ここは不思議な場所だ。あれだけの惨事を引き起こした我々を受け入れるプレイヤー。自分たちの住む世界をめちゃくちゃにされたのに、なぜあんなにも協力的なのか。
もちろん、外敵に備えてという意味で我々を盾にするという魂胆かもしれない。
だがしかし、アリオト艦長の隣にいて、そのプレイヤーの様子を見ていて私は思う。
彼女達は、そんな思惑なんて微塵も無かった。深手を負ってていた我々に手をさし伸ばした存在。
「力の解放」
彼女ら6人は…。今は9人か。は、我々に救いの手を差し出した。全くの白い手で差し出されたその手。プレイヤーは一時的に協力してくれているのだと思った。
それは、現在進行形で降り注ぐモンスターミサイルからこの星を守るために。
皆、我々はそう思っていたんだ。
"
「わかった。こちらからの情報を全てそなた達に伝えよう。我々ももう帰る故郷すらないのだ。一緒に協力して欲しい」
「わかった~。私たちはそちらにスキルと、住む場所を与える。でも、「協力」じゃない。「共生」していきたいと私は考えているよ~」
「!…。いいのか。どうなるかわからんぞ?」
「いいよ~。私たちプレイヤーは問題ない」
「だな」
「うん!!」
「ですわ!」
「いいぜ!」
…
「コメントも賛成多数です!」
"
思えばあの日、私達はまだ実感が無かった。目の前に浮かぶ半透明な板。がその無機質な字で現実を告げようと、私はその文字の意味することを正確には把握してはいなかった。
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来訪者へ。
太陽系内にて定住することを許可し、プレイヤーと共に歩みを進めてください。これより「ステータス」を授けます。
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そんな文字。そして情報も何も無い我々は酷く混乱していた。それはアリオト艦長も同じだったのだろう。だからだろうか、アリオト艦長に「リリース」に着いて行き、その「ステータス」とは何かを伝授してもらえと、指示が下った。
「ここは不思議な世界ですよ…。ほんとに」
私は今、私たちを救ってくれたプレイヤーに恩を返せるだろうか?
あの日からしばらく時間はたった。
ノアは来るべき日に備えて装備を整えていく。私も、アリアさんやハルトさんに色々教えてもらった。
「スキル」が世界の力の源。数多あるスキルの中から獲得した力を私は初めて「実践」として使う。
相手はプレイヤーだけど、私達は「リリース」に助けられた。ならば、この新たな力。「リリース」のために使おうと思う。
「出撃します」
「ヒイロさん。お気をつけて」
「任せて」
私は〔飛行〕を使い戦場へと躍り出る。今も尚、ノアの主砲と機関銃は敵プレイヤーを殲滅している。近くにいるので鼓膜が悲鳴をあげた。
『ミカさん。ヒイロです。私単騎ではありますが、戦闘に参加します』
『おっ。初陣か?いいぜ!アリアとハルトに教えてもらったスキル。あとノアの技術を見せてやれ!』
『はっ!』
『近くに、ユキとナユカが行くぜ!それまで持ちこたえてくれ』
『はっ!』
見渡せばかなりの敵プレイヤーがノア向けて進行している。赤が敵プレイヤーでしたね?
「【CEO起動】」
CEOとはノアの主に対人用の銃のこと。
正式名称は、COMPACT DIAMETER EXTERNAL OUTPUT DEVICE。まあ、みんな銃と呼んでいるのですが…。
それを私は装備しています。それをスキルと合わせて使えるように少し開発部が頑張ってくれたみたいです。まだこの世にひとつしかありません。
見た目はかなり無骨な形状をしていますが、機能はとんでもなく優秀です。
パツゥーンッ!!
撃つと弾丸。戦闘機と同じシュトラール弾の小型化されたものが高速で打ち出されます。
いい感じですね。
パッパッパツゥーンッ!!
今度は3点バースト。次いでにスキルを弾に使用しています。3つのシュトラール弾はそのまま右方向に曲がって行きました。
ちゃんとスキルの効果も乗っていますね。
パッパッパッパッパッパッパッパッツゥーンッ!!
今度はフルバースト。しっかり目標を決めずに適当にばら蒔きますが、今度は〔目標〕を使用しています。デタラメに飛んでいた弾は全て吸い込まれるように目標地点に曲がって行きました。
何人かプレイヤーに被弾して。
スキルは動作系ならほとんど弾に影響を及ぼせるようです。
「〘リロード〙」
そしてリロードのおかげでカートリッジを変える機構はほとんど不要になりました。便利がいいですね。
そうして私は、どんどんプレイヤーを撃ってHPを削って行きます。近接されないように立ち回りながら、弾幕は、密度の薄い方へ抜け、何とか回避していました。
敵プレイヤーの攻撃を結構喰らってしまっていますが、まだ大丈夫です。
HP。これが無くなれば死にます。しかしどこかで生き返るのだとか。未だに謎すぎて怖いですが、もし、死ぬのであっても、私は戦ったでしょう。私は彼女達に助けられたのです。
今度は私が、役に立つ番だと。そう思っています。
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