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AZ357  勇者たる資格を示せ

公開日時: 2024年11月11日(月) 04:29
文字数:1,926

*>>ギビン視点



「ここが苗木のある場所です。ここにある不思議な機械は大気を構成する酸素や窒素などを常に排出しています。こちらが…」


 そう言いながらミザール艦長が振り返る。彼女の後ろには苗木と言うには少し大きな、幼い木と呼べるサイズの木がその細い幹や枝を力無く垂れさせていた。

 よく見ればその木の横には支柱が立てられておりそれに寄り掛かるように鎮座している。


「苗木の寝室。我々エルフ族はゆりかごとも呼んでいます」



 辺りには色の良い植物が色々と生えている。それらはかれる素振りも見えない綺麗な状態でこれらがさらにこの元気の無い木を異様に感じさせる要因なのだろう。


「苗木さん。元気ないね?」


「そだね〜」


 そんなナユカちゃんとユキちゃんのやり取りを見ながら苦笑いを浮かべるミザール艦長。それほどまでにこの苗木は弱っている。


 ふと、いつの間にか視界から消えていた緑の光がそんな苗木の前にふわりと集まり始めた。



「こ、これは!?」



 この事態に1番反応したのもミザール艦長。その緑の光は凝縮されるほど小さくなっていく…。そのまま光が消えるとそこには、透き通ったエメラルドのような緑で透き通った宝石が浮かんでいた。

 みんなの視線が集まる中そんな宝石が僕の目の前にふわりと寄ってくる。


 これは受け取れってこと?


 恐る恐る手を出せば、その手のひらの上にポトリと落ちた。どうやらあっていたらしい。


「これはいったいなんなのでしょ…!?」



 明らかな異変。まるで時が止まったかのように世界が、空気が、ナユカちゃんもユキちゃんもミザール艦長すら微動だに動かない。


 え!?フリーズ!?


 咄嗟に思いついた事象だがRBGに限ってそれは無いだろう。今までそんな事が起きたとは聞いたことがないのだ。…ということはこれは何かの演出なのだろうか?


 今、この世界に自分だけが取り残されているかのような錯覚。少しの恐怖を感じ無意識のうちに僕は手を握りしめていたようだ。

 そんな手のひらには先程の宝石。



「あれ?光ってる?」



 その手の中にあった宝石の内部にチラチラと光る閃光が見える。確かでは無いが先程までこんな光はなかったはずだ。



『あなたの憧れたものを手に入れる道を。勇者たる資格を示せ』


 あ、この声!先程の〔念話〕で聞いた声だ。ということはやはりこの声は目の前の苗木からなのだろうか。

 ふと苗木を見ると微かに揺れ動いているのが見える。この世界で自分とこの苗木だけが動けている。



『我が子を救い。エルフを救い。導く先に。この宝樹の力をあなたにさずけましょう』



《プレイヤー:ギビンが「主人公」に割り当てられました。クエスト:勇者の資格 を開始します》


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クエスト:勇者の資格


クリア条件:

・大樹の子を救い、エルフを導き困難に立ち向かえ

・五次職業の獲得


敗北条件:

・クエストクリアまでに誰かが犠牲になること


クリア状況:不明

参加者:ギビン

報酬:職業:勇者


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職業:勇者


段階:特殊

概要:勇敢なるものが就く職業。その者には力はなくとも生き様で味方を鼓舞するからこそ勇者なのだ。

特性:全攻撃光属性攻撃付与、光属性防御力アップ大、逆境時味方全能力アップ大、魔力最大値アップ極、気力最大値極、霊力最大値極、電力消費量ダウン超、妖力値アップ大、魅力値アップ大

弱点:魅力値マイナスで職業剥奪

特殊スキル:〔勇気は力となる〕


前提職業

・5次職業のいずれか


出現条件

・誰かを助ける戦いを経験する

・プレイングが品行方正であること

・無理やりでも無犠牲でいずれかのイベントを乗り切ること

・〔逆境〕の所持

・〔限界突破〕or〔オーバーロード〕の所持

 


ーーーー


職業:主人公


段階:特殊

概要:物語の主軸となり世界を進展させる。この職業は重複する。取得条件は不明であるが誰しもが持つ可能性のある職業である。戦いが好きな者、誰かと話すことが好きな者。はたまた釣りに明け暮れる者…。誰かが起こしたトリガーが物語の中心として運命を背負うこととなる。

特性:?

弱点:強制PV出演

特殊スキル:?


前提職業

・なし


出現条件

・?


ーーーー




 風が吹き抜ける。思わず目を瞑りほんの一瞬の間で世界は再び動き出す。









 いや!?情報量が多すぎるって!!?



「お〜い。ギビン〜。そのアイテム?宝石だから装備品?はなんだったの〜?」



「あ、宝石については分からなかったんですが、声が聞こえて」


「大樹様の声ですか!?大樹様はいったいなんと!?」


 声が聞こえたと言うと途端に声のボリュームとついでに距離をグンと近づけたミザール艦長。ち、近い!?



 と、とりあえず、ミザール艦長には落ち着いてもらいつつ、僕たちは会議室にて改めてさっき僕が体験したことを話すこととなった。


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