Reality barrage Gamers

初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
D,S(diamond) D
D,S(diamond)

V1.37  でも私は。今がきっと楽しいと感じているから。

公開日時: 2022年4月25日(月) 16:08
文字数:2,233




 その日、唐突に発表された公式からの情報に世界中のプレイヤーが注目していた。発表の時間も中途半端であり、そんなイベントがあるという前情報もなく。情報公開からなんと翌日に開催されると発表された。



 しかも情報公開と言ってもイベントが明日あるよ!といった内容の「な」の字もないような予告のみ。





 イベントの詳細は不明。

 唯一、一見普通に見えるイベント情報のホームページの下に小さく。


「あ、バトル要素は無いので悪しからず」



 と、添えてあった。これに気付いたプレイヤーは何人いたのかは不明である。


 さて、そんな唐突なイベント予告に様々な憶測がたったことは間違いない。


 ある者は。


「超大型モンスター討伐」と言ってみたり。


 ある者は。


「今回始まったワールドクエストの、共生社会の構築のイベントムービーだ」と言って見たり。


 ある者は。


「長距離移動イベント」と言ってみたり。



 千差万別の偽イベント情報が飛び交っていた。



 この荒れ具合と言うと、RBG内でイベントが起きそうな兆候はないか。または、変わったことは起きなかったか。そういった変化をプレイヤーがこぞって探したくらいである。


 このイベント情報をもちろん様々な人が欲したため、もちろんこのゲーム内にそこそこ存在する「情報ギルド」や「情報屋」は様々な検証など、また可能性の情報をかき集めそれを売りさばいたりとやりたい放題したという。


 しかし、そんな「情報ギルド」の内のひとつ。「インフォメーションコーポ」は他のギルドと違う行動を取ったという。


 それは…。




 沈黙。




 その情報を欲したプレイヤーに対して「沈黙」と言う回答をしたのだという。


 その行動の裏には、イベントを察知したインフォメーションコーポのリーダー。「セリエル」が直前のユキ、ナユカとヒカリ、アキアカネの会話を思い出し、まさかと思いながらも、前科が溢れるように出てくる「リリース」に連絡を取り…、その回答をユキから。


「同盟のメンバーのうち、ある程度上の役所の人にだけなら教えてあげられるよ〜。ただし、一般のプレイヤーに言うと公式から罰が降るらしいけどね〜?今回のイベントは私とナユカがメイン。バトル要素はなく。全プレイヤーがログインしている限り参加出来る。明日の闘技場は一定時間使用ができない。これくらいかな〜。同じ同盟のリーダー達や、インフォメーションコーポの幹部の人達には教えてもいいよ〜」


 と。本人からYESと帰ってきたのだからびっくりするより呆れの感情が湧いてきたとその時は錯覚していた。また、お前か!と。


 そうして、自分の読みが当たったことを喜べばいいのか、それとも後悔したらいいのかわからなくなったセリエルだった。

 その後、インフォメーションコーポのメンバーに今回のイベント情報の調査は停止。商売も聞かれた場合は「沈黙」で返せ。と命令した。


 暗に、「インフォメーションコーポ」は正解を知っているけど、言えない。と教えて自分たちの株を少し上げにかかったのだ。

 まあ、そもそも「リリース」と同盟を組んだということで既にだいぶ上がっているのだが…。



 ちなみに、このイベント情報を聞いたリーダー格の内、「闘技戦士団」のヴォーガードはそんなことより「闘技場が一定時間使用不可」と言う文面に雄叫びをあげたとか。


 「開拓師団」の面々はフィールドの変化は無いと言う情報を聞いて、今から何か変化がないか探しに行こうとしていたメンバーが、玄関1歩出て引き返してきたとか。


 さらに言うと、一切情報を知っていないはずの「リリース」の他のメンバーは、最早、イベント告知時点で察したと言う。キリアは爆弾作りに忙しくてそもそも気づいていなかった始末だ。



 ビュアはこのことを動画として投稿できないことを悔やんでいたのだが、ユキに掛け合って、1番いいポジションでカメラドローン(透明)を飛ばす許可をもぎ取ったとか。ちなみにユキはユキでその動画を後で自分にコピーして頂戴と言っている当たり、そもそもその予定だった気がしなくは無い。










*






 そして迎えた当日。



「ごめんなさい。せっかく家族揃ってお出かけでもできる日だったのに、私の予定が入っちゃって…」



 私はこれからゲームの中であるイベントのためにログインせねばならず、今日はパパもママも休みの日なのに一緒に過ごすことが出来なくなってしまった。


「いや、構わないぞ。そもそもパパ達も見るからな」


「ナユカー!頑張って来てねー」



「え?」


 なんで内容知ってるんです?


「私が教えてないわけないじゃんね〜」


「ユキー!!」


 今日もユキは私の部屋からログインするらしく。朝方から家に来ていたのだが…。


「なんでパパとママに言っちゃったの!?なんか恥ずかしいじゃん!」


「せっかくの晴れ舞台だよ〜。ご両親にも見せてあげなくちゃね〜。それに勇人さんには、そもそも許可取る段階でどんなことするのか言ってるんだから今更だよ〜!」


 うぐっ!?確かにそうだけど…。でもなんか恥ずかしいんだよ。というかっ!恥ずかしい原因のひとつにあの戦闘服にも一端の責任があるんだけどねっ!!誰が作ったんだっけねっ!?


「ほら〜、そろそろ行かないと最終打ち合わせできないよ〜」


「うぅぅぅ…。もう…。じゃぁ、いってきます…」



「行ってらっしゃい」


「行ってらっしゃいー!!頑張って来るのよー」


「はーい」




 こうして私たちは今、暗転した舞台の上にたっていた。



 イベント開始まで後数分。


 今ゲーム内ではカウントダウンが表示され、全プレイヤーが今か今かとそのイベントの始まりを待ち望んでいた。



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