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初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
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018  白雪姫と初心者

公開日時: 2021年10月21日(木) 22:14
文字数:2,100

 さて、ナユカのことだからきっとなにか思いついたんだろうな〜。そんな顔してる。どんな弾幕が飛び出してくるか楽しみだな〜!!


 まあ、初めてのバトルだし、ナユカは多分近接攻撃とかは考慮してないと思うから私は動かずにその場でナユカの弾幕を待つ。きた!


「そ〜れっ!!」


 なんか両手広げてクルクル回ってる....そこから大量の弾幕を放つナユカ。それらの弾幕はかなりの範囲に散らばり、それぞれバラバラにナユカを中心に回り出す。もちろん私の所までその弾幕は届いている。って....すごいいっぱい出すわ〜。絶対MP見てないでしょう?これ。あ、てか見れてないのかな〜?教えるの忘れてた気がする。ステータス欄で見ようと思わないと表示されないからね。ナユカまだHPしか見えてないんじゃない?

 いや〜、どんどん増えるな〜....

 まるで竜巻のように飛んでくる弾幕を次々躱すユキ。その間にもどんどん魔弾を中心から放つナユカ。


 う〜ん、これでおしまいかな?そろそろ攻撃してもいいか....弾は多いけどこのくらいだったら躱すことは容易だし、躱せなくなったらこっちも魔弾当てて相殺すればいいんだし。よし!


 途端にナユカのいる竜巻の方へ飛び出すユキ。走りながら躱し、時には魔弾で相殺しながらだんだんと距離を詰めていく。その距離が半分になった時それは起こった。ナユカがクルクルと周りなが出していた弾幕をピタリと辞めたのだ。


 動きを止めた?なら今のうちにもっと近ずいて....ッ!!


 その時ナユカは自分の前に魔弾を出現させる。その魔弾が次の瞬間燃え始めたのをユキは見てしまった。


〔火炎〕!?










 

 (我ながらだいぶ出したわね....でもそろそろユキが動きだすかな?....来た!!でもまだ焦ってはダメ。私の弾幕の密度が高い所まで引き付けてから、よし!今ッ!!〔火炎〕〔躱す〕これを極小サイズで10個!!さらにそれを1箇所に生成!これを....〔叩く〕ッ!!!いっけーッ!!)


パーーーーーン!!!!!


 勢いよく吹き飛んで行く〔火炎〕属性の弾幕。そしてそれらはユキ目掛けて飛んでいく。それを確認したユキはとっさの判断で辺りに〔水〕属性の弾幕をばらまく。

 もし、今のままナユカの竜巻のような弾幕が〔火炎〕に触れると魔弾どうしは一瞬で燃え始める。そんなことが起きれば辺り一面は山火事が如くユキを焼く。弾幕に当たらなくとも、少なくないダメージが

入ってしまうだろう。

 それを防ぐために少しでも自分の周りの弾幕だけでも消そうと考えての行動だった。しかし、ナユカの放った〔火炎〕が弾幕に当たろうとした瞬間、減速もなしにあらぬ方向に進路を変えてしまったのだ。


「なっ!!?」


 そしてそれらの弾幕にデタラメな角度からぶつかる〔火炎〕の魔弾。


 魔弾の性質として、その魔弾を放った人物の同一属性の魔弾は互い同士が当たらず、そのまま軌道を変えることも無く通過する。しかし、違う属性の魔弾同士がぶつかった場合は干渉し、属性を消したり、変化させたりするのだ。そしてそれは物理的にも干渉する。つまり、軌道も変えてしまうのだ。


 結果。一定方向から飛んできていた竜巻のような弾幕は、途端にまるでビリヤードの弾のように互いが互いをはね飛ばしながら形を崩していく。


 ユキからしてみればいきなり全方向から弾幕に襲われる形になった。そして、ナユカを攻撃しようとして竜巻の中まで来てしまっていたため逃げ切ることも難しい。


 次々に襲い来る弾幕、それを必死に躱し、水の魔弾で打ち落とすユキ....次第にあたりは炎に包まれる。ユキの魔弾が火炎弾を防ぎきれなくなってきたのだ。


(やばいだんだん対応出来なくなってきた!!継続ダメージも入ってる!!)


 パーーーーーーン!!!!!!


 ユキの耳にそんな効果音が聞こえて....


「きゃっ!??」


 ユキは盛大に吹き飛ばされるのであった。








「で....なんで私が負けてるの?」


「体力MAXの私を削るにはまだまだ足りないよ〜?」


 ちょっと期待したのに....最後なんて綺麗に決まったのよ?でもユキはその後すぐに体制を立て直したかと思うと、そのまま私に弾幕を叩きつけて....


「ぐぅ....なんか悔しい....」


「まあまあ、でも私も油断していたとはいえ、半分くらいダメージ食らったんだよ〜?初心者にしては上出来よ〜」


(それにセット系のスキルを使わずにここまでのことを考えたナユカが異常なんだけどね。)


 普通、弾幕を構成する際はシステム上の補助を必要とする。そのためどの魔弾をどのタイミングで、どのスキルを発動するかなどを予め決め、技名を発言するのがセオリーなのだ。ユキが先程の試合で見せた【氷の世界】や、【氷の心】などはそれにあたる。しかしナユカはそれらを使わずシステムの補助なしで作り上げてしまった。


(確かに、出来なくはない....私でもやろうと思えば出来ると思う....でも....ちょっと試してみただけでそんなの思いつくかね?)


 そんなユキの思考をナユカは考えることも無く次はどんな弾幕を放とうかとか言っている。


(まぁ、ナユカだものね。気にするだけ無駄よ....昔からあんな感じだったわ。)



 ユキは思考を放置した。

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