かなるひと時を。【私と一緒に踊りましょう】…」


 相手が言い切る前に行動を始めたユキ。舞い散る雪が辺りを周り、そこからドレスっぽい姿の白雪姫が現れる。そのままその不埒者目掛けて氷弾を飛ばし落としにかかる。


 両者空中、しかしセバスはあっさりとユキの初弾を躱して見せるとそのまま済ました顔で言ってのけた。


「お姫様からの手ほどき、誠に感謝致します。ではこちらも全力で」



 それを見たユキは自らにさらに〔飛翔〕を使い相手よりも上をとる。闘技場などと違いあまり上をとっても効果は薄いがないよりはマシと判断し即座に【凍える世界】を発動させる。


「【凍える世界】」


「ふむ。【あなたへこの屋敷の接客を】」


 対するセバスは弾幕を放ち、ユキを取り囲むように大きく広がるそれは、ある途中から一気にすべての魔弾がユキ目掛けて迫っていく。これが5回も段階をわけて飛ばす。


(〔指定〕?なら動いてれば当たらないよ〜)


 そんな全方位5段階波状攻撃を見ていとも簡単に回避してゆくユキ。


「お見事。さすがお姫様。では次を【紅茶とミルクとお砂糖とティータイム】」


 さらに広がる弾幕を今度は6段の波状攻撃として飛ばすセバス。そしてその6段の弾幕は同時に3種類の動きを始めたユキを襲う。



 ひとつは先程と変わらないもの。

 ひとつは先程よりもさらにその後〔曲がる〕もの。

 最後は途中から全くのデタラメな方向へ飛ぶもの。

 

 逃げ場に散らばり多角的な攻撃が増えたそれがユキを囲むように動き始めた。






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