しばらくして本選が始まり1戦目の戦いが始まる。私たちは約束通りハルトさんの試合の方にチャンネルを合わせて待機していた。
ん?ユキはいいのかって?いや、ユキが初戦から負けるわけないじゃん。応援するだけ無駄だよ?最後の方まで多分負けることはまずないって言われてたからね?ビュアさんに。ミケちゃんは相手の選手にどんまいと、割かしまじな表情で言ってたから…
「ハルトはまだなの?」
「もうすぐ始まりますよ…。ほら」
あれから何かとソワソワしているアリアさんは横からジト目でビュアさんに見られていてもなんのその。てかあれ気付いてないね。
『さあ!皆さんこんにちは!今日は待ちに待った闘技大会の本選です!数多のプレイヤーの中から選ばれた1000人の選手が今日ここでさらなる高みを目指して戦います!!』
『よろしくナ〜』
『実況は私!シェナと!』
『アルがお送りするナ〜』
あ、実況いつもの人達と違うね?まぁでもそうか何チャンネルもあるのに全部は無理だもんね。
『さあ!アル!今日の初戦のカードはどの人達かな?』
『1回戦目はメルル選手とハルト選手ナ〜。説明はシェナ頼むナ〜?』
『はいはい!受けたわりました!それじゃあ説明しましょう!と言ってもランキングなんて言われてもパッとこないでしょうから、ざっくり言って行きますね!』
なかなか始まらないな〜?と思ってたらそういえばこれ全試合現実の方でも見れるように放送してるんだったね。
そのための説明と調整しているっぽい、意外と実況の人たちも大変そうだね。
『…と、言う感じです!』
『ありがとナ〜』
『いえいえ〜!ではそろそろお時間となりました!フィールド上にバリアがはられていきます!』
えっと、ルールは回復薬の使用制限。制限時間は10分ね。フィールドはアリーナ(闘技場)内ならどこでもいいと。
あ、ちなみに天井はあるし、観客席とフィールドの業界は透明なバリアがあるから安全だよ!
《3…2…1…スタート!》
『さあ!始まりました!!開幕はハルト選手動かず、メルル選手は上に向かって飛んでいきます。これはハルト選手追わないんですかね?』
『ハルト選手は別に上じゃないといけなってことは無いからナ〜。遠距離攻撃手段が乏しいからあまり高いところに逃げられるのもダメだろうけど』
『ワオ!早速ハルト選手仕掛けました!アルこの技は?』
上空に行く相手に対してハルトさんは技を発動する。
「【鉄雨ノ弾幕下克上】!」
そして現れるはたくさんの投げナイフが相手の頭上からまあまあの範囲で降り注ぐ。それと同時に下からも魔弾の弾幕を飛ばす。
「あれ全部失敗作って言うのがあいつのやばいとこだよな…」
そう、ミケちゃんが言うようにあれは全部この1週間のハルトさんの鍛治のスキルの失敗したナイフである。それを上からただただ落としているのである。
そして下から魔弾でそのナイフを弾いてさらに弾き飛ばし相手にナイフをデタラメに送り飛ばす。
『うひゃー…』
『技名は【鉄雨ノ弾幕下克上】で、使用スキルは〔転送〕〔魔力〕〔落とす〕〔弾く〕〔集合〕〔連動〕〔発射〕〔風〕だナ〜』
『上から投げナイフを〔転送〕、それを下から〔弾く〕のついたを魔弾〔発射〕って感じですか!あれ?でも集合とか連動とかは意味無くないですか!?』
『それはこれからだナ〜。見てたらわかる』
「っ!【落石雷々】」
『と!ここで少しづつダメージが入っていったメルル選手も技を発動しました!』
次の瞬間。相手選手が急降下しながら周りに岩弾を生成さらにそこに電撃を被せて蜘蛛の巣のように広がった雷撃と落石岩弾がハルトさんを襲う。
が、それを〔瞬歩〕で効果範囲外まで脱出することで回避したハルトさん。
『こんどは!?』
『【落石雷々】。〔岩〕〔連動〕〔集まる〕〔鉄〕〔雷〕〔急降下〕〔落下〕〔麻痺〕だね』
さらに!!
『あっ!!こんどはハルト選手のナイフが!!』
『〔風〕で軌道を整えながら〔連動〕と〔集合〕でいい感じにほとんどのナイフをメルル選手に後ろから当てたナ〜』
『ナイフは魔力ではなく物理のため当たりどころによっては致命傷になり得るぞ!』
まるで波のように相手にナイフを操りぶつけていくハルトさん。相手も必死に〔防衛〕でダメージを無くそうとしているがどんどんHPは削られていく。
『だナ〜、そして物理だから防衛しにくい。あ、首に当たった…』
『おっと!ここで試合終了!勝者ハルト選手です!いや〜、結構すぐ終わりましたね』
『別にメルル選手が弱かったわけじゃないナ〜。ハルト選手の発想と作戦勝ち。という感じナ〜』
試合が終わり実況と解説が振り返りをしている中、ハルトさんがっこっちを見て手を降っていた。
アリアさんは腰に手を当て胸を張ってふんすふんすとドヤ顔をかましている。おーい、勝ったのはハルトさんでアリアさんじゃないよ〜?
後に帰ってきたハルトさんは帰ってきてこういった。
「余裕」
「嘘おっしゃい!!」
「だね〜」
「さっきまでまともに反応無かったのは誰でしたっけ?」
「あはは」
「男って変な生き物だよな」
「なんかみんな酷くね?」
こうして無事1回戦を乗り切ったのである。
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