*>>ヒカリ視点
目の前に広がる情報。敵の位置。味方の位置。そして地形。立体的に広がる情報はそれこそ星の数ほど蠢き、誰が誰だかわからん。
私、情報処理能力には自信があったのに。これはあまりにも膨大で対処に困る。
『ヒカリどう?いけそう?』
『アキ、無理そう』
アキアカネ。私の友達。アキと呼んでいる。
彼女は現在私と一緒では無い。アキは実況。闘技場の管理者にして唯一あの闘技場を動かせる。
『私よりはキリアが得意なんだけどね〜』
ユキはたぶん、少し手伝ってくれるくらいならできる。彼女はすごい。やること全てがとにかくすごい。
キリアは知らないがおそらく喋れないから私と連携が取れない。
『よーし!じゃあうちの出番だな?おい、ヒカリ。大規模戦闘システムの操作権こっちにもくれねーか?』
『ん。2人でやる?』
通信してきたミカ。彼女ならこの難解極まるシステムを扱える。2人で役割分担すればスムーズに…
『いや、ユキ!権限やるからモンスターの動きに違和感があった場合CSFとその周辺組織に指示出しを頼めるか?各組織への全体的な指示系統はユキに一任するぜ』
なるほどCSFはともかく他のプレイヤーへの影響力はユキが適任だ。
『了解〜』
『ん?3人?』
『いや、こうするぜ!アリオト艦長!』
《大規模戦闘システムに新規コネクティングを検知。ノアの官制航行システムと〔連動〕を開始します》
視界に追加で情報が増える。ノアの現在地とそこから更に青い少し形の違うアイコンが高速で飛び出していく。これは?
『こちらアリオト。ヒカリ殿、指揮管理能力を備えた当艦の管制官を使ってやってくれ。私も指揮に加わる。よろしいかな?』
『ん。理解した。お願い』
なるほど。確かに彼らは専門職。こういう場面において適正だ。
『ヒカリはリリースの全員を任せるぜ、うちは状況に応じてマークポイントやその他プレイヤーのクラスを変えていくぜ』
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大規模戦闘システム
・戦闘区域のプレイヤーの位置情報共有
・敵性反応の位置情報共有(ステルス不可)
・その他反応の位置情報共有
・マークポイントの設定
・コマンダー、サブコマンダー、キャプテン、リーダー、の任命
・パーティー、レイドパーティーの設定
・各対応スキルの大規模共有
・巨大シールド設置
・従魔の操作。指示
・各ギルドホームとのコネクティング
・ノアとのコネクティング
・各地域との連携
・各闘技場との連携
・闘技場保護バリア
・交通システム操作
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大規模戦闘システム。できることが多い。今は必要ない機能もあるが、どれも強力なシステムには違いない。
『アキ。闘技場。連携させる』
『了解!』
《大規模戦闘システムに新規コネクティングを検知。中央闘技場より全闘技場にコネクティングパスを発信。各闘技場の特殊機能と状況情報を追加。規定コネクティング範囲拡大によりコマンダー、サブコマンダー同士の連携を開始》
ん。予想よりだいぶ大規模になったけどアキと連携できた。
《ファーストコマンダーをプレイヤー:ヒカリに指定。全域情報を表示》
ん?え…
『おお。ファースト指名できたぜ!』
さらに視界に情報が増えた。というかマップが恒星規模にまで広がった。どうしろと?
とりあえず何とかする。
『ヒカリー!とりあえず闘技場の天井フルオープンにするから、野良プレイヤーのリスポーンポイントここにしといてー!』
『…ん』
『ヒカリ殿!モールの地図階層ごとに切り替え表示可能でありますでしょうか?』
『ヒカリ!キリア周辺のエリア立ち入り禁止にしてくれ!吹き飛ぶぞw』
『ヒカリ〜。ナユカ見張っといて〜。何が起こるかわからないから〜』
『ん!』
うん。もう…。とりあえず要望に応えた。あとは…
『ハルト。キリア、撃ち漏らし。モール裏手』
『了解w』
『ナユカ。植物園。囲まれてる。やれる?』
『任せて!』
『ユキ、闘技場付近。追加ミサイル。迎撃』
『は〜い』
『ミカ。動ける?』
『行けるぜ』
『ん。じゃ。ついで、他のコマンダー、様子見といて』
『え?』
各々へ指示を出す。このくらい。慣れればどうってことないだろう。ついでにミカには全部丸投げ。これが一番早い。
マップに映し出された恒星規模のマップ。いずれ私もこういう戦略や視野の取り方が必要になるだろう。
その時彼女たちの力になれたらと。そう思う。
目の前に広がる満天の情報を。これこそ力となる道標と少しだけ前向きに考えることにした。
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