「【万残槍(アフターIアタック)】!」
「ん。【万残拳(アフターIファイト)】」
「それは知ってるコケよ!【日を追い。海翔】」
光出す槍の穂先と、グローブ。2人して互いに目だけで合図を送る。ヒカリなら、アキならこうするという確信のもと、さらに2人同時に技を唱える。
「【海洋戦術】」
「【海洋戦術】!!」
2人の周りに現れた水弾が、弾けるように形を崩し、渦巻きのようにまとわりつく。そしてさらに2人同時に〔急降下〕。
ドッポーン!!
海に飛び込み。大きな水柱が立ち上がる。
「海専用の技こっこ?」
「【直進拳・海】」
ヒカリは水中に入った瞬間、体制をくるりと前転するように回し、真正面にニワトリが向く位置で停止。そのまま目を見開き、技を唱える。
そして光るグローブを思いっきり振りかぶり、ニワトリ目掛けて殴り飛ばす。
ドコーーーーン!!ザーー
もちろん、水中のヒカリと、空中のニワトリにはかなりの距離があるため届かないパンチ。しかし、途端に海面が膨れ上がり、今度は下から突き上げるように水柱が立ち上がる。
「〘継続〙」
その水柱はニワトリ目掛けて突き上がるが、海面の膨らみから動きが見て取れるため難なく躱される。
「なかなかの威力。でも遅いこっこ」
「油断は」
「コッ!?」
海面下にいるはずのヒカリの声が真横で聞こえたことに、咄嗟に振り向いたニワトリ。気づけば水柱は上り詰めたあと重力なんぞ知らん!と言いたげに、そびえ立ち続けており、その水中に拳を構えたヒカリがちらりと映る。
「【打点拳・海】」
バコンッ!!!!!
水柱内からのパンチは、轟々と燃え盛るニワトリの熱を防ぎ、その炎を貫通して炸裂する。そしてニワトリは下へ弾き飛ばされるように落下。
「アキ!」
「【残進槍・海】」
ザッ!!!
「ガッ!?」
海面から突如細かい針状になった水が高速で無数にニワトリ目掛け飛び出す。
その水弾はニワトリを突き刺すように攻撃した。落下速度も有りかなりの速度でぶつかったためニワトリのダメージは計り知れない。針はほとんど命中しニワトリは苦悶の声をあげた。
「ここですね。【イムーバブル・モデル】」
海面に叩きつけられたニワトリ。なんとか水面を脱出しようとしていたニワトリを取り囲むように魔法陣が現れる。そこから飛び出す葡萄色した弾幕がニワトリにあたり…。
「こ、コケ!?」
ニワトリに。
「一重ではすぐ抜けるでしょう。さあ、カメラ目線でお願いしますね?〘硬化〙!」
「へっ、水に浸かると暑くないもんなァ…。俺はいらなかったみてぇだが、技の準備はできてるぜェ!死ねや!【爆詠】」
ムチを思いっきり鳥目掛けて振り下ろし、当たった瞬間に大爆発を起こす!
「オラオラオラオラァ!!!」
それを我武者羅に振り抜き相当なダメージを叩き込む。
「ガッ!しつこいコケ!!【噴火】!」
「全員水面に退避!」
「なっ!?」
ニワトリが起こりながら発行。見るからに危ないタメが目の前で行われ始め、全員が水面に急ぐ。
「ヒカリ!」
だがしかし、攻撃準備を海中でしているユキ、鳥に攻撃するために接近していた。アキアカネ、ランプ、同じく技発動タイミングを測っていたカルマ、超上空にいるため攻撃が届かないだろうナユカ。その5人はそれぞれ回避行動を取り、ナユカ以外は水中に逃げ込む。
しかし、水柱から鳥をたたき落としたヒカリ。戦場把握のために比較的上にいたビュアは見る限り間に合わない。
「「くっ!」」
♪
途端に響く音楽。
「ナユカ!!ナイス!」
いつものイントロを流すだけ、だがしかし、この戦いを見ていた人の心にはぶっ刺さるナイスなタイミングで流れた曲は、パーティー全員に膨大なバフをかける。
もちろん飛行速度上昇も着くべくしてつき。
どーーーーーーーーーーん!!!!!!!
なんとかスレスレ、ダメージを受けながらも水中に逃げ果せた2人。
「これが…。噂のとんでもバフ」
「あ゛?こりゃバランス調整ミスってっだろォ?」
初めてバフを受けた2人はその効果の絶大さに驚き、それぞれそう口にする。
『ランプ』
『あ?なんだよ』
『これ僕たちのためにナユカが歌ってるってことだよね?』
『あ゛あ゛?…まァ、そうなんじゃねぇーか?』
『もうこれだけでいいわ。最高』
『好きにしろ…。ただ負けるのだけはごめんだぞ!』
『もちろん。歌のお礼といこう』
『もう、お前…。染まってんなぁ…』
ナユカの生ライブに超興奮を抑えきれない!と言った具合のカルマ。彼はすっかりナユカの虜であった。
「んじゃ、行こうか〜」
そうしている間に、ニワトリの大噴火さながらの発熱と爆風は少しづつ収まり始める。
それを確認したユキがついに魔法陣の中央に陣取り、最後の技名を唱える。
「【鏡よ、鏡。この世で1番美しい物に】!咲かせ!!!!」
怪しく光る魔法陣が、海の中で揺らめき蠢く。
それは音を立てるまもなく、透明な棺。ニワトリをそのまま包固める。
超巨大な、氷。しかしそれは向こう側が見えるほどの透明度を誇り。
「どうぞ〜」
「【悪魔の瞳は時を無視する】」
それは一瞬にして、おびただしいほどの弾幕により、粉々に打ち砕かれた。
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