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AZ352  僕が守れることに誇りを持て

公開日時: 2024年10月10日(木) 03:31
文字数:2,106

*>> ギビン視点



 今僕はこの宇宙船の操縦桿を握っている。乗っている人たちを見ると王族専用の運転手気分を味わえるが、今はそれどころではない。


「ック!?」


 自分の乗る戦闘機の背後から飛んでくる。エネルギー弾とミサイルは正しく弾幕となり、王族専用船ならまずしない急旋回、急加速を繰り返していた。


 視界には前方の景色と、後方を捉える〔カメラ〕からの二視点が展開され、前を見ながら後ろから飛んでくる弾幕を避けるといった、控えめに言えばマルチタスクを強いられていた。


 戦闘機同士のドッグファイトでは基本的に、後ろを取られた=撃墜。であるため本来なら既にこの宇宙船は堕ちていてもおかしくない。だが、RBGというゲームはなんでもできる。船内にいるユキちゃんが船外後方に弾幕を飛ばせるため相手にも回避行動をとらせ、こちらへの過激な攻撃を何とか防いでくれていた。




ピピピピピッ!!




 またもや鳴るロックオン警報。はるか後方にいる敵からミサイルが打ち上がったのが見え、そのまま弾頭をこちらへ向けて進んできていた。


「二発!」


「了解!」



 どうやら二発飛んできているらしい。急いでカメラを左右に向け確認すると確かに横からも飛んで来ているのが見える。


「右前ミサイル撃ち落とせますかッ?」


「右ね〜。任せて〜」



 どうやら落とせるようで一安心。さすがに二発の誘導ミサイルを同時に多方面から回避出来る気はしない。


「ちょっと魔改造〜【雪の精霊?妖精?小人は32の槌を打つ】〘変更〙」


 32発のミサイル…ゆぎだるま型の誘導ミサイルをユキちゃんは展開。その全てが右前のミサイルに向かって飛んでいく。


 撃ち落とせるといったユキちゃんを信じて僕は後方のミサイルを回避するため速度を一旦緩めた。


 速度を緩めたのは回避とミサイルの追尾反応を振り切るためだ。速度が早いとその分回避行動にミサイルが着いてくる可能性が出てくる。

 昔色んなゲームを齧った経験がここに来て役に立つとは思わなかった。


 …宇宙船の免許とった時に調子に乗って買ったんだっけ?



 横で爆発。雪だるまちゃんミサイルは見事にミサイルを破壊したようだ。

 後方のミサイルもすぐそこ。船体をそのまま左回転させおもいっきり上に〔加速〕させる。

 船体の左回転をそのままにしているためまるで渦を描く様な軌道。ミサイルの追尾可能角度を超えた急旋回と同時に減速。予想通りミサイルはそのまま戦闘機の頭上を通り過ぎた。


 目的地はまだまっすぐ。あの目の前の緑の光だが、このままミサイルを打ち続けられると何回も回避し切れるとは思えない。偶然今も躱せたが…


「ユキさん!」


「ん〜?」



 僕から彼女に話しかけたのはこれが初めてなのかもしれない。面と向かってでは無いものの確かに今僕は彼女たちを守ることができている。本当は僕が護衛される側かもなのだけど…

 


「ミサイル撃ってくる機体だけ撃破しに向かいます!」


「突破できるの〜?」



「やります!!」


「お〜。お〜け〜。できるだけ最短、最速で落として〜」


「了解!!」



 思いっ切り戦闘機の進行方向を右へ。まずはこっちの敵を落とす。大きく進路を変更したことで後続の敵はそのまま追ってくる。急に曲がった戦闘機と少し距離を開けて着いてくる敵では内側を曲がれる分移動距離が少ない。そのせいで自分との距離を縮められるが、逆に言えばエネルギー弾の弾幕は拡散されにくく相手の攻撃は単調だ。


 そして敵ミサイル戦闘機も狙われていることに気づいたのかUターンを開始する。敵はあくまでもモンスターと同じ部類なのだろう。動きにどこかシステム的な部分を感じる。

 こういう時Uターンは悪手だ。おそらく簡単な行動しか出来ない機体なのかもしれない。



 一気に距離を縮めることに成功。





 ピピピピピッ!!



 ここで追いついてきた後方のミサイルが飛んでくる。タイミング的にはちょうどいいかもしれない。思いっ切り再度〔加速〕を使用。EPとMPを両方とも大量消費しているがまだ足りる。前方のミサイル戦闘機にギリギリまで近づきそのまま戦闘機をぶつけ上に舵を切る。船体HPがゴリゴリ削れているがこのまま押し切れぇ!!


 2隻がもつれるように上昇。そこに接近するミサイル。



「ここッ〘加速〙!!」


 通常の〔加速〕と〘加速〙を掛け合わせた一瞬だけの超加速。僕の乗る戦闘機は敵機体を弾きながら後ろに置き去りにした。


 そんな敵機体にミサイルが命中する。



 あと1隻。


 ミサイルは一発で機体をバラバラにできる威力らしい。かなりの爆発が後ろで起こっていた。一瞬、爆発が敵からの視線を遮る。



 このタイミングで船体だけを進みながらUターンさせ〔停止〕を使用。


「ぐぎゃ!?!?」


 なにか後ろの方で聞こえちゃいけない断末魔が聞こえた気がする…


 爆発が収まり敵を視認する。敵もこちらを視認したがまさかこちらが停止しているとは思わず前列にいた戦闘機はそのまま僕たちを通り過ぎた。


 その後方からやってくるミサイル戦闘機を捉える。これで!!



 戦闘機に着いていた武装はエネルギー弾を撒き散らす。真正面から飛んでくる弾に回避行動が間に合わない敵はそのまま機体を爆発させた。



「よし!!あとは逃げます!」



 こうして僕は敵のミサイル戦闘機を2隻撃墜することに成功した。

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