*>>ナユカ視点
「というわけで、ミカちゃんが勇者を迎えに来てくれるって!」
何がどうして?という疑問はさておきとりあえず道筋は見えた。
まず、苗木を救うためには月にある大樹の持つ木の実が必要。
その木の実を渡して欲しくば勇者を連れてこい。
その実を使えば苗木は元気になる!
らしい。その前にもウサギがどーの。プレイヤーがどーの。ついでに夕方の用事まであと少ししか余裕がないだのどーの。色々言ってたけど…
「どうやら終わりが見えてきたようだ」
「僕じゃないと受け取れない木の実…勇者って肩書きはそれほどまで…」
ひとまず、そのほか2人ともやることは理解出来たようだ。ギビン君は考察に引っ張られていっているがウルドは別段そういうものに興味はないらしい。
私は今後重要そう?とは思っている。でもわざわざそれを調べたりすることはないかな?
別にギビン君とは臨時のパーティーなんだしね。
「次の動きが決まったようですので、ここら辺でスキルについては一旦お開きにしましょう。大丈夫。皆さん〔飛行〕はかなり上手くなりましたよ」
「〔飛行〕は奥が深いからな」
うんうん。と腕を組みながらさも当たり前のようにヒイロさんと並んだウルドだが、よくよく考えたらウルドも〔飛行〕は今日初めてでしょ?
「もし〔飛行〕をマスターしたいならナユカ穣に頼むといい。マスターできるはずだ。何回か壁にハグすることになるがな」
「そんなに厳しくないよ!」
「「え…」」
え?ちょっと実践的なだけじゃん。壁に激突したのもウルドが怖そうに壁を避けてたからつい力技でその恐怖心を取り除いただけで!
全体的に戦闘は落ち着きを取り戻す。アリアさん達が向かった海はまだ荒れてるみたいだけどこれは今のところ急務な問題ではない。
もうすぐログアウトするしタイミング的には良かっ…
「て、敵襲ッ!!」
「敵は!?」
「SBT 02シリーズですッ!」
「くそッ!またか!いったいなんの目的で!」
エルフさんたちが慌ただしく動き始める。先程までスキルを習っていたもの達までもが緊迫した状況でそれぞれ走っていく。
SB…02?とかなんとか言う敵…さっきここに来る時に問答無用で襲ってきた宇宙船だ!でも私たちは現在宇宙船を所持していない。ユキが乗ってっちゃってるからね!
「どうしよう?」
「とりあえず、時間いっぱいまでは戦闘に参加していけばいいのではないか?そのあとのことはギビンに任せることになるが…」
「こちらは問題ありません!」
「確かに時間もそうだけど宇宙空間にいる敵をどうやって迎撃しようかなって」
『ビュアです。ナユカさん。その解決策を伝授いたしますよ』
「うわっ!?」
いきなり念話でびっくりした。図ったかのようなタイミング!グッジョブ!!あ、でもよく考えたらビュアさんのカメラは未だ健在。向こうからはこちらの会話も様子も見えていたわけだ。ストーカーめ!
『ひとまず3人とも、そこにあるショップに入って貰えますか?』
「スキル?さっき私買い占めちゃったよ?」
「金持ちだな?」
「こう見えても!武闘大会優勝チームだからね!」
ふんすっ!
『大丈夫です。目の前にいるセリエルさんのインフォメーションコーポがスキルショップの内容を逐一監視しているらしいのですがその中に、宇宙に出てもある程度ならダメージを受けないようになるスキルが出てきたそうです。それを買ってください』
「わかった!」
ほんとにすぐそこにあるスキルショップに向かう。私の後ろに2人とも着いてきてくれているが、ふと思ったので聞いてみた。
「ウルドって所持金残ってるの?」
そう、初期金額1万G。ゲーム開始から少ししてスキルショップでお買い物をしたウルドは今所持金がないのでは?
「…100Gなら」
うん。たぶん足りないと思う。
「よし。ウルドはそのままミザール艦長の元へ!」
「なに?俺は別行動か?」
「そう!…嫌?」
「だが俺はお前と…わかった。できることを探してみよう」
「ありがとう!」
途中何言ってるか走ってたせいで分からなかったが、どうやらお願いを聞き入れてくれるみたいだ。そのままウルドはノアの方角へ走っていった。
「とうちゃーく!よし!ビュアさん!スキル名は?」
『スキル名は〔空間耐性〕です』
「空間耐性…あった!」
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スキル:空間耐性
カテゴリー:耐性系
ランク:黄
発動:パッシブ
概要:様々な空間的密度による耐性を得る。耐性発動中は常時SPを消費する。SPが無くなると耐性がなくなりSPを回復するか平均的気圧、水圧の場所に行かなければHPを高速で減らされる。
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気力消費で宇宙空間でも死なないスキル!なるほど!これで戦える!
「よし!いくよ!」
「はいっ!」
ノアへ向かい。そこから外を目指す。マップを見ればわかるが既にかなりの数に包囲されてしまっている。さらに敵が現れたのはここエルフの集落付近だけではない。
『リリース全員へ〜。アリアとヒヒリー以外全員はスキルを確保次第宙へ!』
テレポートゲートではなくワープしてくる宇宙船団が。太陽系のあちこちへ現れ始めていた。
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