チリンチリン
ユキが入ったその店は外見喫茶店みたいなのに中身は…、なんか色んな文化がごちゃ混ぜになった…レストラン?だと思う。そのままカウンターに歩いていくユキ。
「マスター、奥。使っていい?」
カウンターに立ってワイングラスを拭くそのダンディ?な男性はちらりとユキに目をやり。
「あいよ…」
ただその一言で終わる。店に人がいるということはあの人プレイヤーだよね?プレイヤーがお店を開いているのか。
「あ、あと今回のイベントについて、特に参加プレイヤーの上位有力者の情報を〜…。しばらく奥で話してるから帰りにデータちょうだ〜い。値段は?」
「30000Gだ」
ユキはそれを聞きにっこりした後ホログラムパネルを呼び出しそのままなにかした後、軽い足取りで私たちの方へやってくる。
「よし!おっけ〜。着いてきて」
そしてユキが向かうは店の1番奥…のそのさらに裏側。ちょうどカウンターの裏側かな?そこにひっそりとある個室だった。
扉を開けると、豪華かつ、下品にならない程度の調度品。柔らかいソファーと、全体的に暖色でできた部屋だった。
「おお…、なんか私、場違い感が…」
「確かにこんなところにこんな場所があるとは、素晴らしいですね」
「まあ〜、一般の人はこの部屋の存在はまず知らないからね〜。ここは、私みたいに高ランクで目立つ人や
、そんな人達が密会をする時に使う。そんな部屋だよ〜」
なるほど、さすがランキング9位。そりゃあそういう場所も知ってて当然か。
「そんな場所に私を通して良かったんですか?」
んー、ビュアさんの質問も尤もだね。私なんて初心者だよ?
「誰かの紹介か〜、その人同伴だったらお〜けいだよ〜。まあ、2人とも多分何もしなくてもお〜けいだと思うけど」
「なるほど」
「ん?なんで?」
ビュアさんはわかったみたいだけど、私がおっけいな理由って何?
「あのね〜…ナユカ。あなたももう狙われる側だってこと忘れてな〜い?さっきまで襲われて迷惑だ〜、とか言ってたのに」
「ふむ。確かに」
そういえば私アイテム狙われてるんだった。
「うん。これ多分勘違いしてるわ〜…」
「ナユカさん。あなたも十分有名人ですからね…」
えー?だって初心者だよ?
「「はぁ〜…」」
2人にため息つかれた。
「まあ、いいわ。さて〜、ビュアさん本題をナユカに話してあげてよ〜」
「そうですね」
おっ!そうそう、用事とはいったい?
「以前、黒龍戦の前にナユカさんに目をつけていた。と言いましたよね?」
「うん。私のことストーカーしてたんだよね?」
「よしッ!!ちょっと表出ようか〜ッ!!」
「ちょっ!?人聞きの悪い!!違いますよッ!私はどのタイミングでナユカさんにこの話を切り出すか様子を伺ってただけですから!!」
「それをストーカーッて言うのよ〜ッ!」
おっと!ユキがエキサイティングしだしたぞー。まあ、ストーカーだとは思うけど!これはあれか?私のために争わないでー!って言った方が良いやつか?
「まあ、ユキ。別に被害があったわけじゃないから」
「でも〜ッ!!」
「ユキ…」
「うぅぅぅ…」
ん。落ち着いたね。
コンコン
ん?
「失礼します。紅茶になります」
「おっサンキュ〜マスタ〜」
何かと思えば、さっきの店の人が飲み物を持って来ていた。ユキが頼んでたみたい…え?いったいいつ頼んだの?
「それでどんな話なんですか?」
ビュアさんはいったいなんでそんなことをしていたのかだけど。
「ズバリ!スキル〔ジャンプ〕の使い方を教えていただき、それを動画で投稿させて頂けないでしょうか?」
「いいよ!」
「待ちなさい。ナユカ。あなたの見つけたスキルの使用方法よ。それを無償であげるのは良くない」
ここでユキからストップがかかる。
「いいよ」
「いいよ〜。で済ませちゃダメなの。本来スキルの使用方法は個人のアドバンテージを作る上で大事なものよ?ナユカが初考案だとしたらなおさら」
「無償でという訳ではありませんよユキさん。もちろんそれに見合った対価をお支払い致します。それに無理にとは言いません」
うーん。ユキの言ってることもわかる。私もただとは言ってないんだけどね?ユキの過保護っぷりがここでも炸裂しちゃってるよ。
「ユキ。私はもちろん対価を貰うし、それに昨日の黒龍戦のPVがもう公開されちゃってるんだから今更だよ?いずれわかるし。〔ジャンプ〕ってスキルなのはみんなわかるようになってたみたいだしね」
「…確かに…時間の問題…か。ナユカはそれでいいの?」
「いいよ!それにビュアさんには黒龍戦の時にポーション貰った借りがあるからね!」
「ナユカがそこまでいうなら…いいよ〜」
うん!これでOKだね。
「ビュアさん対価は貰うけど!〔ジャンプ〕について色々お教え致しますよ!」
「ありがとうございます。動画投稿の事なのですが…、実際教えていただく時の動画を使わせて頂いてもよろしいでしょうか?」
あ、そっか。でもまあ、PVにいっぱい写ってたから今更だよね。
「ユキは?いい?」
「いいよ〜。もうどうせ目立ってるし〜」
「ありがとうございます。ユキさんにも質問したりしてもいいですか?」
「ん?私?ん〜…。答えられる範囲ならね〜」
あれ?ユキも別にいいのか。てっきり質問とかは断ると思ってたんだけど。
「じゃあ、さっそく〜。マスタ〜!」
「あいよ」
「私チョコレートパフェ〜、ナユカとビュアさんは?何にする〜?なんでもいいよ〜大体のものは出てくるから!」
「ここはカフェじゃないとあれほど…」
「私はもも!!ももありますか?」
やっぱりももだよね。あったらいいなー!
「ああ、あるよ…。桃のパフェでいいかい?」
「はい!!」
やったー!!もものパフェ!美味しかったらまた来よーっと!!
「じゃあ私は…ふつうのパフェでお願いします」
「あいよ」
こうして私達は運動の前にデザートをいただくのだった。ゲーム内だけら運動もデザートもないって?いいのいいの。太らないからなおよしだよ!!
読み終わったら、ポイントを付けましょう!