Reality barrage Gamers

初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
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Z331  現代感覚と未知の差異

公開日時: 2024年7月24日(水) 11:15
文字数:1,959



 私達はスキルを買ったあと、北に進んで行った。

 北にはまだ少しだけ距離はあるものの住宅街…マンション街?が存在し、高めの建物が規則正しく鎮座している。

 ちなみに住宅街を超えると植物研究施設。昔黒龍と戦った植物園(ドーム)となっている。


「お、おお?うわっ!?」


 ちなみにショップを出た私達だが未だに闘技場のエリアから出られていない。目の前には何とか飛べるように足を変に大きく開き、バランスを取ろうとして前にコケたウルドがしかめっ面で地面を見ていた。


「こう、ふわっと浮かぶ感じなんだけど」


「もう少し具体的な感覚はないのか?」



 と、言われましても。幼い頃パパに教えて貰ったらすぐにできたし、みんな当たり前のように飛んでたから今更詳しく説明は出来ない。


「んー…。飛行機が空を飛ぶ感じで、まずは勢いを付けて手を広げてまっすぐ走りながら浮上してみる?」


「なるほど。翼に浮力を受けて飛ぶイメージならできるな」


 なんかミカちゃんが以前言っていた。昔存在した飛行機?の仕組みらしい。今回作っていた戦闘機にも使われていたものだ。

 翼に浮力がと言われても私にはなんのこっちゃ?なのだけど、ウルド的には何か掴めたのか。両手を広げ真っ直ぐに走り始めた。

 うむ。なんだろう。すごく子供っぽい。無邪気さが垣間見えるところとか。普段王子様っていうイメージが彼を隠している。今は、少しだけそんな役から彼は本性を見せてくれているのかもしれない。


「お!飛べたぞ!なるほど。イメージが大事なのかもしれないな…」


「イメージかぁ。確かに私達は普段から見てる分イメージしやすいのかな?」



「文化的な違いだな。まだ少し慣れが必要だがこれならアクロバティックな飛行も可能かもしれない」


「それも後々必須になってくるんだけどね。弾幕避けなきゃだし」



「先は長そうだな…」


「飛べるようになっただけでもいいんじゃない?移動時間がかなり短縮できるし」



 〔飛行〕は意外と奥が深いのかもしれない。


「手っ取り早く上手くなりたいならお主が全力で逃げてコヤツはそれを追うといいコケ。いわゆる鬼ごっこコッコ」


 あ、そういえば空のスペシャリストがいたんだった。私の肩に止まって胸を張るニワタリちゃんが羽を羽ばたかせて私達の間を滞空する。

 ん?ニワトリは空飛べないだろうって?私もそう思うけど当たり前のように滞空してるので…もうなんかよく分からない鳥と思っておいたほうがいいような気がする。


「なるほど。実戦で学べという事だな?」


「弾幕も有りにするコケ。パーティーなら当たってもダメージは無いであろうコッコ」



 確かに。実戦が一番いいのはわかるけど。果たしてウルドはとびたてのヒナのようなものだ。弾幕を張ると回避ついでにそのままどこかに墜落しないだろうか?


「こっちも弾幕有りか?」


「ん?使えるコケ?」



「弾幕は以前使ったからな」


「?」



 そっちの感覚はイメージできたんだね?確かに弾幕を使えるならやりようは…。むしろ難易度上がったりしそうだがいいのだろうか?



「じゃあ初めは緩めに。弾幕も張らない。慣れてきたら障害物を。それも出来たらこっちからも弾幕を。だんだんレベルアップしていく感じでいい?」


「ああ、頼む」


「我は追走するコケ」



「ニワタリちゃんも後半攻撃参加出来たらしようよ」


「いいコケが…ちとスパルタすぎんか?」



 そう?まあ、それもウルド次第だよ。ウルドが全力の私に着いてこれるようなレベルになったら…かな。


「途中オーブを見つけたら私は近づくけどスルーするね。ウルドが取っていいよ!」


「俺は…いや、ありがたく頂こう」



 少し強引だけど私よりはウルドにスキルあげた方がいいと思う。ユキ言わく、私も少ない方なのらしいけどウルドの方がスキル所持数だけなら少ない。



「じゃあ、行くよー!」


 ウルドとニワタリちゃんを追い抜き加速する。と言っても〔スーパーアクセル〕は使わない。〔飛行〕の範疇での加速だ。一応トップスピードなのだが…



 後ろを見るとちゃんと着いてきていた。ふむふむ。

 飛ぶだけなら余裕そうだったので今度は建物の多い所へ。まだまだスペースはあるものの地面が近い。


 ここで後ろを見ると少し抵抗があるのか、若干の失速。やっぱり慣れてないとこの速度で障害物の近くは怖いのだろう。

 私は怖くない訳では無いけど。ゲームだから痛くない。と、勝手に恐怖心が薄れている。あと〔飛行〕が思った通りに動いてくれるため基本的にわざとぶつかりに行かない限り地面や壁に接触することは無いだろう。ということを何となく理解しているのだともう。



 ということで。



「えい」


「ッ!!?」



 弾幕は張らないと言ったな?魔弾単品なら張ってないから大丈夫!!



 そして突然目の前からやってきた魔弾を回避しようとしたウルドは綺麗にそのまま横へ。

 痛そうに見える壁に激突を余儀なくされた。


 ね?痛くないでしょ?

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