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"301"  鳥のおつかいクエスト

公開日時: 2023年4月19日(水) 21:43
文字数:2,319


 ユキはドレス姿のまま。煌びやかな結晶が彩る洞窟に佇む。


「意外と苦戦したね〜。1人だとそもそもMPが厳しいし〜」


「小娘1人に負けるとは…。我、年老いたコッコ?」



「おお〜?HP全損で生きてるのは反則じゃない?」


「よく言う…。お主既に妖力持ちじゃないかコッコ…。せっかく今の人に合わせておるのに…」




 2人は戦闘態勢を解いて向き合う。


 ユキの目の前にはクエストクリアの表示が出ているためもう戦闘は起こらないだろうという判断だ。



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特殊クエスト:鶏目覚めその欠片を夢見る


クリア条件:鶏の撃破

クリア状況:クリア

参加者:ユキ

報酬:鳥の中立化

特別報酬:ユキ チェインクエスト発生


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「して、ソナタは我に勝った。それだけ強ければ我の願いを聞いてくれぬかコケ?」


「内容によるかな〜?私これから戻らなきゃだし〜」



「ふむ、我の望むものを持ってきて欲しいのコッコ。そしたら今ここで起きてることを話してやるコッコよ?」


「なら受けようかな〜。時間ある時になるから今日中には無理かもだけど〜」

 

「それでいいコッコ。持ってきて欲しいのはクリスタルコッコ。ただのクリスタルじゃないコッコよ?特殊なクリスタルでかなり透き通ってキラキラしている「封核クリスタル」というものコッコ」


「クリスタル…。ここにある結晶は違うの〜?」


「似てはいるコケ。ただここのじゃ目的は果たせないコッコ。この浮島郡にある機械仕掛けの島にあるコケ」


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チェインクエスト:きらびやかな物


クリア条件:「封核クリスタル」を鶏に届ける

クリア状況:0

参加者:ユキ

報酬:?

特別報酬:?


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 ユキは来た道を引き返しながら考える。イベントのクエストクリア事に深まる謎。あの鶏の言い方的に、そしてクエスト表記的にまだ他にも敵がいるような物言いに。


 ただチラッと見た時計の表記を見てユキは足を止めた。ちょうど洞窟の入口付近だ。


「那由花のとこに行く時間だね〜」



 彼女はそういうとログアウトする。まだ…、ユキはこのゲームで良いのか。それとも他に何か方法を探すべきか。思い悩んでいた。それで那由花にこのゲームを紹介したとて、果たしていい方向に変われるかも未定。下手に刺激すれば拒絶だろう…。


 出来れば一緒にゲームをしたい。でも焦りは禁物なのだ。







*





「ん。街。壊れてる」


「そうですね?見れば分かりますよ?見ればわかるのですよ!!なーーーーーんで!!こういう時に限ってヒカリは起きて来ないので!?もう12時じゃん!!寝すぎ!」


「睡魔。勝てない。…てへぺろ?」




 緊急クエストが一通り終わり、それぞれ各プレイヤーが復興に励むその頃。ヒカリとアキアカネはログイン。聞けばヒカリの寝坊が原因でアキアカネは3時間ほど待たされお怒りのようであった。

 ついでにイベントは勝手に進むので今の状況的に2人は置いてけぼりの状態だ。


 アキアカネはリアルでヒカリを待った3時間の間にある程度広場などから情報を集めてきている。一応ログインを待ってあげる程度には優しいアキアカネだがまさか3時間待たされるとは思ってもいなかった。



「はぁー。とりあえず街の復興でも手伝いましょうか?それともほかのクエストを探しに?」


「ん。…資材不足気味らしい。集める?」


「了解です」



 どこか疲れたようなアキアカネ。そんなアキアカネをヒカリは知らぬと無表情で歩き出す。



「ジャングル。歩きにくい。はっ倒す!」


「もう飛べるでしょ?別に無視すればいいのに」


「アキ、よく。考える。結界が貼られていた。理由。もしかしたらまたクエスト、あるかもしれない」


「まあ、なくも無いのではないですか?」


「ん、資源集め。クエスト探し。両方する。一石二鳥」


 自信満々にそう言いきったヒカリだが果たしてそう上手くいくのだろうか?と考えるアキアカネ。そもそもはっ倒すと豪語してはいるがヒカリはまた足を滑らせる未来しか見えない。とりあえずまあいいか、とヒカリの後をついて行く。


(それに、広場の情報だと何かありそうなのも頷けますし)


 2人はこうして丸1日資源集めにジャングルの木をなぎ倒して回った。








「ではこれで行きましょう」


「「「了解」」」



 場所変わり街の中。今もどこからか建築音の響くその中心に簡素なテーブルと広げられた地図が釘で止められている。



「生産職の皆さんは、外壁と水路を引く作業を同時に。戦闘能力が高いプレイヤーはその水路周りのモンスター殲滅と街の警備。その他のプレイヤーは資源採取と食料調達です!」


「ここに来て食料不足は盲点だったな?」


「空腹が着いたのは盲点でした」


「いつもログインは現在地からだからな…。普通にプレイしてたら必要ないもんな。イベントのログインでは空腹は回復しない」


「はい。幸いにも食料は多そうですから、その点は助かりました」


「一応、畑も水路完成後に組み込む」


「防衛施設や武器はハルトと合流出来たのが強いです。彼は武器作りはとても得意です。それに付随してアリアさんも来るとは思ってませんでしたが…」



 水源を確保したハルト、アリアもこの時にアインズのメンバーと接触し、情報交換と水源の所有権をアインズに譲渡したようだ。

 が、のこのこと現れた武器職人をほかの生産職が逃すはずもなく。ハルトは猫を追うどころか武器作成に追われることとなる。アリアはハルトが護衛だのなんだの何かよく分からないことを言い訳にそのハルトに付き添っている。


「もし、次があるようなら今度は確実に防衛できるように手配しましょう」



 こうして街は1日掛けてかなり復興し、防衛機構も整えることとなる。




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