「ねぇ。シリウス。最近紫のオーブが出たとか。銀色のオーブが出たとか…。そういう噂をよく聞くのですけど。それってホントなのですか?」
ここは地球の衛星「月」。そのセカンドコロニーと呼ばれる区域。晴天の青空広がるその真ん中に浮かぶその島々。
名前は「アインズ」と呼ばれるその場所のとあるギルドホームにて、奇跡巫女と飛行師の2人が話していた。
「あー?あれねー!結構見たって人いるよー?でも信憑性がなくてレンとサナタリアがちょーさに行くってさー」
「あら?もう既に動いてらしたのね」
「最近美味しいとこを全部「リリース」に持っていかれたしさー。我らアインズも目立ちたいんだよー」
「そういうあなたは珍しく動いていないのね?」
「僕ー?僕はとりあえず島を増やすのに忙しいからさー。今ここにいるのもMP回復待ちだしーぃ」
「なるほど、そういえば。ダイチさんの計画は上手くいってますか?」
「そっちは順調らしーよ?もうすぐ登録出来そうって言ってたー!」
「順調そうで何よりです」
2人はそれぞれの知っていることを話していく。彼らも彼らでそれぞれRBGを楽しみながら、新たな発見や革命を掘り出しているのだ。
闘技大会で敵対した彼ら「アインズ」だが、普通にプレイヤーとして楽しんでいる。「リリース」のことを敵視しすぎる訳ではなく。程々に張り合い相手として、或は目標として彼らもこの時を進めていく。
*
「何人集まった?」
「3万程っ!。その他同盟ギルドを入れると20万くらいでっす!」
「もう少し欲しいな。このまま人を募ろうか?」
「だな」
「いや〜。たのしみじゃけん早く集まらんかな?」
「焦ったらダメだわぁ〜ん」
場所は変わって今度は火星のセーブ001地区。ここには5人が丸いテーブル(ちゃぶ台)を囲み会議を開いていた。
「それよりぃ〜。紫オーブはゲットしたのぉ〜ん?」
「まだ」
「だな」
「この間取ろうとしたらギリギリ負けてなー。取られたんよー…。じゃけーまだ★」
「まっだー★」
個性豊かで大変よろしい。がそのうち1人はなぜ幹部がこんな変な奴ばかりなのかと、目尻を揉みほぐしながら上を向いた。
「そういうミッチャンはゲットしたっ?」
「まだよぉ〜ん!」
リーダーはまだまだ時間が必要そうだと、1人予定を考えていた。
*
「ごめんなさい。待たせてしまいましたですわ」
「いや、うちも今来たとこだぜ?早速行こうか」
「はいですわ」
こちらは戻ってきて地球。日本地区中央闘技場付近。博物館に朝早くから2人のゲーマーが待ち合わせをしていた。
「それで?何を手伝って欲しいんですの?」
「今、このゲームは長距離移動ができないだろ?」
ミカとアリアはギルドエリアを歩きながら北西に向かって歩き出した。
「そうですわね。結構前から言われてますわよ?」
「それを考えてて思ったんだが、何かこないだの大規模戦闘システムみたいな。仕掛けがこのゲームにあるような気がするんだよなぁ…。それを探すのを手伝って欲しいんだ」
「了解しましたわ!お易い御用ですわよ!」
「助かるぜ」
先日の黒龍以来、2人とも互いを知るきっかけができたのが良かったのか。そこそこ仲の良い2人はそのまま、博物館から北西方向に進んでいく。
「ところで…。どこに向かってるんですの?」
「ん?あぁ、真空リニアのとこ」
「リニア…。闘技場から西に少しにありましたわね」
「そうそう、そこに向かってるぜ?ユキに聞いてみたら、あそこは爆破して侵入するのが楽だったらしいからな」
「それ、動く前にはかいしてませんこと?」
「勝手に治るから大丈夫だろ?」
「真空管の中でも息はできますの?」
「ユキはできるって言ってたぜ?」
情報源が全部ユキなのはこの際気にしないことにして、アリアはそのままミカについて行く。途中から徒歩から〔飛行〕に切り替え、少ししたらそのリニアに行ける建物が見えてきた。
「ここ私は迷子になるんですわ…。〔地図〕だけじゃどうしようもないのですわ…」
「うちがわかってるから安心しなぁ」
そういいながらも〔地図〕をガン見しながらミカも建物の中に入っていった。
「とりあえず、低速リニアよりも高速の路線に行くぜ?」
「…了解ですわ」
既に建物に入って数分。たくさんの分岐と地下通路で、もはや自分のいる位置が全く分からないアリアはミカの後ろにピッタリとくっついていた。
「探すなら制御室か?」
もはやついてくることしか出来ないアリアを後ろに感じながら、当初探すのを手伝って貰おうとしたミカの考えはもう既に諦め。2人で一緒にどんどん地下を進んでいく。話し相手として扱うことにした。
それから更に進んで行くが、一向にそれらしきエリアは見えない。
「こういう施設の制御室ってどこにあるんだろうな?もしかして遠隔か?」
「リニアの駅としてはここは大きい方ですわ。たぶん建物内のどこかにはあると思いますわよ?」
「なるほどな」
訂正、意外と役にたつじゃん。
それから更に数分後、ミカとアリアは目的の部屋にたどり着いたのだった。
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