私達は、アリオト艦長が確認を取りに応接室を出ていったあと。残ったのは私たちと艦長にヒイロと呼ばれていた女性だけだった。
「皆様、お時間を取らせてしまい申し訳ない。紅茶も先程の説明で覚めてしまっただろう。今新しいのを持ってこさせよう。ついでにお菓子も」
「ありがとうございます!」
少しして運ばれてくる紅茶と茶菓子。美味しそう…。ちらっとユキとヒイロさんを見れば、ヒイロさんは「どうぞ」、と微笑んでくれたし、ユキも無言で頷いた!じゃ、じゃーいただきます!!
周りから、視線を集めていることなど知ったことか。ナユカはお菓子に手を伸ばす。そのままポリポリとお菓子を食べる姿は、実はビュアに取られているとは知らず、後で「ナユカちゃんのほっこり動画集」という題名の元動画にあげられ、とてつもない再生回数を記録したとか。
ちなみに本人には許可を撮ってないが、ユキがGOサインを出したとか。
そうして、他のメンツも紅茶や、お菓子に手を出し始めた時、応接室の扉が開く。
「すまん。遅くなった…ぜ?」
入口から入ってくるなり、今の状況がイマイチ分からなかったのか。ミカちゃんが戸惑いから語尾に疑問符を浮かべながらやってくる。
「お疲れ様~」
「お疲れさまですわ!」
ミカちゃんが加わったことでここに「リリース」のメンバー全員が揃った。
ミカちゃんの分の紅茶が運ばれてくると、ユキが全員を見回して話を始める。
「じゃあミカにはちゃんと説明してもらおうかな~?大規模戦闘システムについて」
「わかった…。と言ってもそんなに大層なことはないんだぜ?」
そう言ってから語り出すミカちゃんの内容は、そもそも大規模戦闘システムを発見したのは偶然だということ。それは〔電力〕が勝手にそのシステムに持って行かれたから、気になってあとを辿ると建物の中にその大規模戦闘システムと思われる装置があった。ということ。
そして、それは全員が体験した通り、様々な機能をプレイヤー全体に発生させることができるという。
その装置は、闘技場が何かしら危険に晒されたため、突然起動しはじめ、その周辺にいたプレイヤーのEPを吸収しだしたのだと推測しているらしい。というのも起動するためのEPが、ミカちゃんの取られたEPより何倍も多かったためそう予測しているらしい。
起動後はEPを追加で使用することで、各能力を解放。共有することが可能。
ということだった。大規模戦闘システムの大まかな機能は、こんな感じである。
・先頭区域のプレイヤーの位置情報共有
・敵性反応の位置情報共有
・その他反応の位置情報共有
・マークポイントの設定
・コマンダー、サブコマンダー、キャプテン、リーダー、の任命
・パーティー、レイドパーティーの設定
・各対応スキルの大規模共有
・巨大シールド設置
「これは…。これからもこのような大規模なイベントが発生することが確実ですね」
「だろうね~。しかも指揮権設定とかあるから複数のチームで別れて動くような。そんなシステムだね~」
「レイドパーティー設定とか露骨に巨大モンスター来ますよってアピールだろうなw」
「この施設はまだ中央闘技場でしか見つけてねーが、他の闘技場もあるとみてるぜ?」
「いきなりゲームが変わりましたわね…」
それぞれが反応を返しているが、ナユカはお菓子に夢中で半分位聞いていない。
「ま、こんな感じだなっ!」
ミカちゃんの報告が終わり、次に今後のことについて話し合うことになった。
「まずは~。ギルドを作っちゃおうと思う」
「ま、元々そのつもりだったんだしなw。名前はどうするんだ?」
ということで落ち着いた今、一旦、ギルドを作りに闘技場によることが決定した。
「「リリース」のままでいいんじゃないですの?」
「ん〜、どっちでもいいんだよね~?とりあえず聞いてみた感じ。何も意見ないならそのまんまでもいいよ~」
「ならそのままでもいいですかね」
「ですわね」
「このメンツだぜ?まだ絶対なんかやらかすに決まってるだろ?うちはその名前、合ってると思うぜ?うちらに」
「だなw」
「いいよー!」
「じゃ~そのままね~」
このままギルド名は「力の解放」になりそうだね。
「次にギルドを作ったらショップとサーチを使って、全員が〔気力〕〔霊力〕〔電力〕〔妖力〕〔魅力〕の獲得ね~」
「ショップにあるの?」
その言い方だと、ショップに売ってるような言い方だけど、そんな簡単に全部そろうかな?
「オーブショップはランクが低いほど入りやすく、需要が高いほど上に表示されるシステムだよ~。だからランクは1番下の白で、今1番注目してる「力」のスキルは、たぶんいっぱい入荷してるはずなんだよね~」
「あ、でもこっちに来る時にちらっと見たが、ありゃ無理だぜ?人が溢れるように、ショップにたむろしてやがった」
「あちゃー。みんな考えることは同じだね~。でもゲットしたいし~…」
今、ショップは人で溢れてるんだ。そんなとこには行きたくないね。また、変に注目を集めるのは嫌だし。
「こっちのクエストを探して暇を潰すか?」
「かな~」
そうして、相談していると紅茶も無くなり、アリオト艦長が帰ってきたのだった。
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