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初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
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Z343  センス

公開日時: 2024年9月12日(木) 02:59
文字数:2,183


*>>ナユカ視点


「【赤眼発動「ワールドビュー」】!からの。【えい!】」


 何故か高い魅力値。原因追求は後にして今はこの大量に湧いたモンスター達の殲滅が先だ。私はとりあえず自身の力を使って視界から得られる情報を読み取る。それと同時に私に着いてるバフの共有用の技をウルドにかけた。


「ん?バフか?」


「そうそう。色んな効果着いたはずだよ」



「これはすごいな。魔力以外で存在は知っていたが気力や霊力は扱えても電力や妖力、魅力は訳が分からなかった。勉強する必要も出てきたな…」



 確かに、あの時ウルドは電力、妖力、魅力ぽい動きはしてなかったね。というか魅力でデバフもりもりだった可能性もある。そう考えるとウルドって素で強い?


「倒しながら飛行で植物園まで行くよ。着いてこれる?」


「うむ…。いやまて、バフに飛行速度上昇があるのだがあれよりも上があるのか?追いていけるだろうか…」



 それは慣れだよ。〔スーパーアクセル〕とかと比べると全然遅いし!



「んじゃ。迷子にならないでね」


「心得た」




 私はとりあえず全力で真っ直ぐ植物園に向かう。早く動く物には注目が集まるのか、すぐさまモンスター達の攻撃が始まった。

 今の所、モンスターたちは基本的に物理的な攻撃しかしてこない。空に居るモンスター…なんか名前があったような気がするけど思い出せないそれは私たち目掛け突撃。鋭い爪で切り裂かんとその手をこちらに振り抜く。


「ふんっ!」


 〔ジャンプ〕で躱し、その後隙を弾幕で追撃。見事命中したそのモンスターは翼をばたつかせ落ちていった。

 まだまだっ!次々にそんな攻撃が飛んでくる。一応牽制の意味も込めて弾幕を適度に。進行方向にばら撒きながら、飛んでくるモンスターを躱し、迎撃し、時には撃破していく。


 投げナイフなんかは突っ込んでくるモンスターに合わせて飛ばしているのでほとんど回避出来ていない。これ便利。

 扇子も打撃、斬撃、防御もできる。初めて使った時よりも扱いに慣れたのか、おそらく攻撃のバリエーションを上がっている気がする。

 前は扇子広げて防いだ爪を体を捻って受け流し、そのまま捻った体を回転させ遠心力の乗った扇子で叩き落とす!なんてしてなかった。


 うん。打撃時ちゃんと扇子閉じて振り抜いてるし、モンスターもちょっと痛々しい打撃音と共に地面に叩きつけられている。

 んー。アイドルだけど戦闘スタイルが少し野蛮になってる気がする。ここら辺はまた今度、姿勢とか考えて見ようかな。



「動きは単調だな?ファイヤーボール」


 ウルドはそんなことを呟きながら〔魔法〕を発射。見事モンスターに命中させる。〔飛行〕中だがもう制御できるらしい。

 ウルドは現在攻撃手段が素手か魔法か魔弾のみ。スキル不足がこんな形で牙を剥くとは思ってなかったが…せめて剣か何かあれば…あ!


「確か…」


 少し周りの建物に近づく、モンスターから死角になる位置で〔魔法陣〕を展開。剣をイメージしながら〔即時錬成〕を使用する。


 さっき雑に買ったスキルだがこういう使い方もできる。やっぱりスキルは多い方がいいかもね。


 アリアさんの魔法陣と比べるとはるかに小さいが建物の壁からのっぺりとした剣がスーゥと出てきた。

 思ってた剣ではなく、剣の形をした岩のような気がしなくもない。


「よいしょ…重た!?」


「剣か。俺用か?」



「素手はさすがにキツイでしょ?」


「ふむ。振れなくはない…打撃武器だが…」



 わお、岩の塊をブンブンと…。筋力的な差はあまり無いはずなんだけどね?ゲームだし。

 これは持ち方とか体の動かし方とかそんな違いがあるのかもしれない。

 ちょうどよく現れたモンスター。ウルドは少し大振り気味な剣先をモンスターに目掛けて振り抜いた。

 結果は言うまでもなく、モンスターは吹き飛んでいく。んー。斬れてないから剣じゃ無さそうだ。まあ、本人はブンブン振り回してるしいっか!




*



 やがて私たちは順調に進み植物園に侵入した。ドーム内には既に複数のプレイヤーとそんなプレイヤー達の中心で色んなパーティーに指示を出している若い男の子。Jチームのリーダー。ワダチさんがこちらに向かって手を振っていた。


「おふたりともご無事ですね。話はユキさんから伺っていますよ」


「よろしくお願いします!」


「ウルドだ。よろしく頼む」



「ええ、よろしくお願いします。植物園から闘技場までのエリアは我々Jチームの管轄ですが、おふたりも協力してくれるのなら安心です」



 本当に安心したのか。少し疲れた感じの声色のワダチさん。Jチームはメンバーが多いからこういう時大変だろう。リリースは12人だから一瞬で終わる連絡も、Jチームだと数十分のタイムラグが発生し連携するのが困難だ。

 だからだろうか?ちょうどよく大規模戦闘システムが起動。表示されたマップには未だ多くのモンスターが赤点として表示されていた。



『もしも〜し。ナユカ〜。聞こえる〜?』


『聞こえるよー!』



 大規模戦闘システムが作動したことでユキとの連絡も〔念話〕越しにできる。パーティー組んで無かった弊害がやっと解消された。


『私は残念なことに動けないから〜、そこの男とワダチ達の援護をしてあげてね〜』


『了解!あ、あとひとつ。後でお話があります』



『んじゃ〜、頑張ってね〜!』



 おいこら、逃げるように会話を終わらすんじゃない。こうして私はユキとの念話を終え、援護の準備を開始する。



「【えい!】」



 またバフ共有用の技を連発していった。

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