『木星圏のプレイヤーの皆様。ただいま私は大規模戦闘システムの念話で皆様に直接話しかけています』
念話可能になり、まずはユキが語りかける。
『私の名前「ユキ」。周りからは「白雪姫」などと言われているプレイヤーです』
あえて自分から「白雪姫」の名前を出すことで、プレイヤーはいきなりの有名人に驚いたり、何事かとキョロキョロ周りを探してみたり、そんな反応が見られる。
やっぱりユキの名は初心者でも聞いたことあるらしく、そんな有名人から念話が飛んできたらさすがに聞く耳を持ってくれたみたいだ。さすがユキ!ちなみに念話は白雪姫のイメージでいくらしく、口調は丁寧だ。
「早く~ナユカも自己紹介して」
「え、あ…」
私も!!?
『えーと…、ナユカです!!好きな物はももです!』
『うん!落ち着こうか』
唐突に自己紹介しろとか、ユキが言うのが悪いのです!
『さて、早速ですが、現在そちらは危機的状況にあります。未だプレイし始めてすぐの状況で、スキルなど揃っていないそちらでの現在の状況を判断することは困難であろう。という判断の元、こちらがプレイヤーに指示を出していきます』
『今、こっちからはみんな一人一人の場所や状況がしっかり見えているよ!』
闘技場周辺で何していいかわからなかったプレイヤーは、この言葉を聞いてやる気を出してくれたみたい。
『現状、プレイヤーがそれぞれバラバラに動いているため、連携が取れておらず、なおかつ孤立しているプレイヤーが増えてきています。今、出した地図を見て自分の居場所と1番近くの闘技場、或いは「ノアNo.7」の場所を把握してください』
『モンスターに囲まれたりしないように見てね!』
私、やっぱり要る?
『確認したら、一旦闘技場かノアに向かい、そこで協力してモンスターの襲撃を防ぎましょう。自分が目立ちたいがために一人飛び出したり、他のプレイヤーの邪魔はしないでください』
『一人飛び出したりしたら逆にかっこ悪いよ!』
うん…これでいいんだよね?いいんだよね?
「ナユカさん入れて正解でしたね…」
「あれ天然でやってるだろw?」
「だな」
ナユカの聞こえないところで、そんなことをボヤいていたメンバーがいたとか。
『闘技場周辺にいる人たちはそれを守って戦っていただければ勝てます』
『が、頑張れー!』
『「ノア」周辺に集まったプレイヤーは、これから言うことを実施してください』
「艦長〜。出番ですよ〜」
ユキのギャップが激しい。でもそこがいい!!私何言ってんだ?
「あいわかった。ミザール艦長。そちらの状況は理解できるか?」
『問題ない!ほ、本当に現地民が統率を取り始めた…』
「よし!ならばそちらから砲撃を開始してくれ!そうだな…北からでどうだろう」
「じゃあ北側は避けろって言うね〜」
ついに、連携しだした防衛戦をミザール艦長は驚きながらも冷静に指示出しをしだした。
ユキも念話で今からノアの協力で、北側に砲撃が飛んでくるから避けてね?って言ってる。
『近くにいる人は速やかに左右近い方に避けてね!』
そうしてしばらくして、プレイヤーの待避と、砲撃の準備が整った。
『撃てー!!』
ミザール艦長の号令とともに、ノアから放たれた砲撃は、北側にいたモンスターの大半を吹き飛ばして行く。その間にプレイヤーは他の方角から来るモンスターを抑えていた。
やがて北側のモンスターが殲滅され、どんどん次の方角を順番に協力しながら砲撃を加えていく。
30分位して、ようやくモンスターは1匹残らず殲滅することができたのだった。
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緊急シークレットクエスト:「ノアNo.1.2.5.7」の死守:クリア
各艦「ノア」シリーズの死守。または協力関係を構築せよ。
勝利条件:どれかひとつでも「ノア」の死守成功。
敗北条件:全艦「ノア」の大破。「来訪者」の全滅。
クリア状況:クリア
1:防衛成功。損耗率42%。
2:防衛成功。損耗率0%。
5:未発見。損耗率100%。緊急脱出。
7:防衛成功。損耗率94%。
全闘技場状況:全部無事。
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『皆様おめでとうございます。無事クエストをクリア出来ましたね。御協力ありがとうございます』
『うん!よく耐えれたよね!砲撃かっこよかったし!』
実際まじでかっこよかった。今の時代でも戦車とか戦艦とか好きな人の気持ちが少しだけわかった気がするよね!
『それではまたご縁があれば、一緒に戦いましょうね』
『あ、バイバーイ!』
《大規模戦闘システムを終了します》
「何とかなったなw。半分くらい諦めてたんだが」
「いやー、動画映えも凄かったですよ」
「あれで自分の人気を理解してないナユカは異常ですわ…」
「お疲れ~」
「お疲れ様!」
それぞれ、感想じみたことを言いつつも何とか無事終了。ノア7号を救うことができたみたい。
「皆、船員一同感謝する」
そんなとこをアリオト艦長は帽子を取りながら私たちに言ったのだった。
「それほどでも~」
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