「那由花〜。そろそろ支度できた〜?」
「はーい!」
あれから数日が経過した。私たちCSFは中央集会所に勝利した後、こちらから中央集会所に攻め込むことも考えていた。しかし、中央集会所はその後色々あって同盟解消したらしい。
やられたらやり返さないと、舐められるでしょ?と言ってウキウキとぶっ潰す気満々だったユキは、その報告を聞いた時に、ガックリと項垂れた。
そして、私たちは、ひとまず、街作りに注力し始めていた。
そうそう、ミカちゃんだけが、あれ以来、自室とノアを行ったり来たりして、たまにどこかに連絡したりしつつなにかに没頭し始めた。
ユキ曰く、気にしなくていい。との事。
ただ、いつも私がログインするとゲーム内にいるんだけど。寝てる?
「那由花。雪。行くぞー?」
「「はーい」」
そして現在、私たちはゲーム外。つまり現実で仕事を引き受けていた。
私たち、ゆき、パパ、ママの4人はナビィの操作する車に乗り込む。
『それでは、衛星軌道ポータルに向かいます』
そうして私たち4人は、2度目となる衛星軌道ポータルに向かって車を走らせた。
「そういえば、翔平が行きたいとはぶてていたぞ?」
パパはゆきにそう言いながら少し笑う。翔平…。ってゆきのパパだね。私は最近会ってないけど、パパは昔からの旧知の仲らしい。
「お父さんは仕事で来れないでしょうに〜」
ゆきは呆れながらも、その顔には笑みを浮かべながら返す。ゆきからしたら結構再々こういうことがあるのかもね?
『低速階層から中速階層へ上昇。加速します』
そんなたわいもない話をしながらも、私たちの住む街並みはどんどん後ろに流れていった。こう見るど私たちの住む場所は結構都会のような気がする。
遠くから見ると、博物館周辺だけ建物が極端に少ないが。その周りはほとんどがビルや施設。何階かも分からないような高いビルが立ち並んでいた。その中でも、ここからでも見える高いビル。
私が…。自分について告げられた場所。
まあ、今日はそれすらも通り道な訳だけどね?
*
私たちはポータルに到着し待合室で待機していると、扉が開いて見知った…。いや、ここでは初めて会う人達。
「こんにちは…。いえ。初めまして。ですかね?」
「うわ。ほんとにそのまんまだ!」
「ん。ユキも」
そこから現れたのは、ゲーム名で言うと、ビュアさん、アキアカネさん、ヒカルさん。
「一応初めましてだね〜。私は朝霧 雪。いつも通りユキでいいよ〜」
ゆきが自己紹介したので私もしておく。
「私は米嶋 那由花。私もナユカでいいよ!」
「自己紹介が遅れました。私は乏月 夜宵と言います。私もビュアと呼んでください。そっちの方が慣れてますので」
「私は秋田 茜です。アキアカネでお願いします」
「ん。菊池 陽花里。ヒカリでよろしく」
自己紹介は何となく、アキアカネさんと、ヒカリさんは予想通りな名前だったね。逆にビュアさんは予想出来なかった。
「一応、私からも自己紹介しておこう。那由花の父。米嶋 勇人だ。娘がいつも世話になっている」
「那由花の母。米嶋 花恋です。よろしくねー」
「「「よろしくお願いします」」」
おう?なんか3人ともやけにハキハキと。どうしたの?
「そりゃ〜、目の前に天才と、王族が居ればそうなるでしょ〜」
えっと…。パパとママのことだよね?確かにパパは賢いし、ママはお姫様かもしれないけど、そんな威厳ははっきり言うけど無いよ?日常生活見てみ?
「ナユカ〜、あんた最近まで存在をほとんど秘匿されてきたこと忘れた〜?」
「え?秘匿されてたの!?」
何それ初耳なんですけど!!私って隠されてきたの!何それ、どっかのお姫様みたいじゃーん!…お姫様だったっ!
「3人とも気にしなくていいいいわよー。私はナユカのお母さん。王族とかそんなのは関係ないわー」
「そ〜、そ〜、慣れる慣れる〜」
ユキは慣れすぎて感覚狂ってるだけだと思うよ?
「那由花はごく一部の人間しか最近まで知られていなかった。それは、わざわざ、ハーフなどと言えば余計な混乱を生むからな。そんなこともあって、花恋が実はお姫様だったことも、防衛省のごく一部の人間しか知らなかった。最近までは…」
確かに、あまり外には出して貰えなかったけど…。
「その事実をニュースで知った時、私は納得しましたけどね?ナユカさんは初めてにしては博物館の内部構造を知り尽くしていたので。米嶋家。この世で今1番太陽系の外に近い人。それが米嶋 勇人博士…」
ビュアさんにそう言われて、ああ、確かに休館日とかにユキと2人でよく遊びに博物館に行ったっけ。
「そんな大層な称号は要らんのだがね?それに博物館も、花恋や那由花達のために作ったようなものさ。周囲に監視されたりされないように、高いビルは建てなかったしね」
パパ意外と有名人だったんだね?なんかこっちチラチラ見てるけど。褒めて欲しいのかな?
そんなパパはほっとこう。とりあえず私たちはこのメンバーで移動を開始する。ちなみにパパは少しガックシしていた。パパー、娘離れしないとダメだよ?
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