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AZ368  月を穿つ杵となれ

公開日時: 2025年2月4日(火) 22:58
文字数:1,975


「援軍は〜?」


「先行部隊はもうつくコケ」



 少し上空で援軍を待つ。既に30分位は経っただろうか?マップを見れば月の周りに鳥のアイコンが沢山集まってきている。

 宇宙飛んできたにしてはとても速いね〜?


 たぶん鳥も惑星間ゲートを使って来てるんだろうね〜



「よし。ならもうそろそろこの戦闘機で下まで落ちようか〜」


「急降下作戦でありますな!」


『アインズには戦闘機が通る道をあげるように言ってあるぜ』



 準備は整った。早くこの問題を片付けて素材をゲットしてしまいたい。現在時刻はお昼過ぎ、夕方までには終わらせなければ。

 ナユカの予定にも合わせたいし〜。



「降下準備よ〜し」


「兵隊部隊!展開であります!!」


「コケコッコー!!」



 私は戦闘機の舵を思いっきり真下に向ける。ほぼ垂直に降下だ。

 戦闘機の外には軍曹の兵隊達が少し遅れながら戦闘機の後方をついてきている。

 戦闘機の中で大音量の号令をしてくれたニワタリは後でシバいておくとして、そんなニワタリ率いる鳥たちは軍曹の兵隊部隊のさらに後方に展開しながら急降下を開始した。


 なんて言うんだっけ?鳥が群れで飛ぶ時大きな「く」の字がたになって飛ぶあれ。あんな感じだ。



 目の前には浮島とたくさんのプレイヤー。そして所々にウサギが見える。そのプレイヤーの一部が私たちを見てサッと広がるように回避行動を取り始めた。

 どうやらミカはしっかりアインズと連携が取れているらしい。


「軍曹〜。ウサギ優先だけど邪魔ならプレイヤーも蹴飛ばしていいよ〜。アインズは避けてくれてるから〜」


「了解であります!!派手に行くでありますよー!!【銃兵!進行方向に撃て!!】」



 うん。どうやらプレイヤーも一掃するらしい。躊躇いはなかった。


 軍曹の兵隊部隊が前方に古びた銃を構え乱射する。以前までは弓兵だった気がするのであの銃は最近調達したのだろう。

 よく見ればちゃっかり銃に生産職連合会議のロゴが刻まれている。なるほどなるほど。いい宣伝方法だ。


 そして銃撃とともに鳥たちも弾幕を前に掃射。私たちを先頭に流星群がごとく落下する。ついでに私も戦闘機の銃火器を乱射しておいた。



 逃げ惑うプレイヤー。ごめんね〜。今はどっちかって言うとアインズよりだからそのままリスポーンしといてね〜。


 中に紛れるウサギも討伐しておきたかったが、どうやら数匹しか仕留めきれていない。銃弾が飛んできたと判断したウサギたちは即座に〔ジャンプ〕でその銃撃の射線上から逃れたようだ。

 一匹一匹の判断も早くかなり賢いようだ。


 数が多いから厄介だけど、こちらも鳥たちがいる。このまま素通りさせてくれるならいいけど…



 サイドに避けたウサギたち。私たちの目的地が自分たちのボスと知ったのか、分からないが弾幕を道を塞ぐようにばら撒き始めた。

 ウサギ全体が弾幕を放ち始めたと言うことは私たちみたいに〔念話〕や何かしらの指揮系統が構築されているようである。ワンテンポ遅れてアインズ以外のプレイヤーかと思われる弾幕も飛んでくる。


「盾兵で援護するであります!!」


「スズネ!群れを率いてウサギ共を撃ち落とせコッコ!!」


「チュン!」



 どこかで見たことある個体…ずんぐりむっくりで大きなスズメが上空から戦闘機に追いついてくる。あのふわふわでめちゃくちゃ速い!


 あ、思い出した。スカイスクランブルで出会ったんだ。


 スズネと呼ばれた個体はその後ろにたくさんの小さなスズメやツバメを引き連れ戦闘機後方から少しづつ逸れていく。

 そしてウサギ目掛けその速度のまま突撃。鋭利なくちばしで貫かんと突き進み、見事ウサギたちを撃ち落としていた。やるね〜。



「そろそろ出るよ〜。戦闘機から出たら作戦通りに〜」


「了解であります!!」


「任せるコッコ」


 戦闘機はそろそろ地面付近に近づいてきたためインベントリへしまう。その瞬間投げ捨てられるように戦闘機から飛び出した私たち二人と一匹はそれぞれが弾幕や兵隊を使い辺りに残ったプレイヤーとウサギを倒していく。



 え〜っと。ウサギは〜…あっちかな〜?


 ウサギたちが来る方向。そこから逆らうように進路をとる。氷弾とタガー。〔ジャンプ〕で変則軌道を取られるのは厄介だが、あいにくその動きはナユカのおかげで慣れている。

 そして〔ジャンプ〕の弱点も…


「タガーを〔ジャンプ〕後の軌道に置いとくだけ〜」


「キュッ!??」


 〔ジャンプ〕は急には止まれない。これはナユカにも気をつけてもらわなければ。飛ぶ方向は足裏の向きで分かっちゃうからね〜。


 とても可愛らしい断末魔だが、まだまだたくさんウサギは居る。



「ユキ殿!先に進むであります!!」


「サンキュ〜」



 そんなウサギを大量の兵隊を用いてばったばったと倒していく軍曹。あの数を操作するのは大変そう。ニワタリは私に着いて来てもらう。交渉する時に居てもらいたいからね〜。


 こうして私たちは月に着陸。空では未だ戦闘が激しく弾幕があちこちで弾けていた。


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