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Z349  赤い線を見上げて

公開日時: 2024年10月1日(火) 22:24
文字数:1,844



 宇宙船の真正面に見えるどでかい建造物。つい最近、おそらくほぼ同じ場所で同じものを見たが、その時と違う点がひとつだけある。


「ビュアに言われてここに来てみたはいいけど〜。どうやってこれ動かすのかな〜?」


 そう。惑星間テレポートゲートだ。ただし以前見たものは起動済みで色んなとこが光ってたし、おそらくテレポート先に向けて不思議な感じの光が動いていた。

 だが今回は全く光は無い。太陽に反射しその全体は灰色とも白とも言える合金であろうメタリックだ。



『もうすぐ起動します。皆さん突入準備を!』


『システム権限復帰です。我らネズミ!プレイヤーと共にチューを駈ける者なり!ゲート緊急セットアップ!』


 ビュアさんの声と…誰だろうと思ったら発言的にネズミらしき声。その号令のような声に連動するように目の前のゲートに、まるで血液のように光が巡る。


 そして青から黄色、赤へとその光は色を変えた。建造物はその大きな巨体を軽々と動かし1部の外壁は独立し動き出す。

 全ての移動が終わったあと、一瞬ピカッと光るとゲートは以前の姿をほぼ取り戻した。少し違うのは光の色が以前は白。今回は赤色なことだろう。そして以前よりもテレポート先へ分かりやすい赤い線が浮かび上がっていた。


『ゲート起動です。行ってらっしゃい』


『皆さん。ご武運を』



「全員捕まってね〜!」


「「「了解」」」


「コケ?ゴッ!?」


 急発進。ちなみに操縦はユキです。操作できるんだって。私はできない。

 後ろに引っ張られるようなGを感じる。掴む手がざんねんながら羽のニワタリはそのまま背中から後ろの壁に突撃していた。なむなむぅ


 私たちはゲートに一直線に入っていく。視界がホワイトアウトした後、瞬きと間違える速度でそんなゲート移動も終了した。


 操縦席から覗く宙。先程まで無かった木星がすぐそばに感じられる大きさのところに来ていた。




*>>ミカ視点



 ビュアの動画を見ながらうちもモンスターを殲滅していく。あぁ、羨ましいぜぇ…

 あんな目の前でゲート起動見れる奴なんてそうそういない。ここはゲームだが惑星間テレポートビーコンはリアルのそのままだ。起動シーンを思い返す感じ光が青から順番に赤まで落ちた。

 つまり、白色の通常運行ではなく、青が起動、黄色が緊急エネルギー充填、赤が緊急テレポート接続だ。

 うちも初めて見た。赤色のゲート。

 くぅ〜!オタク心をくすぐる見た目してんなぁ!いいなー!


 今も空を見上げればナユカ達が通った赤い線が星座のように伸びている。

 今すぐ現場に向かいたい。でもそれは我慢だ。うちはリリース。今この場。博物館周辺を守っているのはうちだけだ。厳密にはノアの戦闘機なんかもいるがな?

 ギルドホームはうちが守る。視界の端にまたモンスターが見えた。



「キリがねーな。まあ、試作品の試し打ちになってくれだぜ!」



 構えた重砲はいつもの重砲と何ら変わらない。一応別物だがいつも撃つ一発極太も撃てる。だが、いい加減単騎で複数を殲滅できるようになりたかった。

 ここで言う殲滅は何も瞬間的なことじゃない。というか一瞬で殲滅するなら今まで通り撃ってそのままなぎ払いをすればいい。


 うちが言う殲滅は継続的に複数の敵を殲滅することを指す。簡潔に言えば攻撃持久力。悪く言えば今までのでは燃費が悪い。

 〔電力〕は基本的には自然回復しない。エネルギータンクと呼ばれるスポットに行ってチャージしなきゃならない。

 つまり本来、〔電力〕消費を抑え、EPをやり繰りしてやっと使えるスキルとなるはずである。


 うちは〔電力強化〕やその他にもアイテムや装備、〔エーテル〕とかも最近使っているため一発でEPを使い切ることは無い。でも撃てて数発が限度だ。


 それを解消するための改良。


「展開!前面拡散!ターゲットロック!〘条件〙視界内!エーテル回路接続!電力入力を1%固定。チャージング」


『展開、接続、完了。条件認識。スタンバイ』



 重砲の前面にラッパのように機器が分離展開し、それぞれが光るラインにより接続されている。チャージを完了した重砲は任せろとばかりにその凛々しいボディを見せつけた。くぅ〜!やっぱこうじゃなきゃな!


「いけッ!【ドーン!!】」


 いつもの火力は全く無い。重砲からしたらチョロ出しもいいとこだろ。でもこれなら2時間くらいぶっとうしでもEP切れにならないぜ!


 一発を複数に分散。それをターゲットをロックオンし続けている前面に展開された反射板が狙い撃つ。撃ち漏らしもほぼなし!無駄を無くして低燃費!エーテルで威力も申し分無し。


 さあ、どこまでもつか試そうか!


 

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