*>>ギビン視点
突発的なイベント…イベントなのだろうか?ともかく大量に現れたモンスターに、ガリレオのプレイヤーも来訪者も協力して撃退を繰り返していた。
かつてスキル不足により壊滅しかけた我々だったが、スキルや連携のとり方。何よりこの来訪者達との繋がりを大切に思っているプレイヤー達との団結力は地球にも負けていないと思う。
さて、で。そんな両者の先頭に何故かたっている僕。いつからか、こういう問題が起きた時はあれよあれよと先頭に誘導されるのだ。それはもう、色んな人から。
僕、そこまで強くは無いのだが。一応指揮は頑張ってとっている。見よう見まねだが、味方のテンションに合わせたロールプレイングもこなして見せた。
指揮官として堂々と。自信を持った背中を見せること。手を取り合い、ピンチの人がいればカバーしにいく。僕はただやるべきと思ったことを脳死でしてきたに過ぎない。たまたま上手く回っているだけ。
大規模戦闘システムのコマンダー。に誰かは知らんが勝手にされた。たぶん何人かいるサブコマンダー達の誰かだろうが…
その人たちの手も借りつつほんとに何とか維持している。
ギリギリのバランスの上にある一体感。そんな頂に立つ僕は必死にしがみついていた。
来訪者のリーダー。アルカイド艦長にも同じような扱いを受けている。彼と一番接点があり、こうやってプレイヤーを束ねられる私は都合がいいのだろう。
彼らも彼らでただただ守られている訳では無い。ちゃんと前線に立ってくれるし、何より彼らは素でロールプレイング中だ。こちらも言い方は悪いが扱いやすかった。
『モンスター。南東より高速で近づいてきます。おそらく飛行型、ガーゴイルです。アルカイド艦長!お願い出来ますか?』
『もちろんです』
『北にいるプレイヤー達はそのまま各ギルドホーム防衛も手伝ってあげてください!』
『西側プレイヤーのうち手の空いた方はそのまま前進です。足が遅い集団がいますので、挟み込むように近くのパーティーと連携してください。サブコマンダーは近いパーティーリーダー同士の〔念話〕接続をお願いします』
大まかな指示だけしか出ていないが、これで上手く回るのはやはりそのほかのプレイヤーや来訪者達のおかげだ。
やっぱり僕は彼女みたいにはなれない…
以前の彼女達と似た状況に立つからこそわかる。僕はここ周辺だけで手一杯だ…
未熟さを痛感する。少し気分が落ち着かない。追いつきたい。追いかけたい。できるなら隣に立ちたい。
僕の気持ちは何時しか膨れ上がり、憧れから願いへ変わる。でも僕じゃ…
そんな気持ちに苛まれていた矢先に。そんな声と不思議な光が空高く伸びていた。
『あなたは憧れていますか?』
『誰です?』
唐突な呼びかけ。記憶にない柔らかい女性の声だ。だがどこか異質さも感じる…何なのだろう…
そんな声は僕の疑問に答える気がないのか同じ言葉を繰り返した。
『あなたは憧れていますか?』
『憧れはあるよ』
これはもしかするとなにかのイベントなのだろうか?ならば一応答えておく。
『なにか願いごとはありますか?』
『願いごと?…僕は憧れだったユキさんやナユカちゃんの隣に立てるようになりたい』
彼女達が見る景色…RBGを見てみたい。
『え?あ、いえ、わかりました。ならば光を追いかけるのです』
ッ!?
彼女がそういうと僕のいる周辺が薄緑に淡く発光しだす。
風が動きそれは地面に散らばていた木の葉ごと空高く吹き上がった。そして同時に光が飛んでいく。星かと言うほど高くまで打ち上がったその光。僕の周りにいたプレイヤーや来訪者たちも何が起きたのか理解出来ていなかった。
『ギビン殿!!空にものすごい速さで打ち上がる光を見たのですが!あなたが!?』
『い、いえ!声が聞こえたかと思ったら…その光を追えと…』
ノア内部から指示を飛ばしてくれていたアルカイド艦長。ちょうどその謎の発光から光が打ち上がるまでを見ていたらしい。心配して通信を飛ばしてくれたのだろう。
『緑の光…ギビン殿!!その光追ってくだされ!』
『ですが…かなり高度が高いのか…おそらく重力圏内から飛び出していませんか?僕はあいにくまだ宇宙船を持っていないのです』
どこかアルカイド艦長に違和感を感じる。もしかして先程の現象のことを知っているのでは?
『ならば…すぐに手配させます!今すぐノアまで帰還を!』
『わ、わかりました』
とりあえず今は言われた通り指示に従っていこう。これはひょっとすると…
ピロン!
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メインストーリークエスト
声が聞こえたんだ
勝利条件:プレイヤー「ギビン」が■に到着する。
敗北条件:■■■の■が壊滅する。
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大当たりらしい。
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