*>>ユキ視点
現在月。セカンドコロニー上空に浮かぶ浮島アインズ。そのさらに上空から戦況を大規模戦闘システムと照らし合わせながら確認している。
クエストが言うにはこのままだと月かアインズどちらかが大ダメージを負うまで続く可能性が高い。
問題なのは現在の月が既にほんの少しであるが地球の衛星軌道から逸れはじめているということ。
そしてそれを阻止するために浮島アインズを落とす必要がある。
ギルド「アインズ」にそんな大きな影響を及ぼす力は無いはずだから、この原因は浮島そのものにあるのだろう。
そしてその浮島にいちばん近しいであろうニワタリにもこの状況はよくわかっていない。そもそもニワタリいわく、浮島はなんの変哲もない岩の塊が浮いているだけの空間なのだという。
浮いてる時点でおかしいのだがそこはファンタジーだからだろうか…?
「コッコ…。浮島…ウサギが出てくるなんてことも珍しいコケ」
そしてそんなアインズを落とすべく動いているのはウサギの軍勢。現在確認できる数はプレイヤーよりも多く。空を跳ねるように浮島へ向かっているのだ。
この移動方法…間違いない。〔ジャンプ〕だ。
ここで改めて〔ジャンプ〕の性能をおさらいしておこう。
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スキル:ジャンプ
カテゴリー:飛行系
ランク:青
発動:アクティブ
概要
魔弾に使用すると魔弾が跳ねる自信に使用すると、地面に足をつけた状態だと無代償にジャンプ力を15mまで上げる。地面未着陸の場合、MP1消費することで、足の裏に平行なジャンプ台「瞬時のみ」を生成し15mジャンプ台から垂直上 上方向に跳ねる。〔条件〕〔連動〕を併用し、特定のアクション行動時に自己所有物にジャンプの行動強制が可能。
解放条件
・〔飛行〕の認知
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空中を〔ジャンプ〕する使い方…ナユカが見つけたこの方法はウサギと関わることで明るみに出る予定だったのかもしれない。
『さすがに多すぎないか?』
「それだけ月そのものにとって危機的と判断した…ということコケ」
「よし。まずは〜。うさぎ側へ接触しよう!」
この場合、攻めている側の目的。「アインズが落ちれば月が引っ張られることはなくなる」という条件がどこからその結論に至ったのか…。それを知る必要がある。どちらも正当性がある戦争は第三者である我々が客観で優劣をつけてはいけない。下手な介入をすれば戦争という火は乱気流により辺り一面へ広がるのだから。
そして既にぶつかっている両陣営。迫るタイムリミットが話し合いの道を限りなく不可能にしてしまっている。
『一応、ウサギのボスの居場所は割れてるぜ?ただアインズ側は防衛で手一杯だ』
「ミカちゃんはそのままアインズ側で防衛〜、あとリンあたりに私たちの状況を伝える役を頼むよ〜。いざとなったら巨砲も打ってもらうから意識だけしといて〜」
『まかされたぜ!』
「さて、私たちはどうやってこの大群を抜けようか〜?」
「兵隊を壁役にして戦闘機で行くでありますか?」
「我も古巣が落とされるのは気に食わんコケ。今援軍を手配してるコッコ」
「援軍でありますか?」
「我、鳥のおさコッコ。配下の鳥達には月に集まるように号令したコケ」
『大規模戦闘システムにも何かよく分からない陣営のマークが出てたが…あれはニワタリの配下か?』
「そうコッコ」
だからか、先程から月へ向かってかなりの数のプレイヤーじゃないなにかが動いている。星系図に表記されている数は揃えばウサギにも匹敵しそうな程だ。
「分かりやすいように鳥達のアイコンは水色にしといたコッコ」
鳥のくせに意外と賢い。マップを見れば確かに分かりやすい。
「ビュア〜。ネズミにもアイコン変えれるか頼める〜?」
『ネズミのアイコンも変えられるようです。白にしたようです。ですが戦力としては期待するなと。あくまで情報共有できる目だと思っていて欲しい…との事です』
「了解〜」
マップを見ればさらに多くの白い点…ネズミはどこにでもいると言うがそれを体現したような分布に少し寒気がしなくもない。
「なら、軍曹は皆さんを送り届けるため前線に行くであります!」
「鳥達と人形兵隊で何とか道は作れるコッコ。我本体は…ウサギのおさと面識があるコッコ。上手く話を聞き出せる…かもコッコ」
ということなら私とニワタリが戦闘機ごとウサギのボスの所まで直行。
軍曹と鳥達には道作りを。
ミカは後方で援護と私たちとアインズ、ウサギの伝令役を。
月に来るために私達が乗っている戦闘機とミカちゃんの乗ってきたであろう戦闘機でほぼ全て。いくつか他のギルドでも作っているようだがまだ完成はしていないだろう。
つまり、プレイヤーの援軍は望めない。
今来てくれている鳥達と私たち3人と一匹で両方解決できる何かをつかむ。つかまなければどちらかが滅ぶ。
フフフッ!いいじゃない!盛り上がってきた!
ゲーム全体で起こる異変。これら全てになにか裏があるのなら…私たちリリースがクエストクリアをして見せよう!!
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