「そろそろ限界とちゃいますの?」
「不死鳥コッコ。獣風情に倒せると思わないコッコ」
しばらく激しい戦闘が続く。猫はほぼ無傷。対して鳥はもう数回かHPを全損させ特有のスキルで復活を果たしていた。
(まずいコケ。所有権が変わっていない以上維持するための力を戦力に回せないコッコ。それに眷属たちも間に合いそうにないコッコ。ヒカリとアキアカネは…。元々無理難題コケ…)
「復活もそろそろ尽きる思うてんねんけど?違いますの?」
「何度でも蘇るコッコ」
「はやいとこフライドチキンにせななぁ」
「ちび猫風情がよく鳴くコケ。猫とかいう獣は子猫がよく鳴くと言うコッコ。ガキネココケな!」
鳥に強烈な蹴りをかます白猫、それを翼で弾きながら鳥は火弾を白猫目掛けて放つ。
白猫はその弾幕を大きく回避し追撃としてその鋭い爪を振るう。段々と増えるダメージ。これ以上喰らえばいかに鳥とも言えど復活に限界が来てしまう。
「とどめや【老猫の確殺】」
「コケ!?」
技と同時に掻き消える白猫。次の瞬間真上から眩い光とともに極太レーザーが打ち込まれる。
鳥もさすがにこれにはやられたかと、身構えるが…。
ガギッ!
レーザーが途中で割り込んできたバリアに拒まれ鳥の元には届かない。
「ニワトリ、おまたせ!」
「私たちが帰ってきましたのでもう大丈夫です!」
「現在進行形でバリアはダイチさんが貼ってるのですけどです…」
「そこ、シャラーーーップ」
ドヤ顔ぶちかましながら槍をブンブン振り回すアキアカネ。対して手を腰に当て無表情で無い胸を貼るヒカリ。それを横から傍観するサナタリア。
アキアカネとヒカリのそばにあったよく分からない植物はその場で枯れ、残ったダイチを含む4人は何とか鳥との合流を果たした。
「鳥にも回復薬って効くのです?」
「…さ?」
「ん、ニワトリ、回復薬、いる?」
「あるなら助かるコケ」
「ん。いる。らしい」
どうやらプレイヤーでなくとも回復薬は効果を発揮するらしく鳥は器用に体力回復薬を受け取るとそのまま飲み干した。
「わてがそれを黙って見過ごす思うてん?」
そんな鳥に透明な猫が攻撃を仕掛けるが…
「ん。見えてる。出直せ」
ヒカリは既に視界で動画を確認しながら白猫に攻撃を当てた。綺麗な右ストレートを受け、白猫はその身軽さ故かかなり遠くまで吹き飛ばされる。
さらにそのタイミングで…
「お待たせしました。皆さんご無事のようですね」
「とりあえず回復薬やら爆弾やら色々持ってきたぞ」
「わ、わた、し…。M、Pが…もう」
「おおー!でっかいフクロウと小さい子猫だぁ!」
一旦二手に分かれていたアインズのメンバーも支援物資を持って合流した。これでヒカリ、アキアカネ、ダイチ、サナタリア、リン、レン、シリウス、シズカと8人となる。
「とりあえず、フレンドリーファイア防止のためにレイドパーティー申請送りました」
「あ、はい。どもです」
圧倒的指揮力の前にペースを持っていかれたアキアカネだが、ひとまずアインズメンバーのレイド申請を受け入れる。
吹き飛んだ白猫はいつの間にか姿を消しひとまずヒカリに視線を送っておく。ヒカリも把握していると頷き、何もいない空間に弾幕を貼って牽制していた。
リンと、シズカ、レン、シリウスが合流したことでアインズのメンバーの動きに余裕が出てくる。
「シリウス、ヒカリさんは基本的に自由に。ダイチはそこの鳥さんとアキアカネさんを基本防御。アキアカネさんは鳥さんの指示に従ってください、シズカは基本援護射撃。レンはシリウスとヒカリさんの隙を庇う。あるいはスイッチ要因として常に引いた状態で戦況を把握しておいてください」
「「「「了解」」」」
「ん」
「こ、これがリーダーシップ…。なんか眩しい」
リンが来るや即座に指示出しをして全員をコントロールする。あまりにはやい即決にアキアカネはもはやリンを崇める勢いだ。ヒカリもこのくらい素直に聞いてくれたならいいのにとも思うが…
「9対1とか卑怯やありまへん?」
「その言葉、少し前の自分に響かないコケ?」
少し前までいっぱい味方を呼んできた白猫。これには鳥もてめぇが言うか?と反論の言葉が出てしまった。
ひとまず回復しきったHPを横目に鳥は猫を睨む。
白猫もそれを察してか、ほぼ振り出しに戻った戦況、むしろ人数で押され始め最初よりも酷くなったこの場に悪態をつきたくなる。
両者、睨み合い。先に動いたのは鳥サイドだった。
「行きます。糧となるもの、その強き御魂《みたま》に降霊せよ、我が天の中に、その姿を写せ、その強き御魂に見せつけよ。我の言ノ葉我にあらず、神のもの拝借す。【身符《ミノリノフ》】」
「【装甲】」
体力上昇バフをメンバーとヒカリ、アキアカネ、鳥にリンがかけ、さらにダイチが持っていた重そうな重盾を小型の小盾に持ち替えさらに機動力を確保した。
完全に持久戦の構えを取られればさすがの猫も手が出しにくくなった。
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