「オラッ!!」
一直線に私の方に飛んで来たランプは剣を真横に振り抜く。吹雪で見えないはずなのに正確に攻撃を打ち込んでくるその剣撃はギリギリのところでナユカに躱されてしまった。
さらに…。
「【戦場の障害物】」
カルマから飛び出す無数の〔矢〕の弾幕がナユカに降り注ぐ。
「よっ!ッいた!?」
無数に飛んで来ていた矢を躱したナユカだがその矢は地面に刺さるとそのまま残り続け、当たったものにダメージを与える障害物となりナユカを襲う。
〔ジャンプ〕で飛び上がるナユカ。しかし…
「待ってたぜ?」
ナユカの飛び上がった進行方向上に現れた魔法陣がナユカに向け〔ムチ〕のようにしなる弾幕を発射。咄嗟に回避しようとさらに〔ジャンプ〕で左に避けたが。右脚に被弾。その弾幕はナユカの右脚に巻き付き。
バチバチバチバチッ!!
「きゃぁッ!!」
ナユカに状態異常:麻痺を付与した。そのまま〔ジャンプ〕の勢いに合わせて飛んでいくナユカにカルマはさらにとどめを刺しに行く。
「あまりは無くはないと思うが…。〔詠唱短縮〕その罪の数を読め!【死を告げる時間は早くなる】」
ナユカの頭上に広がる大きな魔法陣。『8』そこに刻まれた秒針が動き出し、『7』ナユカに向けて大きな岩の塊が『6』その魔法陣の中心に現れる。『5』
「あまり大きくはならなかったか…」
『4』
そんなカルマのつぶやきをよそに、何とか危機を脱しようと体を動かすナユカだが。『3』
麻痺になっているからだは全然言うことを聞かない。
『2』
『ごめん。ユキ。間に合わない…』
誰もがナユカはその岩に押しつぶされHPを散らすだろうと思ったその時。
『1』
『いや〜?間に合ったよ?』
『え?』
「【既に私の吹雪の中なのだから(春は来ない)】」
ズゴゴゴゴゴゴ…。
ナユカの直下から来る振動。そしてその下から現れる雪山は上に伸びていく。唐突に振動に襲われ下から雪山が現れたナユカは、そんままコロコロと雪山を下っていく…
「う!!?わぁぁぁぁぁァ…」
訂正。落ちていく。
その山頂では、ナユカに迫っていた岩を押しのけナユカとは反対側の斜面に激突させるように伸びた山がまるで噴火でもしたかように土煙をあげていた。
「うべッ!!」
若干のHPを犠牲に木に衝突することで止まったナユカ雪だるまは何とか一命を取り留める。
「大丈夫〜?」
「大丈夫…に見える?」
「大丈夫そうだね〜」
「どこが!?」
ガバっと起き上がったナユカは顔を顰めるが、そのおかげでHP全損は免れたので何も言えない。
「さて、ここまでナユカを痛めつけてくれた2人をシバキに行かないとね〜」
「半分はユキのせいだけどね!!」
雪玉コロコロになっていた間に麻痺が解けたナユカは浴衣に付いた雪を払いながら立ち上がる。ユキの作った雪は味方にはなんともないため、寒くは無いのだが見た目が宜しくない。
『あれ?そういえばハルトさんに使った時とかと違って吹雪いては無いね?なんで?』
そう、今舞台は雪山こそできたが、吹雪は無く闘技場の天井が見えていた。
『必要なかったのと、ナユカを助ける位置調整にリソースを取られちゃった〜』
『あー、ごめん?』
『まぁ〜、なくてもいいんだよ〜。それにあれやりたかったし〜』
『なるほど、なら要らないね』
そして2人は飛び立つ。
『まさかあれを防がれるとは…』
『当たってればナユカはやれてたんだがなァー…あれはしゃーない』
一方、ランプとカルマはナユカ達とは反対側の斜面にいた。あの岩が防がれ自身側に降り注いだふたりは追撃など出来ず、防御に専念するしかない。
『ってことはよ…。2人揃っちまったわけだ。もう切札切るしかねーぞ?』
『任せなよ。隙を見てその切札を使ってくれ』
『あァ』
上昇する両者。
「行くよ〜!」
「うん!」
「第2ラウンドか?行くぜッ!」
「了解」
前に飛び出す、ランプ。
斜め下に落下していくナユカ。ユキは短剣を構えながら氷弾の弾幕を散らす。
ランプはその氷弾を全て回避。剣や弾幕で防いだりせず全てを〔飛行〕で躱していく。
「ありゃありゃ〜」
「砕け散るとなんかいろいろあって凍りやすくなるんだってな?」
「予習済みか〜」
その間にナユカは大量の〔桜〕を振りまいていく。大きく山を中心に球状になっていくそれは観客を魅了していく。
ナユカ
・MP常時回復
・HP特定回復
・注目度上昇
そしてそれはユキも魅了する。
ユキ
・MP特定回復
・HP特定回復
・注目度減少
CP
-5├──────┼──╂───┤5
「なるほど〜、こんな感じなのか」
「いや、やべぇな。こりゃ反則にも程があるだろう?」
咄嗟にユキの放った全包囲弾幕を回避しながらつぶやくランプ。
「うん!割れたね〜【凍える世界】」
「あっ!?しまっ!!」
後ろを振り返ると、その全包囲の弾幕の中に紛れ込んでいた岩弾が、着弾と同時に他の氷弾を砕く。
状態異常:凍傷
「ちっ!めんどくせぇ」
「ランプッ!」
今度はカルマがランプ目掛けて火弾を飛ばす。
ドンッ!!
