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AZ366  海洋の革命者

公開日時: 2025年1月16日(木) 04:20
文字数:2,079



「とりあえず港へ行きますわ。そこから内部へ入れるはずですわ」


「またギルマン来てるよ?」



「もう都市から視認できる距離ですわ。なら都市のプレイヤーに任せて先を進んだ方がいいのですわ」


「ふむふむ。まあ、ポーションにも限りがいるしいっかー!」


「きゅあ!」




 アリアの言うとり。都市の港らしき開口部から数人のプレイヤーがギルマン目掛けて突撃していく。その中の1人はどうやらアリア達に用があるのか。ギルマンの方向へは行かずそのまま進路をこちらに変えてきたようだ。


「お!なんか変なのがいると思ったら有名人じゃないか!嬢ちゃん達が援軍か?」


「一応そうですわね?」


「あれ?この人どこかで…」


「きゅあ?」


 綺麗に日焼けした黄金色こがねいろ。そして金髪の髪を海水に揺らしている。そんな男が白い歯をのぞかせながらアリア達に話しかけていた。なおこの男。海パン一丁である。

 特筆すべき点は海中でサーフボードを乗りこなしている点だろうか。想像するサーフボードとは違い確実に浮きそうもない機械製のサーフボードで波に乗る要素皆無な気がしなくもない。


「ん?これが気になるのか?これはジェットスウォームサーフボードさ!友人の力作でさ、すげぇーんだぜ!」


 聞いてもないのに話し始めたこの男。グイグイ来るので少しアリアは引き気味だ。


「一応…自己紹介しときますわ。リリース所属 サブリーダーのアリアですわ」


「あ、リリースのヒヒリーでーす!」


「おっと!いけねぇ!自己紹介してなかったな!俺はシラナミ!海を愛する男だ!」


 やはり聞いてもいない情報を勝手に吐き出すこの男。この男の名はシラナミ。そしてこの名前を聞いてヒヒリーは思い出したのかハッとした表情で…


「海洋の革命者だー!!」


 その答えを吐き出した。そう、プレイヤーに海への道を開拓して見せた革命者にしてハルトやアリア達に並ぶ有名人である。


 アリアはその容姿に見覚えがあったのか。そんなに驚いていないようだ。

 そもそも革命者はゲームの紹介映像などでもよく映るためである。


「ちなみに俺は未所属だが、今はここの守備のために音頭をとってるぜ!」


「状況は聞いていますわ」



 現在シースフィアは度重なるモンスター。主にギルマンの襲撃に合っている。その襲撃はモンスターが現れ始めてから断続的に起きていたが、今回の騒動でより苛烈になったというのだ。


 シースフィアを守るため、現地のプレイヤー達が協力して防衛しているが防戦一方。モンスターは無限に湧き続けているため一体どこから現れているのか…攻勢へ出ることすらできていなかったらしい。



「ふたりが来てくれて助かったぜ!シースフィアはそもそもそこまでプレイヤー人口は多くないし、何より海中故の動きにくさが不人気でさ。シースフィア出身のプレイヤーもほか陸地のギルドでスポーンポイント決めちまって帰ってこねぇ…」


「このギルマンってシースフィア破壊が目当てなのー?」



「大規模戦闘システムを見る限りおそらくシースフィアは通過点ぽくてな?なぜか倒し損ねたモンスターは西から東へ向かっているらしい…ここから東と言うと太平洋…ハワイ地区か?でもハワイにはモンスターは来てないとも聞くぜ?」


「まずはモンスターがどこか来てるのかを早急に探さなければですわ…ですがモンスター達の目的地がどこなのかも今後重要になると思いますわ…」


「面倒だし?両方ともやろうよー!ヒヒリーがここを防衛!んでシラナミのにぃーさんはモンスターがどこから来てるのかを特定!アリアちゃんは目的地捜索が適任でしょー?」



 アリアはヒヒリーの提案に少し考える素振りを見せる。確かにヒヒリーの提案はアリアからしてみてもこのクエストの本質を見抜きやすくなるため大変ありがたい。だからといって戦力を分散したら…アリアの思考の中によぎる。そしてそんなアリアを見て大丈夫?とでも言いたげな「ギルバート」の存在がその正体でもある。


 これだけクエストが同時多発的に起き、さらにネズミという存在もプレイヤーの前に現れ、このクエストの先に「ギルバート」と同じ存在がいた場合。この3人がバラけるのは非常にまずいのだ。

 それにアリアからしてみればこの男。シラナミという人物の実力を見たことがない。


「…あなた、単騎で突撃して敵がどこから湧いているのかこっそり偵察することはできますの?透明化とかのスキルがあればいいですわ」


「俺は透明化は持ってないな。偵察…スピードならギルマンよりもはるかに速い自信があるぜ!できるだけ戦闘を避けて逃げ帰ってくるぐらいならできるんじゃないか?状況にもよるが」


「なら透明化ポーションをいくつかあげよっか?」



「そんなものあるんですわね…」



 アリアですら聞いたことないポーションに少し驚愕しつつ、これならいけるのでは?とアリアは前向きに捉えたようだ。


「では、3人でそれぞれ別れて動きますわ。お互い連絡はこちらの大規模戦闘システム越しでいいですの?」


「おーけー!」


「了解だ!」

「きゅあ!」


 3人はここでそれぞれ3方向に別れる。


 アリアは東へ

 ヒヒリーはシースフィアへ

 シラナミは西へ


 もちろんギルバートはアリアについて行くようだ。



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