「え〜!?そんな大事な戦闘なのにゆきは何もしてないの!?!?」
「仕方ないよ〜、流石に生活リズム優先だし〜、それに次の日も那由花のとこ行くんだから〜。ゲームより那由花だね〜」
ここはコメット。なんかとんでもない宇宙船らしいこの船に乗り、もう数回にもなるこの余った時間に私はゆき、ビュアさん、ヒカリさん、アキアカネさんに色んな話をしてもらい暇を潰している。
そして私が知らないRBGの過去について3人は自身の知る限りを教えてくれていた。そう、イベント。「スカイスクランブル」についてだ。
「別にゲームのイベントくらい参加してもいいのに。少しくらい来るの遅くなっても私気にしなかったよ?たぶん」
「いやいや〜、仮にも知らされてなかったとはいえ、護衛が護衛対象を蔑ろにしたらダメでしょ〜」
「ユキ、あのころ。まだ、それほどインしてなかった」
「レアキャラみたいな感じだったような?」
「私の取材スキルを持ってしても発見できることはほぼなかったですね」
ユキは確かにあのころはずっと私と一緒に過ごすことが大きかった。今考えてみれば、きっと私を心配してくれてたんだね。
そもそも、このRBGに連れ出してくれたのはユキだ。それすらも私のためだったりするんじゃなかろうか…。
ユキの顔を盗み見るとそこにはいつもと変わらない。可愛さと美しさを兼ね備えた美少女だ。その眩しいユキの笑顔が今の私が「わたし」たらしめる。
もしそうなら…、ありがとね。ユキ。
「ストーキングの間違いでは?」
「失敬な!?れっきとした配信者としての活動です」
私がそんな思考にふけっていると今度はビュアさんが弄られてた。聞いた感じ、その頃からビュアさんはストーカーだったんだね…。
「ちなみに、その戦闘には私もヒカリも参加出来てないのです。地球の中央闘技場は真夜中ですからね。ついでにヒカリは早寝遅起き常習犯ですから。たぶん夢の中だったんじゃ?ヒカリ」
「ん、起きたら。色々、終わってた」
「なるほど」
なんかそんな情景が目に浮かぶような。ん?でもそういえばヒカリさんとアキアカネさんが有名になったイベントってスカイスクランブルだよね?聞いてた感じほぼ最終局面みたいな感じなのに、2人とも大樹攻略しかしてないような?
「ヒカリさん達が有名になったのは?」
「それはその深夜の攻防戦のあとです」
「ん、続き」
どうやらまだ続きがあるらしい。
「あの夜の戦闘は結構長引いてましたからね。かくいう私も徹夜しましたし、あの時にしては配信者としてそれなりに接続稼げてましたから」
ビュアさんはあの戦闘中、情報発信の司令塔として活躍したらしい。今は同盟の盟主が1人、セリエルさんの作戦や情報の発信配信として指定されてたのだとか。
なんかビュアさんが色々得をしている気がしてきた。なんか抜けめないというか…
「セリエルもよく考えたよね〜。サーニャ達が戦況情報を集め、それをリアルタイムで広場を使ってセリエルに集結、それを色々判断してビュアの配信でプレイヤー全体に知らせる〜…」
「これが混ぜたら危険、セリエルとサーニャさんの始まりです」
そういえば同盟告知動画の時にそんな「混ぜたら危険」みたいなコメント付いていたような?
確かに情報戦の大切さは先の同盟戦争でこちら側が勝てた重要なピースだったからね…。確かに敵に回したくは無いかも。
「こうビュアさんは偉そうに2人のこと言ってますけど。ビュアさん込みで混ぜたら危険。同盟戦争でさらにそう認識されてることをお忘れなく」
「接続増えて良きです」
情報の収集→情報の管理→情報の発信
うん、これは…。
「いろいろ、できそうで。何より」
「悪いことには使わないでね?ビュアさん…」
なんかストーカーに燃料あげてる気がしてきた。今後ビュアさんがさらに暴れないように見ておかないと…
…
「ところでそういえば、私、思ってたんですけど…」
話が一区切りしたところで、今度はアキアカネさんがこんなことを言い始めた。
「ユキさんは、ニワタリに1番初めに会ったんですよね?…その時。「強制召喚クリスタル」は貰ってないんですか?」
その時、アキアカネさんも、ヒカリさんも少し目を見開いてユキの方を向く。2人とも、今までに聞いた話の内容から。
ユキも「強制召喚クリスタル」を持ってるのではないか?
という可能性が大いにある。という事実に気づいて。このゲームで現状2つしか無いとされる「強制召喚クリスタル」私は見ていないけど。あの地球が止まった日の戦争で、二人が1度きりの切り札として使ったらしい。
「ん〜、どう言うべきかな〜。でもまあタイミング的にはあってるし〜。じゃあ次の話題はそれにしようかな〜」
そうしてユキは少し困ったように笑いながら次の話を語り出した。
これは、猫対プレイヤーの戦いが膠着し始めた早朝の話である。
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