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W-2 99  巫女と爆弾魔

公開日時: 2024年3月1日(金) 16:17
文字数:2,044


*>>三人称視点




 魔法陣が割れ。各メンバーはそれぞれが戦闘態勢となる。

 バトルスタート直後は沢山あった浮島もアリアの滝で打ち砕かれ跡形もなかった。残るは中央に浮かぶ闘技場のみである。



中央:ナユカ


東端 中段:ミカ、ヒカリ


北東 中段:ユキ、ビュア



中央 最下段:リン



西 上段:ハルト、ヒヒリー


北西 上段:キリア



南 下段:軍曹


南南西 下段:アリア


南西 中段:アキアカネ




 と分布しているメンバー。しかし徐々に狭くなっていくフィールドに全員が中央へと迫られていた。

 そして視界を遮るものも無いため自ずとほかのメンバー同士居場所を目視している。


 

 戦場は主に3箇所起こっている。そして唯一戦闘から1番遠いリンは全員の居場所を把握しながら考えていた。



(全員生存…戦闘しつつもやはりナユカさんを意識してか全員が中央へ寄りつつある…唯一可能性があるのは全員がそこに集まって戦闘がごちゃ混ぜになった時っ)



 基本的にチームで先頭をすることを念頭に置いているリン。その役割は所謂バッファーであるが攻撃しない訳では無い。

 一応ではあるが近距離戦闘用の略式詠唱も備えている。先程少し戦闘して理解したリン。

 略式詠唱などリリースメンバーには誰1人ダメージを与えることは出来ないだろうと…


 その証拠にアリアの攻撃でさえ全員が生存しているのだ。普通に考えてそこら辺のプレイヤーとはひとつもふたつも違う。




「轟となるもの、集い荒ぶりて、その強き御魂《みたま》に降霊《こうれい》せよ、我が天の上、目指すがごとし、地から這い上がりしモノと生れ、それは悪で、それは禍、我の言ノ葉《コトノハ》我にあらず、神のもの代弁す。【あらぶ物】」



 ゆっくりと詠唱していくリン。リンのGPとWPがごっそりと減り、淡く神々しく、荒ぶり禍々しい光を放ちながらその長い髪を靡かせる。



 そして唱えた技に。


 悪霊をのせて。




 その攻撃となった光を空高く。天高く解き放った。

 そんなリンの真上では、ナユカとその他リリースのメンバー同士が戦闘を開始したのと同時であった。





*



 時は少し遡り。魔法陣が盛大に割れた頃。その魔法陣を割ったもう1人。キリアはそのまま魔法陣に目を向けたまま、密かにその魔法陣へと向かっていた。壊れた魔法陣は破片となりフィールドに降り注いでいる。そして空中に溶けるように粒子となり消えていく。


 もはやエフェクト以外を残さぬ陣だがキリアはそんな中にギリギリ残っている模様を見定めていた。


 目的のものを見つけたキリアはそれらに手をかざしWPを消費していく。アリアの水の攻撃により青色だった魔法陣の1部の模様はキリアにより白色に塗り替えられていく。広大な魔法陣の中から必要な模様だけを染め上げその所持権をアリアからキリアに塗り替えているのである。



「んな!?」



 そんな自身の魔法陣の異変に気がついたアリア。キリアとは離れているせいか一体誰に自身の魔法陣を弄られているのか感知出来ない。


「キュアッ!」


「ギル!分かりますの?」



「キュアーー!」



 野生の勘なのか。それともボスだったからなのか。ギルバートには誰が何をしているのかわかったらしく、その犯人のいる方へ。すなわち上へ飛んでいく。


 フィールドが狭くなってきたおかげか、ギルに先導されたアリアはすぐに犯人であるキリアを目視することが出来た。




「悪さしてるのはあなたですわね?」


「♪」



 ニコッと笑ってみせる我らがリリースが誇る、ちみっ子マスコットキャラクター。キリアはもう遅いと言わんばかりか。その白衣をたなびかせてアリアを見下ろしていた。



 アリアは気づく。キリアの乗っ取った魔法陣の模様が。キリアの頭上に集まっていくことに。



 フィールドのほぼ中央。その最上部。白色の魔法陣に刻まれた模様。

 そして追加で書き足される模様…


(急降下、進む、加速、発射…追加で取り出し…まさか!?)



 アリアが答えにたどり着くと同時、キリアの魔法陣は完成し直後。一つだけとんでもないものを真下に高速で〔発射〕した。



 そのモノはアリアをガン無視しはるか下。これまたナユカたちの元へ向かう。





 どこか見覚えのあるそれにアリアは戦慄する。






(爆弾!?逃げっ)


「ギルッ!指輪にッ!!」


「キュ、キュア!」


「♪」


 ただの爆弾なら避ける必要も無いがキリアが投げたのは数々の珍事を起こしてきたアノ爆弾である。事態を理解したアリアは逃げようとするも、その進行方向にキリアはさらにアイテムを投げ込む。

 強烈な光と爆音の出る閃光弾。何とかギルは指輪に逃げ込むことができたがアリアの視覚と聴覚はデバフを喰らう。

 次いでさらに先程の魔法陣から次のアイテムがアリア目掛けて〔発射〕され…


「うぐッ!?」


 背中に直撃したそれはアリアに当たると粒子になりながら消えた。直後、アリアの体にノイズが走る。



 ステータスに現れる文字には…



「な!?スキル使用制限!?」


 飛行系スキル使用不可と書かれていた。そしてそのままアリアは落下していくこととなる。








 リンの攻撃とキリアの攻撃。両方が上下から迫るその頃。フィールドは収縮し全員が視認できる範囲となるまでになっていた。

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