『ログインを開始します。仮想体を作成します。プロセス完了。ゲームシステムをジャック。成功。これより「Reality barrage gamers」を開始致します』
「行ってくるね」
「くれぐれも気をつけるんだぞ?」
「うん」
「ゆきも頼む」
「任されました」
『ゲーム開始』
…
『発案したのは私だとはいえ…。姫様を巻き込むことになって…、良かったのですか?』
「いいわけ…無いだろう?」
「でもあの子がその道を選んだんだから、あなたの判断は正しいわー…」
「花恋…」
「マザーは彼女たちに任せましょー。ナビィは那由花達をお願いね」
『了解しました』
「私達はやることをやるわよー?」
「あぁ、任せろ。と言っても機械系は花恋とトビィに任せるのだがな…」
「あなたは計画作成や、データを総合的に見て作戦立てないといけないんだから、なかなかの大役よー?」
「わかっている。まずは援軍からだ」
*
『ログインします』
…
「おっとと!」
「よっ」
あれ?いつもメイド服来たAIがログインする時に出迎えてくれるのに…。今はそのまま直通でゲームの中に出たみたい?
『ナビィです。通信が聞こえていますか?』
「わっ!」
「ん?聞こえてるよ〜?」
突然頭の中にナビィの声が響き渡る。いきなり声出さないでよ。びっくりしたなぁーもう…。
『こちら側から遠隔で姫様達をサポートします。通話は常に〔念話〕越しにしてください』
『『了解』〜』
現在、私たちは私の家の中にいる。ここからマザーを探してどうにかしなきゃ行けないわけだけど、そもそもまだマザーの本体がどこにあるのかわかっていないので、ナビィの解析待ちだったりする。
『2人とも移動の際には普段見ないような。裂け目のようなもの、或いはヒビが入っているような空間が存在します。それには絶対に触れないでください。触れたら強制ログアウトになりますよ』
『ヒビって結構でかいの?』
『現在この周辺にはありませんが、外には多数存在します。かなりの大きさのものから人が通れないようなサイズの小さいものもあります』
『それもマザーと何か関係があるのかな〜?』
『現在不明です。ですが関係性はかなり高いかと。現状未だにどうやってマザーを機能停止に追い込んだのかが不明です。その他変わったことがあったら絶対に近ずかないでください』
『了解』
『解析完了しました。近いですが…。遠いですね…。座標は中央闘技場のど真ん中です』
『すぐそこじゃん?』
『問題は3つあります』
『え…』
『1つ目は、その道のりの途中に大きな裂け目が横断していて直進では行けないことです。また上空に行くほど細かい亀裂が多く。不安定なため、大きく迂回して闘技場に行く必要があります』
『あまり高度をあげたらダメってことだね』
『2つ目に、イベントモブがそこら中に散布するように徘徊しています。かなりの数です』
『RBGをハックしたならそのイベントを強制的に終わらしたり出来ないの〜?』
『的モブがマザー側の操作で動いているようです。こちら側に引き込むことは困難かと』
『ならできるだけ見つからないように、やむを得ない時は戦闘だね〜…』
『そして最後の問題が1番厄介です』
『なに?』
『3つ目は、闘技場にはマザーはいない。ということです』
…
『えっと…。どういうこと』
全く分からないんだけど?さっき闘技場に居るって言ってなかったっけ?
『闘技場はゲームオリジナルの施設です。つまり、リアルにある建物とは違います。マザーがいるのは現実側の建物の中です』
『それマザー見つからないんじゃない?』
『いえ、ゲーム側の闘技場をリアルのARに切り替える装置があります。それが大規模戦闘システムです。それを破壊した時、闘技場が消え去り、現実側の建物が現れます』
『あれ壊すのか〜。てか壊せるの〜?』
『大規模戦闘システムは敵の介入は受けていないようです。むしろ正常に稼働しているためにできている問題なのですが…』
『了解〜。じゃあまとめると、私たちがマザーの元を訪れるには、闘技場に大きく迂回しつつ、なお低空を移動しながら敵に見つからない。或いは撃破しながら大規模戦闘システムを破壊して、そこからマザーを探さないと行けないんだね〜?』
あれ、できる気しないんだけど…。しかも死んだらダメって…。
『その通りです』
『これはかなり骨が折れるな〜…』
『と、とりあえず闘技場に行こうか』
『そうだね〜』
ひとまず闘技場に行くところから始める。敵モブに会わないようにユキと私は低空飛行しながら、私の家から出る。
すると、目の前は…。
倒壊したビルや、ところどころひび割れてしまった空間がそこかしこにある。そんな場所にモンスターが沢山徘徊していた。
『うわ〜』
ユキもこれには引いているくらいに、酷い有様である。本の数時間前までは何事もなく、平和に遊んでいただけなのに。
そう考えると、悲しさや怒りの感情が私を駆け巡っていく。
『行くよ。ユキ。私たちがやらないと、地球がやばい』
『うん。覚悟を決めるよ』
私は強く手を握る。
その瞳は赤く発光していた。
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