直撃したランプはダメージはない。がそれが燃え移ると話は別である。
状態異常:炎上
「いッてーな!」
直後にランプに今度は強風が当たる。その風で火は消えランプは多少のダメージと引替えに、凍傷の状態異常も消し去ることに成功する。
「何とか消えたようだね」
「お蔭さまでな」
「う〜んすぐ治しちゃうのはさすが上位」
『桜散らし終わったけどどうする?』
『準備だけしといて』
『了解!!』
『カルマ援護を頼む!使うぜッ!!』
『わかった。決めてくれ』
『おうよ!』
「連技【過去】の【襲撃】!」
ランプは技を放った。それは至る所から現れる無数の弾幕。
すぐに違和感を覚えたユキはナユカに〔念話〕で注意喚起する。
『ナユカっ!!注意!!普通の技じゃない!!』
『うん!了解!!』
そしてナユカとユキを全ての弾幕が襲いかかる。それはどこかで見たことある弾幕。その弾幕はナユカの弾幕でもありユキの弾幕でもある。あるものはランプの岩であったり、あるものはさっきカルマがユキに放った巨大な魔法陣。その全てが2人を襲う。
「ナユカッ!!」
「くっ!!?」
ナユカはその巨大な岩と迫り来る〔過去〕の弾幕を避けながら、あるいは弾幕や投げナイフで相殺しながら突き進んでいく。その赤い瞳に映る全ての弾幕をことごとく躱していく。
ユキは自分の放った〔過去〕の弾幕とその他のこの試合でナユカを襲っていた弾幕に襲われていた。
(ん〜、しっかり私の弾幕も冷たいね〜。ってことは下手につつくと私自身が凍傷になりかねないね〜)
「ふふっ!フフフッ!いいわ!雪は私の専売特許よ!私を凍らせられるならやってみなさい!!」
口調が変わり、自身の弾幕を纏い出すユキ。
「全てッ!全てッ!!凍ってしまえばいいッ!!かの者は秘密を口にし暴露した。ならば、証拠諸共凍ってしまえッ!!【全ての動きを止めよ】ッ!!」
ユキのロールプレイで語られる「雪女」の技が炸裂する!
パァッン!!!!
ガキンッ!!!!!!!!
全てが止まった。ほんとに全てがまるで一時停止ボタンを押したかのように停止していた。
弾幕も、ランプやカルマ自身も…ついでにナユカが放った弾幕や投げナイフも。
「「…!?」」
『一体何が起きてやがる!?』
『状態異常だ!!状態異常:凍結。何も予備動作なしで全て凍らせたんだ!!僕達ごと!!』
『はーーーーー!?』
「ナユカ!!」
「うん!」
そんな停止空間の中に動いている人物が1人。ナユカがユキに近づいて行く。
ぐんぐん大回りしながらユキに近づいて行くナユカ。その途中に桜を振りまくのを忘れない。ユキも動き出し大きく円を描きながらユキは〔雪〕の弾幕を振りまきながらだんだん2人が近づいて行く。
そして2人が重なるその瞬間。
「行くよ!!」
「うん!!」
「「合技【氷雪来華「チェリーズスノー イルミネーション」】!!」」
2人で紡ぎ出すその技は会場中を巻き込みとてつもない物量の〔桜〕吹〔雪〕を巻き起こす。
「うがッ!!」
「くっ!」
その弾幕に触れた瞬間。ランプとカルマは1発でポリゴンと化した。
舞台上空。雪山の山頂で手を繋ぐナユカとユキ。2人の優勝は美しき春と歓声に包まれていた。
『勝者!!ユキ&ナユカ〜〜!!』
ステータス
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前 ナユカ
所持金 218300G
HP 0├────╂──────┤
MP 0├─╂─────────┤
CP-5 ├─────┼────╂┤5
称号「回避の極意」
《スキル》
『パッシブ』
「原型」
魔力 魅力
「強化系」
体力強化 魔力強化
「生活系」
食べる
『アクティブ』
「属性系」
火 光 風 水 土
「変化系」
火炎 爆発
「鑑定系」
植物鑑定 鉱石鑑定 物品鑑定
「色彩系」
赤 青 緑 紫
「動作系」躱す 回す 伸ばす 直角 止める 減速 連動 集合 舞う 帰還 条件 打ち上げ 曲げる 振りまく 追尾
「設置系」
魔法陣 設置
「音響系」
歌唱 効果音
「表示系」
地図 表示 隠蔽 掲載
「部位系」
足 手
「命名系」
技名 合技
「技術系」
短剣術 剣術 槍術 弓術
「造形系」
星 針 魚 桜
「体術系」
叩く スーパーアクセル 蹴る
「防御系」
防護 受け身
「装備系」
装備
「生産系」
鍛治 裁縫 調理
「飛行系」
ジャンプ 飛行
「状況系」
逆境 鼓舞
「行動系」
拍手 笑顔 投擲 与える
「?」
念話
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技
【煌星流姫「ペンタゴンスター」】
【舞戦扇武「ダンスフィンブレード」】
【昇華星林「トゥインクリング ナイトフラワー」】
【赤眼発動「ワールドビュー」】
【君と咲かせよう】
状態
・MP常時回復
・HP特定回復
・注目度上昇
・魅力値上昇
・反応速度上昇
・物理耐性上昇
・重量上昇(扇子)
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