Reality barrage Gamers

初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
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004  いざご近所ツアー

公開日時: 2021年1月29日(金) 21:44
更新日時: 2021年9月5日(日) 02:04
文字数:2,190

「おお〜...」


視界が開けるとそこにはいつもの私の部屋が広がっていた。


「うーん、普段と変わらないね。」


「そりゃそうでしょう。ここは正真正銘、那由歌の部屋だもん!」


「うぉっ!!?」


びっくりした!いきなり後ろから話しかけないでよ。変な声出たじゃん!


「あははは!ごめんごめん。」


そう言って全く反省した感じもない謝罪を口にしたユキはニコニコしながらこちらを見ていた。

ユキは元々黒髪と瞳を、白に少しだけ水色を足した感じの色に変えている以外はいつもと変わらない。 スラリとした体型に高身長でカワイイ系ではなく美しい系の美人さんという感じ。


服装は白ろいロングコートとロングブーツにいろんなところにちりばめられた雪の結晶がいい感じに可愛い。髪飾りも雪の結晶をイメージしたもののようで、まんま「雪」がコンセプトのようだ。


「おまたせ〜。とりあえず基本的な設定と仕様は聞いて来たけど...ほとんど教えて貰えなかったというか...... あれで分かるわけないと思うんだけど...」


あの説明でこのゲームをプレイできる人がいたら天才だと思う。戦闘ルールとか一切触れられていなかったからね。


「あぁ〜。あれね、懐かしいな〜。 私の時も基本設定とスキルの取り方だけでそのまま放り出されたからね〜」


「よくそんなのでプレイできたね?」


私には真似出来ないかな?


何すればいいのか分からないし...とりあえず外に出ようってぐらいしか思いつかないや。


「いや〜私ってさ?ほんとゲーム発売の日から始めたからさ〜何していいかあのころはまるでわからなかったんだよ。今は調べればプレイヤーが情報を公開しているからすぐに何したらいいかわかるんだけどね〜」


そう考えたらゲーム経験者に教えて貰えるのはラッキーなのかもしれない。ユキがいなかったら私なんか途方に暮れてるさ。...ユキがそもそも始めるきっかけを作ったからユキがいなかったらこのゲームなんてしてなかったわ...


「苦労したんだよ〜?まあ、ナユカにはしっかり教えてあげるから安心してね!」


そう言って楽しそうにユキがこちらに笑いかけてくる。うん、笑顔が可愛いね!!

ありがとうと言って私も笑い返してあげたらユキが両手を広げて抱きついてきた。 おお〜しっかりユキが身にまとっている服まで感触が伝わってくる。その服は見た目通りといった感じで少しひんやりしていて不思議な感じがした。


ほんの少しだけそうしていたら気が済んだのかユキがゆっくりと離れていった。そして気を取り直すかのように、外に出ようというので私はユキの跡をワクワクしながらついていった。











「なんか、人がいないなんて違和感あるね。」


「まあ、ここら辺は人通りが普段多いからそう思うだけだよ。ゲームをしてる人はゲームをしていない人を見ることをできないようになってるんだよ。

逆に反対の立場でも見ることができないようになってるね。」

だからか。

ここら辺は都会の方でそこらじゅうにビルが建ち並んでいるので普段は人通りがとても多いのだ。それがほとんど人がいないのは妙に違和感がある。


「正確には見えないってだけじゃないんだけど、そこら辺は私にもあまりわからなくて...なんだったかな〜... 今の私達の仮想体は確かに見えるし感覚もあるけど実は実体化はしてないとかどうとか...まあ、ゲームしてる人以外には会わないしぶつからないよってことらしいよ。」


いつも思うけど科学って行き過ぎると魔法と大差ないな...



「ふーん」


「もうちょい進むと人もたくさんいるはずだよ。」


そう言って真っ直ぐに進んでいくとちらほらと人が見えてきた。その人たちはそれぞれ走っていたり、座っていたり、はたまたしゃがみこんで何かを探していたり...あ!!






それは白かった。ガラスのような光沢に中はモヤモヤと動いている。丸い物体...


「ナユカ!!早くそれ取って!!それがスキルオーブだから!!」


おお〜...これがそのスキルオーブなのね〜。いきなり目の前に湧いて出てくるとは思ってなかった。って...どうやって取るんだろう?触れたらOKかな?


そう思いながらその白いオーブに触れてみた。その瞬間ピカって光ったかと思うと風船が割れた時のような、中にあった空気がふわっと通り抜ける。その白いモヤは私の体の中に吸い込まれるように入って行った。



《スキル・魅力を取得しました》



「どう?」



ユキが私を覗き込むように尋ねてきた。


「〔魅力〕ってスキルを取れたみたい。でもこれどうやって使うの?」


〔魅力〕ってスキルは無事取得することができたみたい。でもどうやって使うかが全く分からない、ここは経験者に聞くに限るよね?


「〔魅力〕...?聞いた事ないね〜...でも色は白だから珍しくは無いはずなんだけど。」


あら?もしかしてユキも知らないの?


「ごめんね?1番初めから知らないスキルとるとは思ってなかったから...」


どうやらユキですら知らないらしい。でもユキはゲーム開始初期からやってるからユキが知らないってことは結構レアリティの高いスキルなのかな?


「いいよ!いいよ!自分で色々試してみるからさ!それよりもっと他のスキルも取りに行こう!!」


使って行ったらそのうちわかるようになるでしょう!気にしない気にしない。


「うーん、まぁそれもそうね!どんどん取って行こう!!」


そしてまたユキとともに歩き始めた。


「って...どこ行ってるの私達...」


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