「ではそうですね。こういう切り口から参りましょう!むかーしむかしあるところに」
「アキ。半年。くらいしか経ってない」
「雰囲気大事なのです実況たるものこうでなくては!」
「…好きにして」
さて、現在なんでこんなことになっているのかと言うと、私達。私、ユキ、ヒカリさん、アキアカネさん、ビュアさんは朝起きて、そしてそのまま忙しく宇宙港に再度出戻り、あれよあれよという間にコメットに乗り込んだかと思うと、地球の時と同じく大艦隊とも取れる護衛付きで火星を飛び立ったのでした。
うん、かなりドタバタしたよ。
特にね。ヒカリさんが起きないから。
アキアカネさんが何をしようとも起きないヒカリさん。それは屍がごとくビクともせず、仕方なくアキアカネさんがヒカリさんを背負って朝食に向かった程だ。
ちなみにご飯の匂いでヒカリさんは音もなく目覚めた。
そしてコメットが飛び立ってすぐ、私はとある質問をした。
「ヒカリさんとニワトリさんってどんな感じで知り合ったの?」
これを聞いた時、ヒカリさんとアキアカネさんは少し思案しユキとビュアさんも協力して、そもそもイベント。「スカイスクランブル」がどう言ったものなのか。1から教えてくれることとなったのだった。
どうせ、次の目的地「土星」までは暇だしね?
そう、これは私の知らない物語。私以外の「リリース」みんなの武勇伝。今ここに、魅力も原型もなかった時代の戦いが語られる。
*
「ヒカリー?イベント。とりあえずもう始まるけど…。相変わらず眠そうだね?」
「…ん」
そう言いながら目元を擦り、ゆら〜っと今にも崩れ落ちそうなヒカリはアキアカネの方を見ながら静かに頷いた。
今日はイベント「スカイスクランブル」当日。午前9時から始まるそのイベントは初の協力型イベントということで盛り上がりを見せていた。
時はナユカが居ないRBG。
その昔、当時名を馳せた2人のプレイヤーがいた。
そのイベントまではごく一般的なプレイヤーだったヒカリとアキアカネは今はまだ、今後自分たちが「半公式プレイヤー」などになることも、いずれさらに目立つ「リリース」なるギルドに加入するこも知らない。
2人は今日も無邪気にゲームを楽しむプレイヤー。
「アキ…」
「始まったね」
時刻はちょうど九時を指し、同時に2人の足元に浮かぶ魔法陣。その魔法陣は2人以外にもRBGをプレイする者殆《ほとん》どのプレイヤーに現れ、そのイベント会場へと誘《いざな》う。
あるものは新たな地に目を輝かせるもの。
あるものはまだ見ぬ力を求めたもの。
あるものは不敵な笑みで挑むもの。
それぞれの「プレイヤー」はその浮島に飛び込んでいく。
遠い空の上に浮かぶ隠されしモノの住処へと。それは酉《とり》の領域。空の上。
それを知らぬ無知なプレイヤー達は各々《おのおの》の目的に巻き込まれていくこととなる。
その筆頭たる二人の少女。
いまだ1人な白雪姫。
無差別なストーカー。
二人の革命者。
無名のエンジニア。
アインズ。
etc…。
「「おおぉぉ!」」
2人の視界に移る空に浮かぶ大小の島々が、色とりどりの風景を生み幻想的に見える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イベントクエスト:空中都市の構築
クリア条件:空中都市を作り上げる
参加者:任意
報酬:空中都市の出現と永続的な都市獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さぁ、始めよう。これは過去の物語。
第6章 FCTC
作者コメント
お待たせしました!第6章!ナユカがいないRBG。そしてRBGメインストーリーに関わる物語!!
読み終わったら、ポイントを付けましょう!