2人のライブは続く、数曲歌った後。2人のトークが始まったかと思うと、そこにヒカリやアキアカネも加わり、今回のライブについてどうだった?とか、そんな質問コーナー的なこともしていた。
『ナユカさんは、RBG始めたのは最近ですよね?』
『そうだよ。えーと、日にちは忘れたけど。ちょうどヒカリさんとアキアカネさんが実況解説に入った試合。あの時が原点かもね』
『ユキVSアツキ戦ですね。あの試合はユキさんなかなか気合いが入ってましたからね』
『それほどでも〜』
『ん。アツキ。嬲ってた』
『人聞き悪い〜。少し魅せただけじゃ〜ん』
『まあ、当のアツキ選手は負けてもランキング上がってたんで…。ユキさんもダメージ喰らってましたし』
『飛撃は反応遅れるよね〜?』
『雪も充分反則と思うよ?』
そんな質問コーナーもあっという間に時間が過ぎていく。質問コーナーと言っても質問内容はヒカリとアキアカネのふたりが考えたもので、一般の人たちの質問ではない。特にナユカへの質問は、ゲームと関係ないものに触れられそうなため取られた措置だ。
質問はナユカからもユキにたまに入る。
『ユキはそういえばアキアカネさんとヒカリさん。2人と仲良さそうだけど。いつ知り合ったの?』
『ん。半公式に誘った。時』
『スカイスクルンブルの時かなぁ〜』
『あれ?』
『ん?』
意見が合わなかったことにより、お互い首を傾げる。
『えっと。私もユキさんと出会ったのは、半公式に誘った段階だったかと』
『あ…。ごめ〜ん。スカイスクルンブルの時には一方的に知ってただけだよ〜』
『ユキ。私達のこと。知ってたの?』
『うん。ふたりが有名になるきっかけみたいなもんじゃな〜い?遠目で見かけたことあるから〜。たぶんその時私はヒカリ達を知ったんだよね〜』
『あったのは、お誘いの時?』
『そうそう〜』
プレイヤーからしてみれば、スカイスクルンブルは記憶に新しい。もちろん他にも活躍したプレイヤーはいたが、アキアカネとヒカリは当時、貢献度TOPスリーに入る。
『なんかクリスタルがどうのこうのとは聞いたんだけど。いまいち私は分からないんだよね…』
『ん。「強制召喚クリスタル」。私とアキアカネが持ってた。限定アイテム』
『このRBGにおいて今のところ2人しか持ってないアイテムだね〜』
『へ〜。高そう』
『ダメ。これは絶対。売ったりしない』
『あはは。まあ、ほんとに帰ってきて良かったね?』
『…ん』
『んじゃ〜。次の質問ね〜?みんながRBGをしてきてこれまでで〜、1番嬉しかったことは〜?』
話題を変えるため、ユキは落ち着いた段階で新たな質問を3人に投げかける。
『私は…、ワンライフクリアした時かな?』
『あ〜、1回目失敗した時泣きそうだったもんね?』
『こら!余計なこと言わなくていいから!』
『あはは!2人は〜?』
『『クリスタルが帰ってきた時』』
『仲良いね?逆にユキは?嬉しかったこと』
『ん〜?私は…。ナユカがアイドルになった時かな?』
『なんで!?』
『何でもだよ〜』
『言う気なさそうですね』
『ん。ずるい』
ユキの回答にブーブー言うナユカ。それを見ながら2人は司会進行としての仕事を思い出したかのように始める。チラッと視線を見えてる時間表示に向ければ、ちょうどいい具合にトークできていたようである。
『では、そろそろ次の歌。行きますか!』
盛り上がる観客。ライブはこのあともしっかり盛り上がりを見せ。数時間によるライブは幕を閉じた。第一回目のライブはこれにて無事終了を迎えた。
*
「いやー。良かったね。僕は大満足だよ。ランプはどうだった?」
スタジアムを出た2人は、先程行われていたライブについて話しながら、今日泊まるホテルへ歩みを進める。
「悪くはないんじゃねーか?」
どこかよそよそしいランプだが、本人の心の中では、思ったよりもいい感じに萌え死にしそうであった。
闘技大会で戦った時はそこまで意識しなかったが、今日改めて見てみると2人とも可愛く。ランプはモヤモヤした気持ちをどこにぶち当てようか悩んでいた。
「思ったより高評価だね?意外と楽しかったろ?こういうライブも」
「まあな。そういうお前はどうなんだ?前々から狙ってた念願の生ライブ」
「最高」
シンプルかつ真っ直ぐなカルマ答えに、ランプは少し、そんな自分をさらけ出せるカルマを羨ましくも思う。まあ、いい大人が欲しいとは思わないが。
「おい、カルマ」
「なんだい?」
「夜にRBG。やるだろ?滅多に遠出なんてしないんだ。この街を散策してみようぜ?」
「珍しいね?君から誘われるのは。いいよ付き合ってあげるよ。ただ後ろから攻撃を飛ばしたりするなよ?君と戦うと骨が折れる」
「決まりだな」
こうして、2人は夜になったアリンの街を歩いていく。このあと、同じくゲームで散策していたナユカ達と出会うことも知らずに。
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