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初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
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T071  ナビィは願う。いつか平和になったなら

公開日時: 2022年2月16日(水) 13:19
文字数:1,891



 あれから生配信も終わり一旦ログアウトして夕飯を済ませる。この後またゲームにログインして4人で合流してユキとハルトさんを迎えに行く予定があるので、出来るだけ早くお風呂も済ませた。



 現在時刻は10時ちょうど。まあ、いいぐらいでしょ。





*





 ログインしたのはお昼に観戦していた個室の中で、既に私以外の3人はハルトさんの試合を見ていた。



「あ、ハルト!!そこはダメですわ!!」


 アリアさんの言葉にふと私もハルトさんの試合を見る。


 そこでは弾幕を回避したハルトさんと、そこに襲い来る無数の本命とも言える弾幕がぶつかる。


「あぁ〜…」


 しばらくしてHPを全損させたハルトさんが土煙の中から出てきたのだった。


「ハルトさん負けちゃったけどランキングの方は大丈夫?」


「今のところ本選出場は余裕ですね。ランキングが上がってきたせいでハルトさんは今のところ勝率五分五分ですけど」


 上には上がいるもんだねー。ハルトさんよりも上がいるとか、こないだ私負けたのに…。


「ユキは?どうなってます?」


「心配するだけ無駄だと思うぞ」


「ですわ」



え?




ランキング1位




「今のところ負け無しですね」


「確かに心配いらないね!?私がいない間になにがあったのか…」



 ユキだから仕方がないね!!





*




 そしてそのまま10:30になる。


ユキ 1位


ハルト 132位


 結果はこの通り。2人とも本選出場が決定した。



「いや〜、さすがに疲れたよ〜。ナユカ癒して〜〜」


「あ、ちょっ!いきなり抱きついてこないでよぉ」


「い〜や〜し〜て〜〜」


「はいはい、もぅ…」


 うんうん。だらしなくグテーっとしたユキもかわいいんだけどね。他の3人が見てるから!


「はぁ、まあ、何とかランキングをキープできたな…」


「最後の方ボロボロだったでしょうに」


「うるせぇアリア!遠距離オンリーしかできないだろうが‪w」


「ふんっ!」


 やっぱり…


「仲良いね?」


「「どこが!!?」」


 ほらね?


 こうして私たちはユキとハルトさんを迎えたあと明日もここに集まることを約束してみんなでログアウトして言った。明日の本選は、トーナメント形式らしいから2人とも頑張ってね!!










*









『でー?ナユカちゃん泣いちゃったの?』







『少し涙目になってしまいました。申し訳ありません』







『まあー、仕方ないかなぁー。次は気をつけてね?』









『はい。花恋様』








『ところでナビィ。那由花がまた覚醒状態になった時に、なにか変わったこととか無かったか?』







『いえ、それもほんの一瞬でしたから』





『そうか…じゃあ問題ない。引き続き、那由花が覚醒状態になった時に今回のように「干渉」して瞳の色を誤魔化すこと。それと、ゲーム内のナユカと、ゲーム外の那由花の体になにか異変がないかを監視しておいてくれ』



『あとプレイ内容のデータもちょうだいねー!!』



「あ、それも頼む」






『了解しました。以上で通信を終了します』










 ナビィは今日少しAIの身でありながら落ち込んでいた。そのことを夕飯とお風呂に入るためにログアウトしてきた那由花に悟られないよう、意識していつもと変わらず接してきたが…。ナビィはそんな那由花を見ていてさらに落ち込んでしまっていたのである。



 このザマでは護衛機失格ですね…あの表情を見てたら嫌でもわかってしまいます。

 姫様は今日相当悔しいのを我慢していました。ビュアという子や、アリアという子に悟られぬよういつも通り振舞っていましたが私から見ればバレバレです。



 その原因を作ったのは私です…



 あの時、姫様はまた無意識のうちに覚醒状態になろうとしていました。覚醒すると姫様の場合は瞳の色が赤く染まります。

 それを他のプレイヤーや、あれに知られてはまずいため、私は仕方なくゲームに干渉したのです。


 具体的には瞳の色を茶色のままに見えるようにしただけでした。しかし、あのマザーAIにバレないようにゲームに侵入し、そのように誤魔化すためにやったことが…。あろうことか姫様本人にそのアナウンスが流れてしまったのです。


 それが、原因でしょう。あの時姫様の意識を一瞬逸らしてしまった。それが無ければもっと姫様はタイムを稼げたのではないのでしょうか?いえ、きっとそうです。


 あの後、涙目になっていた姫様は2人にバレないように涙を拭っていたのを私は知っています。





 本当にごめんなさい。




 この言葉さえ私は言えないのです…


 姫様には自身の覚醒のことは言えない。言わない方が幸せに暮らしていけると、勇人様も花恋様も考えています。あなたを守るために…。だからこのことを伝えることもできず、謝ることもできません。




 私はあなたを護るため、あなたに嘘を着かなければなりません。





 何も異常は無かったですよ。と




こう言うしかなかったのです。



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