「ほんとに襲われてるじゃねぇーか!」
「ええ…、広場の情報いわく色んな偶然が重なって戦闘プレイヤーが街から出払っていたらしいですわ…」
現在時刻JPT9:49
何とか街まで帰還したハルトとアリア。到着するや至る所から煙が上がり倒壊した作りかけの建物などが目に飛び込む。
この原因は今は1羽も見当たらないが鳥型のモンスターだという情報程度だ。
水源の話などしている暇もなく。ひとまず2人は街を見て回る。所々焼け焦げてはいるし煙はでているが火は収まっているようだった。
「ひとまずそのリン?とかいうプレイヤーを探すぞ」
「そもそもそのプレイヤー不在だったみたいですわよ?」
そう、そしてアインズのメンバーも資源を探し街を離れているため現状司令塔がいない。
「ちっ…。これも猫の差し金か?」
とりあえず何か出来ることは無いかと当たりを散策しインベントリにある素材を探る2人。ふとボヤいたハルトに声を掛ける人物がいた。
「その話。詳しく教えて貰えませんか?」
その人物はシルクハットを被り杖を持つ金髪のイケメン。2人は一応警戒しつつもどこか爽やかさ感じる彼に向き直る。
「誰だ?盗み聞きはマナーにかけるな?w」
「いえいえ、たまたま耳に入っただけですよ。まあ、耳がいいといいこともありますよ?」
「へぇ…」
一応敵対するかもしれないと考えたハルトは剣を手に取る。アリアもそれを見て小声で詠唱を開始しだした。
「待ってください。敵対するつもりはありません。話したくない内容でしたら無理に聞き出したりしませんよ。ハルトさん。アリアさんも詠唱やめてください。ここで魔法放つと二次被害でさらに街が壊滅するでしょう?」
「なんで名前を知ってるのですわ?私たちは革命者とは言えど見た目までは公表されませんわよね?」
革命者の2人は名前だけならそれこそRBG内でトップレベルの認知度だ。だがしかし、地球出身が故、月や火星出身のプレイヤーは殆ど容姿を知るものはいない。このイベントだからこそこうして色んなエリアのプレイヤーが一度に集ってはいるものの、2人を初見で見抜けるほど容姿バレしているとは思ってもいなかった。
「私も中央闘技場のプレイヤーですよ」
「「なるほど」」
だがしかしエリアが一緒ならむしろ知っている人も多い。特に中央闘技場は有名人が多いのだ。ユキとか…。
ひとまず納得出来る回答だったので2人は警戒を解いた。そもそもここで戦う理由もない。
「それで?あんたは何者だ?」
剣を収めながらそう問いかけるハルト。ハルトに問われふとそういえば名乗ってなかったことに気がついた彼は自己紹介を始めた。
「失礼しました。名乗り忘れてました。私、セリエルと言います。今このイベントで情報収集をしているプレイヤーですね」
「情報収集…。なるほどな。なら俺たちも聞きたいことがある。それと交換でどうだ?」
ハルトとアリアは情報収集と聞いて自身の見ていた広場の情報と参照する。どこかに情報収集をしているグループがいると噂になっていのだが。それかと当たりをつけハルトは見返りに情報を求めた。
「いいでしょう。交渉成立です」
「釣り合うくらいの情報くれよ?wアリアわりぃが情報あげても大丈夫か?」
「それもう少し初めに聞くことでわありませんの?…いいですわよ。どうせ上げに来たものなんだし…」
「てなわけで相方の許可が取れたんで話していこうか」
「アリアさんもありがとうございます。まずは私からお話いたしましょう。なんの情報が欲しいのです?」
それからハルトは各地の猫についての情報を聞く。さらに目撃箇所や分布なども。アリアも一緒に〔地図〕や頭の良さをフル活用して何かしている。
ハルトはアリアをチラリと見やる。
(やっぱりこいつこういう時だけは頭はいいんだろうな…。ことゲームや勝負事には弱いが…)
伊達に普段から必要にない勉学に励むぶん、こういったゆっくり考えて考察することにおいてかなり秀でているアリア。それもそのはず、彼女は自力で、ハルトに負けまいと革命者になった人物なのだ。
スキル傾向。出現率、バトルシステムの観点から〔魔力〕の存在をつきとめた彼女。
ただのまぐれでは決して魔力は手に入らないのだから。
「OK。…アリア」
「ええ、大体居場所は突き止めましたわ」
そして今回も彼女はその実力を発揮する。彼女の〔地図〕に示された1つの〔ポインター〕。そこにアリアはあいつがいると予測した。
「そろそろ、こちらからもお聞きしても?」
「ああ、かなり提供してもらったからな…。単刀直入に1番でかいネタから行こうか?w俺たちさっきこの浮島の水源を確保したんだわ」
…
「水源?ですか?」
「そうですわ。それにより許可さえあればこの街まで川から水路を作れるようになったり川にも施設やら何やら建てることができるようになりましたわ」
…
「ちょっと私だけでは対処できないですよ…。こちらへ…。生産職の人達も混じえてお話しましょう…」
もう既にハルトとアリアは十分にリリースメンバーとして不足のないやらかし具合だったのかもしれない。
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